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コボルト討伐の為に西へ向かったアレン達は一時間程探索し、コボルトの巣らしきモノを発見した。荒野地帯の地面が下へ深く切り開かれ、岩肌には幾つもの巣穴らしきモノが見える。アレン達はその巣穴を上から観察しコレからどう行動するか話し合っていた。


 「さて、コボルトの巣穴らしいのは見つけたがどうする?」


 アレンが三人に尋ねると真っ先に返答するのはユナだった。


 「巣穴に入ってコボルト討伐」


 アレンはユナの言葉を無視して言葉を続ける。


 「まずは情報収集だ」


 「情報収集って何するの?」 


 「コボルトが居るかの判別とその規模を確認したい」


 「巣穴が在るなら居るんじゃないの?」


 「そりゃたぶん居るだろうけど、実際にはまだ見かけてないだろ? この巣穴が別の魔物の巣かもしれないし、コボルト鉱山みたいに人が住んでる可能性だって在る」


 アレンがそう言うとリンが馬鹿にした口調で返す。


 「こんな場所に人が住んでる訳ないでしょ?」


 「だから何が居るのか確かめる。その為にファイアボールを下に向かって撃ってくれ」


 アレンは下に見えるコボルトの巣穴の一つを指差しリンに指示を出す。リンは少し考え、ファイアボールの破裂音を使っておびき出すというアレンの意図を読み取った。なのでそれ以上は何も言わずに杖を構え、指示された場所に向けて魔法を唱える。


 「ファイアボール」


 リンが構えた杖の先端に炎の塊が集まり発射される。放った火球は地面に衝突してボンッと小さな破裂音を出した。それから少し待つと巣穴からぞろぞろとコボルト達が十匹程姿を現した。

 犬の顔、背丈は人間の大人程、全身は体毛で覆われた魔物≪コボルト≫。

 アレンは何回か見たことは在るが、始めてコボルトを目にしたユナ達は興味の眼差しを向けていた。


 「アレがコボルトなんだ。ゴブリンよりも大きいね」


 「そうですね。アレのサイズもきっとゴブリンより大きいのでしょう」


 「十匹くらい出て来たけど、どうするのよ? こっから飛び降りるの? 私は嫌よ」


 何か変な発言が混ざっていたなと思いつつもアレンはリンの質問に答える。


 「この亀裂の端の方に行けば降りる場所くらい在るだろ。だけど、この感じだとかなりの数が居そうだな」


 ざっと見るだけでコボルトの巣穴は十カ所以上見えていた。抉れた地面はかなり遠くまで広がっている。ならば巣穴もその分だけ増えることは容易に予想が出来る。


 「とりあえず見える範囲で間引いておくか。リン、攻撃魔法はファイアボール以外何が使えるんだ?」


 「私、攻撃魔法はファイアボールしか使えないわよ?」


 「なんで?」


 「なんでって、覚えてないからに決まってるじゃない。覚えてないモノは使えないでしょ? 馬鹿なの?」


 「なんでファイアボールしか覚えてないんだよ……。一応聞くが、他に使える魔法は何が使えるんだ?」


 「バインド」


 「他には?」


 「ファイアボールとバインドしか覚えてないわよ?」


 リンの言葉にアレンは絶句し困惑した。

 《ファイアボール》・《バインド》どちらも初級魔法で魔法使いなら覚えておいて損は無い魔法。大概の魔法使いはどちらも習得している。そもそも世の魔法使いは初級魔法とはいえ多種多様な魔法を扱えるはずだ。それなのにリンは二種類の魔法しか使うことができないらしい。

 アレンは魔法使いではないし、魔力が無いのでそこまで魔法についての知識は深くない。だが、何かしら彼女に問題が在るか、賢者という肩書に何か問題が在るのだろうと思いそれ以上は深く突っ込むことを辞め指示を出す。


 「わかった。じゃあファイアボールでここから攻撃できるか?」


 「ここから倒してもいいけど。討伐証明はどうするの?」


 「実際に降りてみてから回収するか、しないか判断する。この感じだと多くて百匹、少なくても五十は居ると思っていい。だからまずは出来る限り安全に数を減らしておきたい」


 「あっそ」


 リンは再度杖を構え、音に引き寄せられたコボルト達の方へ向け詠唱する。

 

「ファイアボール!!」 


 リンが最初に放ったファイアボールよりも数倍大きな火の玉が彼女の杖から放たれた。

 火の玉はコボルトの集団の中心で爆発し五体程焼け焦げ倒れる。生死は確認出来ないが致命傷なのは間違いなかった。運良く助かったコボルト達は上を見上げ、次の攻撃から身を隠すように巣穴の方へと駆け込んで行った。


 「初級魔法でこれだけ威力が出るのは凄いな」


 「当たり前でしょ? 私は賢者なのよ」


 「二つしか魔法使えないけどな」


 「うっさい」


 アレンとリンがそんなやり取りをした後、彼らはコボルトの巣穴へ降りれる場所を探しまた進み始める。

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