会いたくない人
美羽は町の中で一番小さいビデオ屋さんに入っていった。
ここは昔からよく通っている場所なので、店のおじさんとも凄く仲が良いのだ。
それに、置いてあるビデオどれも結構古いものばかりだが、味が出ていて美羽は好きなのだ。
美羽がビデオを選んでいると後ろから肩を叩かれた。
振り向くとそこには亜紀が立っていた。
「こんにちは!先輩、こんな所で会うなんて奇遇ですね?」
「あ、亜紀ちゃん!?なんでこんな所にいるの!?」
「なんで、ってひどぉい。ビデオ屋さんなんだから、ビデオ借りに来たに決まっているじゃないですかぁ」
亜紀はちょっと拗ねたように言った。
「それは…そうだけど…。で、でも。亜紀ちゃん此処来るの初めてだよね?」
「あ、はい。初めてです。『古い作品が多いけど、どれも良いのばかりだから行ってみろ』って龍先輩が教えてくれたんです。本当に良いのばかりですね」
そうなのだ。
この店は美羽が初めて龍に教えた店であり、二人の思い出もいっぱい詰まった店なのだ。
「そう…なんだ。。。」
「はい。あっ、そういえば知ってましたぁ?龍先輩、好きな人がいて告白するらしいんですよぉ。そのためにも、その人に釣り合うように努力しているらしいです」
「へ?告白?龍が?誰に?龍は亜紀ちゃんと付き合ってるんじゃないの?」
「やだなぁ。どうして亜紀が龍先輩と付き合わなくちゃいけないんですかぁ。龍先輩と亜紀はただの先輩とこうはいですよぉ」
「そうなんだ…。仲良かったからてっきり…」
「仲良くするのは当然ですよぉ。だって先輩を敵に回したら怖いですもの」
亜紀ちゃんは笑いながら そう教えてくれた。