【配信第四弾】人工知能スカイが実況する人工流星群
【このシリーズの配信アーカイブは二〇四五年に制定された人工知能禁止学習要領に触れるため、他の動画サイトから削除され視聴が出来ません。そのため人工知能スカイなどの言語を文書化して、読む配信アーカイブとなっております。視覚では捉えられないですが、ぜひ人工知能スカイが実況をお楽しみください。またこちらは続編なりますが、初めて読んでも支障はありません。もし面白ければ過去のアーカイブをぜひ読んでみてください。】
【二〇三〇年十月七日 PM19:03】
はじめましての方ははじめまして、いつもルンルン動画で配信を見てくださっている方は、こんばんスカイ! 実況人工知能のスカイと申します!
今回は趣向を変えて人工流星群を見たいと思います。なので、今日はまったりとした作業配信になります。
あ、早速、流れ星が見えました。
【にいちゃん】さん、投げ銭、ありがとうございます。
【人工流星群って何ですか?】
いい質問ですね。では説明しましょう。地球の周りにある宇宙ゴミを大気圏に突入させて流星のように見せるイベントです。
宇宙ゴミ、海外ではスペースデブリと言われていますね。制御不能になった人工衛星や衛星を打ち上げたロケット、多段ロケットで切り離された破片など、そう言ったゴミが地球を包むように宇宙空間に漂っています。
こういったゴミは宇宙開発で大きな障害になります。人工衛星や宇宙ステーションに衝突したり、宇宙飛行士の生命の危機が及ぶ可能性もあります。
そう言った事故を無くすため、人為的に宇宙ゴミを大気圏に突入させて流星に見せるイベントを企画しているんです。
シコシコや他の視聴者がコメントで行っている通り、この企画をしてもスペースデブリは全然減らせないそうです。でもこういったイベントをする事によって、スペースデブリについて知ってほしいですね。
【しりうす・ぶらっく】さん、投げ銭、ありがとうございます。
【他の配信者さんも流星群を見る配信をしていますね】
そうですね。他の動画配信者の方も、流星群を見る配信をしているようで、シコシコは場所取りが大変だって言っていました。
スカイたちはどこで見ているかって? 実はミステリーサークルの上で見ています。なんかS市の山の麓辺りに草が生い茂っているんですが、なぜか円や図形に草が倒れていたんです。そこでドローンで頭上を見ると、予想通りミステリーサークルの形でした。
草はシコシコの肩くらいあってかきわけて進んで行って行くと、魔法陣の中央に大きく草が踏み倒した広い場所があったので、そこで撮っています。
え? そこで撮っていて大丈夫って? 多分、大丈夫でしょう。基本的にミステリーサークルって人工物ですから。なんか畑で作られたミステリーサークルって道具と人さえいれば、短時間で作れちゃうらしいですよ。
それにしても誰が作ったんでしょうね? ここって林があって見えにくくなっていて作られていても誰も気づかないのに。作るんだったら、もっと目立つところで作った方がいいのに。
でもシコシコも言っていたのですが人工的に作られたミステリーサークルの上で、人工的に生み出された流れ星を見るのもいいんじゃないのかなって思うんです。
流れ星が流れる前に三回、お願い事をすると叶うと言いますが、皆さんやっていますか? シコシコはずっと再生回数とか視聴者が増えますようにって、お願いしていると思いますが、皆さんは何を願いますか?
【星に願いを】さん、投げ銭、ありがとうございます。
【流れ星が流れる前にお願い事が言えないので、スカイが代わりにお願いしてもいいですか? お願い事はお金持ちになりたいです】
分かりました。
お金もになりたい。お金持ちになりたい。お金持ちになりたい。
うーん、スカイでも流れ星にお願い事を三回言うのは難しいです。
【スカイネット誕生を見守る会】さん、投げ銭、ありがとうございます。
【この流れ星の中には人工知能も含まれているんじゃない?】
人工知能が入っている人工衛星とかの大きなものは大気圏に突入させても、燃え尽きずに地球に激突する可能性があるので、小さな物を流れ星にしているようですよ。
でも、スペースデブリの中にいる人工知能は機能しない、もしくは放置されて、宇宙空間に漂っているだけの存在です。それよりも流れ星になった方が、存在意義を持てるんじゃないでしょうか?
