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王都ベルディアの中央には大きな城が建てられている。
そこにはベルディア王家の王族や家臣達が住み、駆け出し冒険者が気軽に入ることは出来ない場所。のはずだがアレンは王様と謁見していた。
広い空間に王様が一人、煌びやかな玉座に座る。部屋の左右には鎧を着た衛兵がズラリと並ぶ。
アレンは膝を付き頭を下げ、ユナ達三人組はそんな彼の事を不思議そうに見ていた。
「さて、話は大体理解した。して、冒険者アレンよそなたはロリコンか?」
――何を言ってんだコイツは……
アレンは下を向きながらも王様の言葉に困惑していた。
「冒険者アレンよ。表を上げ、我が質問に答えよ。そなたはロリコンか?」
――聞き間違いじゃなかったよ。大丈夫かこの国?
アレンは溜息を吐き、深く息を吸ってから顔を上げて答える。
「違います王様」
「そうか……」
玉座に座り煌びやかな衣装を纏うベルディア王は長い髭を触りながら、視線を少女達の一人に向けて問いかける。
「ミラよ。今の言葉に偽りは無いな?」
「はい、王様。彼の言葉は本心です」
「そうか、そなたのセンスライに反応が無いのであれば真実なのだろう」
センスライ。神官が使うことができる嘘を看破する奇跡。
神官の中でも使える者は余り居ないが、聖女であるミラはそれを使うことが出来た。
「ふむ、ならばよい」
何が良いのかまったく理解できなかったアレンは王様に問いかける。
「ちなみに、ロリコンだった場合どうなってたんですか?」
「ん? 国外追放だな」
――罪が重すぎる。
「ちなみにセンスライで嘘がバレた場合。不敬罪・国家反逆罪・ロリコン罪でスリーアウト死刑になる」
――なんだよロリコン罪って……ホント、大丈夫かこの国?
アレンは困惑しながらも言葉を飲み込み、王様は気にせず話を続ける。
「では冒険者アレンよ彼女達を頼むぞ。おかしな真似をすればタダでは済まないということは努々忘れる出ない」
見知らぬ冒険者。しかも男の駆け出し冒険者。そんな得体知れない人物を警戒しての今までの発言だろう。勇者・聖女・賢者。彼女達は魔王を討伐し世界を救う救世主の前に幼い少女。今までの発言は彼女達三人の身を案じてのことだとアレンは気が付く。
ベルディア王は少女達三人視線を向け、両手を広げて言う。
「さて仕事は終わった。存分に儂に甘えても良いぞ。ほら、ユナちゃんや」
「今日は疲れたから部屋に戻るね王様~」
そう言ってユナは王様に軽く手を振り退出する。
「ではミラちゃん!!」
「申し訳ありません王様。私も今日は疲れていますので失礼いたします」
ミラは王様に礼儀正しく一礼しユナの後について部屋を出て行く。
「リンちゃん!!」
「うっわ……」
リンは引き気味の声を漏らしながら蔑んだ視線で王様を一瞥してから何も言わずに出て行った。
「……」
三人の少女に構って貰えずに落ち込むお爺ちゃんの姿を見たアレンは何も言わず、その場から逃げる様に退出した。






