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 瘴気対策として作られた魔道具の性能テストの為に北に向かっていたアレンが騎士国家シェルの北門へと帰って来た。性能テストの結果は人体に影響の少ない瘴気ならば無害に出来るほどではある。だが、馬が瘴気にあてられて疲弊したので中途半端な内容で戻ってきてしまった。

 

 ――馬に乗って楽をしようとしたのが間違いだったか。


 この先、北には何度も赴くことになるだろうと思いながらもシェルの北門を抜けたところで聞きなれた少女達の声が聞こえてくる。


 「アレン兄!! ナイスタイミング!!」


 そう言って元気に駆け寄ってきたユナ達三人と見慣れぬ金髪の子供に視線を向ける。

 その少し後ろには鎧姿の兵士達が大勢でこちらに向かって駆け寄ってきている。

 これは絶対、コイツらが原因で面倒事を起こしたんだ。と全てを察して遠くへ目を向ける。

 アレンが現実逃避をしている最中に鎧の兵士達に囲まれ声を掛けられる。


 「貴様が誘拐の首謀者か!?」


 ガキが一人増えている。つまりこの増えたガキを何らかの理由で連れてきたのが今回の原因だと理解したアレンは溜息を一つ吐いてから兵士に返答する。


 「すみません。何のことでしょうか? 私は今しがた北からやって来たばかりで……」 


 「アレン兄!! ここからベルディア王国までどうやって逃げる!?」


 「アレンさん!! 無関係を装ってももう遅いですよ!!」


 「アレン!! 今回の事は私は関係ないからね!! 全部、ユナとミラの暴走よ!!」


 ――もうヤダ。コイツら……。


 アレンは諦めた様子で溜息を吐いて馬から降りる。そして話しかけてきた兵士に向かって会話を始める。


 「誘拐って言うとアレだろ? とりあえずアレを返すから全部不問にしてくれ」


 そう言ってユナと手を繋ぐ金髪の子供を指差しながら兵士に提案する。

 だがユナが後ろから反論してくる。


 「アレン兄!! ミシェリーは私達の仲間なんだよ!!」


 「勝手に仲間を増やすな。同い年の友達位でとどめておきなさい」


 「ミシェリーは聖騎士なんだよ!!」


 「なんだよ聖騎士って……よくわからんが返してあげなさい」


 アレンがそう言うがユナは言う事を聞かない。そしてミラがアレンに話しかける。


 「ユナちゃんの言う通り、ミシェリーちゃんは神の信託を受けた聖騎士で間違いないかと思います。それならば、私達のパーティーの一員として相応しいのではないでしょうか?」 


 「相応しいからって、誘拐をするな。というか何処から攫って来たんだ?」


 「お城からユナちゃんが攫ってきました」


 「勇者が貴族の子供を攫うな」


 「貴族ではなく王族ですね」


 「尚更悪いわ」


 つまり聖騎士である王族の子供をユナはパーティーに入れる為に誘拐してきた。そして目の前の兵士達はそれを取り返そうと躍起になっている。ユナは言う事聞かないし、兵士も王族の子供を助けるという大義名分が在る。どちらも引かないし、引けない。それならば仕方が無い。

 ユナ達の方へと振り返りアレンは自分の考えを話す。


 「話し合いで解決できないなら戦うしかないだろ? 良い戦闘訓練だ頑張れ」


 アレンはそう告げた後、ユナ達を囲む兵士達に告げる。


 「相手はガキ四人なんだからさっさと捕まえてくれ。俺はアンタ達を応援してる」


 アレンがそう言うが兵士達はそれ以上動こうとはしない。

 立場はどうであれ、子供相手にこの人数で囲んで拘束するというのは幾ら何でもやりすぎだということを彼らは理解していた。まともな良心が在ればなおのこと。

 硬直状態が続く中、男の声が離れた場所から聞こえてくる。


 「ミシェリーは確保したか?」


 そう言いながらファラン王はユナ達を囲む兵士の間を通りユナ達と相対する。

 

 「ここから逃げたとして、何処へ行くつもりだ?」


 「ベルディア王国!!」


 ファラン王の言葉にユナが間髪入れずに答える。


 「君には聞いていない。ミシェリー答えなさい」


 「ベルディア王国に行きます……」


 「では、何故そこに行く必要が在る?」


 「そこに皆が帰るので僕もパーティーの一員として帰ります」


 「だが、今のお前では足手纏いではないのか?」


 「それは……」


 「魔王討伐を目指す者が守られてばかりだな。この場から逃げるにしても足手纏いになっているではないか?」


 「……」


 「これ以上は無駄な労力だ。諦めて戻れ。お前に聖騎士は務まらない」


 「今は彼女達の足手纏いになっていることは認めます。でも、彼女達が戦ってくれているように僕だって、同じように戦うことができるはずです!! 何故、それをわかってくれないのですか!?」


 そんな二人の会話にアレンが割り込んできた。


 「魔王を倒す為に強くなりたいって子供とそれを否定する親。なら強さを証明すれば納得するんじゃないのか?」


 「悪いが関係ない者は黙ってて貰おうか?」


 「ただの親子喧嘩なら犬も食わないが、勇者の護衛を務める緑等級の冒険者なんで不本意ながら関係が在るんですよ」


 「一介の冒険者が介入する事では無い」


 「でも、このままじゃ話が纏まらないのも事実でしょう? そこで聖騎士様には聖剣を持って戦って貰えばいい。それが魔王を倒せる力かはさておき、聖騎士としての強さはわかるはずでしょ? 戦闘センスがなければ聖剣を持ったとしても大したことないって諦めだってつくと思いますけどね」


 アレンのそんな提案にミシェリーは乗っかる。


 「父上!! 僕と聖剣を使った模擬戦をしてください!! それで負けたら僕は父上の言う通り騎士の道を諦めます!! 父上に勝てないようなら魔王にだって勝てないと僕でもわかります!! ですので……」


 そんな提案をするミシェリーの言葉を遮り、ファラン王も同じように条件を提案する。


 「こちらが勝ったら。髪を伸ばし、勉学に励め、そして口調も改めろ。それならばその勝負、受けよう」


 「わかりました!!」


 「ならば続きは城で行うとしよう」


 そう言ってファラン王と兵士達は城へと引き上げていく。

 ユナ達は武器を収め一難去ったと安堵の溜息を吐くのだった。

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