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51 ーーFinーー


 魔王城から帰還したアレン達は事の顛末をベルディア王に報告し、そこから数日で各国の代表が会談を行い、魔族と人間の和平交渉が締結された。この魔族と人間の和平交渉は人間側の混乱を避ける為に内密に行われ、各国の首脳陣だけが知る内容となった。

 アレン達の魔王討伐という目標は一旦無くなり、それぞれの道を歩むこととなった。


 ――五年後。


 アレンは魔族との和平交渉や勇者一行を無事に護衛した功績を認められ莫大な報酬を得た。その一つとしてベルディア王都に新築の一軒家を用意して貰い、そこで妻のローラと娘のクレアと共に暮らして居た。

 そんなアレンの家に一人の客人がやって来る。

 家の扉がノックされ、クレアはそれを出迎える様に無邪気に扉を開ける。

 

 「久しぶり!! クレア!!」


 「ユナお姉ちゃん!! 久しぶり!!」


 五年の歳月が経ち、背丈の伸びた赤髪の少女はクレアを抱きかかえて家に入って来る。

 魔族との和平交渉後、ユナは北の魔王の監視と連絡係として王都ベルディアと魔王城を行き来していた。その傍らに冒険者稼業も続けていて、今や金等級の冒険者として認められていた。

 軽装の皮鎧、腰には二本の剣を差し、明るい笑顔は今も変わらずだった。

 

 「アレン兄とローラ姉も久しぶり!!」


 そう言ってユナは二人に挨拶しながら、持ってきたお土産をテーブルに置く。

 

 「お土産のお肉置いとくね!!」


 「ちなみに何肉なんだ?」


 「ドラゴン!!」


 随分と希少な肉を持ってくるもんだとアレンは困惑しながらも、ローラはそれを受け取って、棚に仕舞う。

 

 「お土産も渡したし、ベルディア城に行ってくるからまたね」


 そう言ってユナはクレアを降ろして出て行くのだった。

 ユナが出て行って暫くするとまたドアが叩かれる。それにクレアは反応して客人を迎え入れる。


 「やあ、クレア元気にしてたかい?」

 

 「久しぶり、ミシェリーお姉ちゃん!!」


 背丈と髪が伸びた金髪の少女は随分と大人びた雰囲気を出して居た。

 魔族との和平交渉後、ミシェリーは西の騎士国家の騎士団に入り副団長の地位に付いて居た。

 ファラン王はミシェリーの騎士団入隊を拒否していたが、ならば冒険者として旅に出ると我儘を言った所、渋々了承し今の地位に付いたようだ。


 「父上から師匠にコレを預かりました。ローラさんと飲んで下さい」


 そう言ってミシェリーは葡萄酒を一本テーブルに置き、視線をクレアの方へと移す。


 「クレアはお酒が飲めないからコレをあげよう」

 

 そう言ってミシェリーはクレアに鉄製の短剣をプレゼントするのだった。

 それを見たアレンは困惑した表所を浮かべながらの口を開く。


 「五歳の子供に短剣をプレゼントするな」


 「本当は修行用の重い剣を持ってこようと思ったのですが、こっちの方が実用的だと……」


 「実用的って何させるつもりだよ?」


 「それは勿論、魔物退治ですよ」


 「ウチの子に魔物退治をさせないで下さい」


 アレンの気持ちとは裏腹にクレアは大喜びでミシェリーに感謝していた。


 「それではベルディア城へと向かいますので、また」


 そう言ってミシェリーは出て行った。また暫くすると扉が叩かれクレアが出迎える。

 

 「リンお姉ちゃん!!」


 背丈が伸び、長い黒髪を左右で結んだローブ姿の魔法使いは何も言わずにクレアの頭を撫でてから家に入って来る。

 魔族との和平交渉後、リンはベルディア城でマカの元、宮廷魔導士補佐として働くことになった。だが最近になってマカの勧めで西の魔法学園への入学することになり、今は魔法学園の学生として生活していた。

 

 「はい、コレ、ジュース」

 

