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ユナ達の赤等級への昇級試験は無事に終わった。
昇級試験の内容はワイバーンを一体討伐してその死体の回収だったが、ユナ達は十五体のワイバーンを討伐し、それを冒険者ギルドへと運んだ。
アレンとローラが討伐したワイバーン一匹分、冒険者と商人をワイバーン運搬の為に雇った費用、その他移動経費などの雑費を差し引いて、ユナ達四人は一人金貨八十枚の報酬を受け取っていた。
昇級が決定し、多額の報酬を得たユナ達は西の魔法都市で一番高い宿に泊まり、評判の良い食事処で祝勝会を開いていた。
「乾杯!!」
そう言ってユナは木製のジョッキを高く掲げて高らかに声を上げる。
丸テーブルに座る皆も彼女の言葉に反応して「乾杯」と声を上げ飲み始める。
テーブルには肉料理、魚料理、野菜料理とそれぞれが好きに色々注文した料理が次々と運ばれてくる。
各々が料理に手を付け始めると、ユナがアレンに向かって話しかける。
「アレン兄、次の銅等級も同じように昇級試験が在るの?」
「基本的に昇級試験が在るのは赤等級だけだ」
「そうなんだ。なんで?」
「赤等級になれば、ほぼ全ての依頼を受けられるようになる。だから困難な依頼を昇級試験としてギルドが提示して、冒険者はその実力を示すんだよ。自分達はどんな依頼もこなせるってな」
「じゃあ、銅等級にはどうやってなるの?」
「それは日頃の行いだな。赤等級の依頼を多くこなせば認められて昇級するだろう。頑張れば銅、運が良ければ銀、才能が在れば金。そこら辺の詳しい判断はギルド次第だな」
そう話しているとミシェリーが話に加わって来る。
「でも、僕……私達の目的は魔王退治。冒険者の等級を上げる必要って在るのですか?」
「認識票の等級が上がる度に自分達の成長が見て取れるだろ? それに依頼を受けて魔物を殺せば金になる。強くなれて金も手に入るんだから一石二鳥だ」
「なら僕……私も冒険者として登録した方がよいのでしょうか?」
ユナ達のパーティーに途中から参加したミシェリーは冒険者の等級を示す認識票を持ち合わせていなかった。理由としては彼女は冒険者では無く、騎士で在り、目的は魔王の討伐。冒険者として他のパーティーに加わる予定も無く、魔王を討伐すれば彼女は淑女としての道を歩む。だからミシェリーは冒険者登録をしていなかった。
「等級の高い冒険者はそれなりの信用が在るからな。なっておいて損は無い。あと無理に「私」って使わなくても良いと思うぞ。ここにファラン王は居ないし、祝いの席だ好きに話せよ」
「はい、師匠」
そう言ってミシェリーは笑みを浮かべて返事をした。
「ミシェリーの言う通り、私達の目的って魔王討伐なのよね? で、いつになったら魔王を討伐しに行くの?」
リンがそう質問を投げかけるとミラも同じように問い掛ける。
「今の私達で魔王を討伐出来るかはわかりませんよね? だからといって、このまま手をこまねいているのも良く在りません。アレンさんは何か手を考えているんですか?」
そんな二人の質問にアレンは少し考えてから口を開く。
「考えは在る。でも今はお前達四人が出来る限り強くなる事が最優先だ」
「そう、アンタに何か考えが在るなら別に心配はないわね」
「そうですね。困ったときは全部アレンさんに投げておけば解決しますもんね」
そう言ってリンとミラは納得した様子で食事を続ける。皆が楽しく飲み食いしている中で、アレンの隣に座るローラはアレンの事を気に掛けながらも何も言わずに食事を続けた。