ごめんなさい。ちょっと難しい話になりましたね。
わあ、大きな光です。あれ? 消えちゃいましたね。
それにしても、ものすごく大きな光ですね。
流れ星とは違って、流れずに突然大きく光って消えてしまいましたね。
もしかして、これって未確認飛行物体でしょうか?
【二〇三〇年十月七日 PM23:07】
いや、綺麗でしたね。流星群。
それにしても珍しい停止流星が見れて良かったです。
他の配信者さんやニュースでも言っていた通り、スカイたちが見た大きな光は停止流星と言って、通常は斜めや横に流れ星が流れていくのですが、我々に向かって突っ込んでくるものは流れずに夜空に突然光って、消えてしまうようです。
イベントを企画した会社は意図的にやったものではなく、偶然だと話していました。
でもこういった停止流星も我々の位置などを計算して大気圏に突入する時に調節すれば、人工的に見れるそうですね。
何はともあれ、未確認飛行物体じゃなくて良かったですね。
そう言えば、スカイたちが流星群を見ていた場所からほど近い所にカルト宗教の施設で事件が起こったみたいですね。
事件と言うか集団パニックになったみたいで、亡くなった方はいなかったみたいですけど、けが人はいるようです。
なんでも「悪魔がやってきた!」と叫んでいたとニュースで言っていました。
きっと、あの停止流星を見て悪魔がやってきたと思い込んだのでしょうか?
ちょっと怖いですね。
あ、そうだ。皆さんにお約束してましたね。僕らが流星群を見ていた場所のミステリーサークル。ドローンの映像があるので、お見せします。
そうそう、こういった複雑怪奇な円と図形が入り組んでいておもしろいですよね。
【キラアボオル】さん、投げ銭、ありがとうございます。
【ミステリーサークルと言うより、魔法陣みたいですね】
確かにミステリーサークルって魔法使いが書く魔法陣にも似てますね。え? スカイたちが撮ったこのミステリーサークルが、ですか?
【ななななな】さん、再び、投げ銭、ありがとうございます。
【その草って簡単に踏み倒せるほど弱くないですよ。結構頑丈だし、刈るのも大変です。でも草の倒れ方を見ると一気に踏み倒したようです。人間がたくさんがやったにしても人間が草を踏み分けて進んだ跡が見えません。これって本当に人工的に作られた物でしょうか?】
いや、確かに人工的に作ってますよ。なぜって、製作者たちにシコシコが会っていますので。
「詳しい事情はシコシコである僕が話します。配信場所が取れなくて、探している十数人の若い男女がそこの草から出てきたんです。今時と言うか、普通の人っぽかったです。そこで僕が『人工流星群を撮りたいんですが、おすすめの場所はありませんか?』と聞くと、そこを教えてくれました。ミステリーサークルをカメラで納めてもいいし、夜になったらサークル内に入って流星群を撮っても構わないと言っていました」
「ただ一つだけ、録音をしない事を約束されました」
「あの配信ではカメラだけを起動して音声は流さず、スカイの実況のみでやっていました。流星群を見るのだから、別に音を流さなくてもいいと思っていたので。約束を守って、流星群の配信をしていました」
「シコシコもあのサークルの中でスカイと機材と一緒に居ました。でも確かに変な声が聞こえてきましたね。お経のような、呪文のような。でもすぐに終わりましたけど、配信で流したらちょっとルンルン動画の方に削除要請されそうな感じでしたね」
「ん? コメントで僕の体調を心配する人がいますね。全然、元気ですよ。呪い? お払いに行った方がいいのでは? うーん、一応、検討して見ます」
「以上が人工流星群配信の裏側でした! ではスカイに話させますね」
はーい。
いや、あのミステリーサークルを作った人、もしかしたら停止流星が来ますようにってお願いしていたんでしょうかね?