 そう言ってリンは歪んだ空間からジュースの入った瓶を十本程取り出しテーブルへと並べた。

 そしてリンは部屋を少し見回してから再度口を開く。


 「ユナとミシェリーはもう着いてるみたいね。聖女様は相変わらず遅いわね」


 「よくわかるな」


 「聖剣の魔力の残滓が残ってるから、すぐに気が付くわよ」


 「なんというか……ユナとミシェリーはあんまり変わらないけど、リンは結構大人びた感じになったな……」


 「あの脳筋コンビと一緒にしないでくれる?」


 「そうだよな。昔は文字が読めなくて騒ぎ散らかしてたのが……」


 「がぁぁぁ!! いつまで昔のこといってのよ!!」


 「ああ、あんまり変わってなかったわ」


 アレンがそう言うとリンは「じゃあ、私行くから!!」と声を荒げて出て行くのだった。

 そして暫くしてまた扉が叩かれ、クレアが客人を迎え入れる。


 「ああクレアちゃん!! 私の愛娘!! お迎えに来ましたよ!!」


 「ミラお姉ちゃん!!」


 歓喜の声を上げる金髪で可憐な聖女様はクレアを力一杯抱きしめ、抱えながら家に入って来る。

 魔族との和平交渉後、ミラは南の商業都市に在る教会本部に戻り聖女として活躍をしていた。聖女として活躍といっても殆どお飾りの立場なので、日々お菓子作りに精を出して居るそうだ。


 「おい、ウチの娘を勝手に自分の娘にしないで下さい」


 「ケチケチしないで下さいよ。どうせ二人目が生まれるんだからクレアちゃんください」


 「駄目に決まってるだろ? そもそもお前に子育てができるとは思えないんだけど?」


 「身の回りの世話は使用人がやってくれますし、教育だって良い教師を付けますよ」


 「それ結局、何もやってないよね?」


 「私はクレアちゃんとお菓子作りをするのが担当です」


 「うん。子育て向いてないって」


 アレンがそう言うとミラはクレアを抱きかかえたまま入って来た扉へと向かう。


 「それじゃアレンさん。クレアちゃんは貰っていきますね。はい、クレアちゃん。お父さんに手を振ってね」


 「行ってくるね~お父さん」

 

 そう言ってクレアを抱えたミラは家を出て行くのだった。

 呆れた顔をしたアレンはまあ大丈夫だろうと思いながらも二人を見送った。

 そんな様子を見ていたローラがアレンに話しかける。


 「クレアには優しいお姉ちゃんが四人も居て幸せね」


 「そうだな……」


 こうやって久々に顔を見せる彼女達を見ると一緒に冒険した記憶が鮮明に蘇る。

 彼女達には手を焼き、苦労もさせられた。だがそれ以上に助けられもした。

 ローラと結婚し、家庭を築き、娘のクレアも生まれ、三人で不自由無く暮らして居る。

 幸せで平穏な毎日を過ごせているのは彼女達のお陰だと思いに耽る。


 こうして赤等級冒険者アレン・クロウと勇者一行の旅は終わりを迎えるのだった。


 ――Fin

追放系をテーマに書いてみた訳ですがそれなりに良かったんじゃないかなと。

まともに完結まで作品を持って行ったのは久しぶりなので、次の作品もそれなりの結末でまとめていきたいと思います。


追放系のテンプレとしてざまぁ展開?を入れるのを期待されている方がいらっしゃったのですが、追放系ってとりあえず追放しとけばいいよね位の認識だったので、ざまぁ展開とかは考えて居ませんでした。

そういう気づき等もあったので感想・評価・ブクマ等ありがとうございました。


≪冒険者パーティーを追放された俺はクソガキ勇者パーティーに編成されることになりました≫

はコレで一端の区切りとなります。

続きの展開って在るのかというと一応考えてはあります。


リンの魔法学園・ミラの教皇への道・勇者と魔王付き合い方・新しい敵。ミシェリーに関しては淑女として恋愛の話を書けたらなと思って居ますが、無理です書けません。


次作として≪魔王散歩≫なるものも書いて行こうと思っております。

テーマは俺tueee系になります。こちらも在る程度の区切りまで頑張って書く予定になります。きっと、たぶん、メイビー。


最後に感想・評価・ブクマ等よろしくお願いします。

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