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 ミシェリーによって吹き飛ばされたユナの視線の先にはワイバーンの群れが空中を旋回していた。

 自分の思い描いていた作戦と違うなと思いながらも「まあ、いっか」と呟き、ユナは吹き飛ばされた先に居るワイバーンの身体を掴んで背に跨る。


 「凄い!! 空飛んでる!!」


 困惑し暴れるワイバーンの事を一切気にせず、ユナはワイバーンの背に乗って空を飛んでいることに感動していた。その様子を見ていた他のワイバーンは仲間を助けようとユナに攻撃を仕掛ける。勢い良く爪で引き剝がそうとしたり、噛みついたりしようとするが、その全てを避けてユナはワイバーンの騎乗を楽しんでいた。

 爪や牙では同胞を助けられないと思ったワイバーンは口から火の玉を吐き出し、ユナに向かって放つ。

 流石にコレは避けなくてはならないと思ったユナは背に乗っていたワイバーンから手近なワイバーンへと乗り移る。それを繰り返す内に上空のワイバーンは同士討ちをして地に落ちて行った。




 ワイバーンの巣穴に吹き飛ばしたユナを追いかける為にミラ・リン・ミシェリーの三人は山を駆け上がって居た。上空から強襲してくるワイバーンをミシェリーが一刀両断し道を切り開き、遠距離から放たれる火球にはミラのプロテクションとリンのクリエイトウォーターで迎撃し先へ進む。

 

 「一匹狩るだけの依頼だったのに何でこんなに相手してるのよ!!」


 「次から、ユナちゃんが何か提案した時はミシェリーちゃんが無理矢理止めて下さいね!!」


 「何で僕が!?」


 「アレを物理的に止められるのはアンタしか居ないでしょ!!」


 そんな口論をしながら三人は先へと進む。同胞が次々とやられていく様子を見て、生き残っているワイバーンは三人に向かって立ち向かうが、すぐさま返り討ちに遭う。あの三人には勝てないと本能的に察知した一匹のワイバーンは少し離れた所に居るアレンとローラへと標的を変えた。

 自分達から大きく逸れたワイバーンを視界にいれたリンは不思議そうな顔をしながら目で追う。そして、ワイバーンの目的が後方のアレン達だということに気が付いたリンは即座に反応する。


 「ミラ!! ミシェリー!! アレンの援護!!」

 

 リンの言葉に反応したミラとミシェリーは足を止めて視線をアレンとローラの方へと向ける。

 アレンとローラは向かって飛んでくるワイバーンに対して二人は即座に対応する。


 「ローラ、落とせ」


 「光よ、集え、ホーリーライト」


 初級奇跡 ≪ホーリーライト≫。光の玉がワイバーンの目の前まで浮遊し、激しく発光した。

 突然の眩しい光に視界を塞がれたワイバーンは空を飛ぶ制御を失い地面に勢い良く降下する。その隙を逃さずアレンはワイバーンの脳天を剣で突き刺し仕留める。

 その光景を目の当たりにした三人は、あの二人に自分達の援護は必要ないと思い先へと進むのだった。



 

 ワイバーンが巣くう山頂の窪みにアレン達が着くと沢山の倒れたワイバーンが周囲に散乱して倒れ、その中心でユナは生き残ったワイバーンと一対一の戦闘をしていた。

 戦闘といってもワイバーンから繰り出される爪や牙を使った攻撃を全て避け、傍から見ればユナが遊んでいる様にも見えた。


 「何やってるのよ、あの子?」


 そんな様子を見たリンは呆れた顔をしながら、ユナを援護する為に杖を構える。

 それに気が付いたユナは大きな声を上げてリンを止める。


 「駄目だよ!! リン!! 邪魔しないで!!」


 「邪魔って……アンタは何してんのよ!! 遊んでないでさっさと退治しなさいよ!!」


 ユナと戦って居たワイバーンは加勢が来たことに気が付き、不利だと感じたのかそのまま何処かへと飛び去って行った。それを見たユナは「あ~逃げちゃった」と残念そうに呟くのだった。

 アレンは辺りを見回し、ざっと数えて十体以上のワイバーンが倒れていた。その生死を近寄って確認すると息の在る個体が何匹か居るのに気が付いた。殺し損ねたのかと思いつつ、アレンがワイバーンに止めを刺そうとするとユナが声を荒げる。


 「駄目だよ!! アレン兄!!」


 「何がダメなんだ?」


 アレンが不思議そうな顔で問い掛けるとユナはこう答える。


 「ワイバーンを飼ってみたい!!」


 「無理だろ」


 「なんで?」


 「何でって、どうやって飼うつもりなんだ?」


 「わからないけど、どうにかならない?」


 「どうにもならん」


 「え~。でもワイバーンに乗って移動出来たら凄くない?」


 「いや、凄いけど……」


 ユナの言う通り、馬の様にワイバーンに乗って移動出来るなら馬とは比べ物にならない位優秀な乗り物になるだろう。だが、魔物であるワイバーンに乗って移動するなど普通では考えられなかった。

 もしもそれが現実になったなら、魔王城への移動手段として採用しても良いほどの提案では在った。だが、実際にその提案は現実味を帯びない理想論でしかない。

 ユナとアレンが話しているうちに息の在るワイバーンは意識を取り戻し、叫び声を上げて威嚇してから逃げる様に飛び去って行った。

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