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異世界転生の神の座に転生


どこだここ?


 いつも通り高校から帰って明日の自室で準備をしていたら、唐突に見渡す限り真っ白な部屋に変わっていた。そして、俺の目の前にこちらを困惑の表情を浮かべた爺さんが凝視している。

 明らかにおかしい。俺一人でどうにか出来る事態じゃねぇ。


「おい。誰かいねぇか!!助けてくれ!!」


 俺が暫く叫んで、喉が痛くて辛くなって休憩したら、叫んでいる間に爺さんの方が落ち着きを取り戻したようで、こちらに質問を投げかけてきた。


「あ~、お主よ、少しは落ち着いたか?」

「全然落ち着けねぇよ!どうなってやがる!?」


 意味が無いし、良くないことだと思っていても、思わず目の前の爺さんに声を荒げてしまう。喉が痛いのに大声を出さずにはいられない。


「あ~、めんどいのぉ。落ち着け。」


 何故かあれだけ動揺していたのが不思議と落ち着けた。喉も凄い痛かったのが嘘みたいに治っている。もしや、魔法か?


 目の前の爺さんが俺に何かしたのか?落ち着いて爺さんのことを良く見ると浴衣を着ていて、寝っ転がって凄いくつろいでいる。まるで自宅にいる時のように見える。

 こんな真っ白な空間に俺と同じように唐突に来たのなら、ここまで落ち着いてくつろげるものか?思えば、俺を凝視していたりで周囲の空間が異質なのではなく、俺が異質みたいな仕草だった気がする。


「落ち着いたみたいじゃな。どうやってここに来たのじゃ?」

「え、いや。お前が連れて来たんじゃねぇのか?」

「そんなことする訳ないじゃろう。じゃあ、ここに来る直前はどこで何をしていたんじゃ?」

「部屋で、明日の授業の準備をしてたんだけど。それより、お前って神様なのか?」

「む。儂が神かじゃと?むむ。なかなか難しい事を問うのう。どう言ったものか。」

 そういうと、しばらく考え込んでしまった。

 え、ん?あれ?思ってたリアクションと違う。もっとすんなり神を自称して、こっちが怪しんで自分の考えを当てられて、目の前の爺さんが神なのかって納得するシチュじゃないの?

 こんな変な空間に住んでそうで、摩訶不思議な術を操る存在。神じゃないの?というか、この空間に来た特殊っぽい俺にチートを与えて異世界に飛ばしてくれるんじゃないの?


「うむ。儂は神と呼ばれたことは一度たりともない。これは断言できるのう。」

「え、じゃあ何?俺と同じで突然飛ばされた人?」

「違うのう。まあ、待て結論を急ぐものではない。過程を知らずに結論だけ知っても、理解できぬし、納得しないじゃろう。つまり、儂が何かを伝えた後にそこに至るまでの考察を伝えねば、お主は納得できぬじゃろう。ならば、初めから儂の結論に達するまでの考えを先に伝えてその後に教えた方がよいじゃろう。」


 なんだろう、もっとパッと一言で表すことは出来ないのかな?というか、そんなに興味ない、大体の転生もので神なんてただの転生させてくれるだけで、最初ちょっとでるだけの物語に殆ど関係ない舞台装置みたいなものじゃないのかな。


「先ずは、そうじゃな。お主は儂を神なのか、と言ったのう。では神とはなんじゃ?どんな存在で何をする者なのじゃ?そもそも、神と仏、悪魔は何が違うのじゃ?信仰する宗教によって呼び方が変わるだけの同一存在かのう?」

「うぇ、え、良く分かんないけど。宗教とかは良く分かんねぇけど、神とか仏とか悪魔っつうのは人間とは比べ物にならないぐらい凄い力を持つ、人知を超えた存在じゃないのか?」

「そうじゃのう。では神を凄い力を持った人知を超えた存在じゃったとしても疑問が残るのう。凄い力というが今お主の考えているよりも、全ての物・存在には凄まじい力が込められておる。そして、人知を超えたと言うがのう。お主の世界のありとあらゆるものを知っている人間がおるのか?全ての人間が持つ知識にない、未だ確認されていない、人の知識を超えた虫や植物、物質は、存在は、神なのか?」

「そうだな。いや、それじゃあよ、全知ってのは知識じゃなくて知恵なんじゃねぇのか?」

「そうなのかのう。では人を超えた知恵を持つ者を神として、他の種族とどうやって知恵比べをするのじゃ?例えばじゃが、馬や鹿は人間より知恵はないのかのう?まさか人間の言葉を喋らないからではないのじゃろ?声が出せないだけで人間の言葉を理解しておるかもしれんぞ。絶対に理解していないのかのう。理解してても意思疎通する気が無いだけなのかもしれんぞ。行動が馬鹿っぽいからかのう?では人間は一生を常に賢く最良の方法しか選ばないで過ごすのかのう?」

「確かに。人知を超えた存在ってのはどうやって確かめるんだ?ん?分かったぞ、全ての存在に対して人知を超えた存在かを確かめる方法を思いつくものが人知を超えた存在じゃねぇか?」

「その存在は、その確かめる方法を他の存在に伝える方法も思いつくのではないかのう。知恵とはその存在が経験し思考することによって育まれるものであるのじゃ。つまり、人を超えた知恵を持つ者に成長することもあるじゃろう。するとじゃ、全ての存在は人を超えた知恵があると言えるのではないか?」

「あ、待て。知恵比べなんか必要ねぇじゃんぇかよ。生存競争に勝った奴が、つまり、強い奴が神なんじゃねぇのか?」

「それじゃと、人を超えた知恵を持つ者という存在は無数にいることになるのう。あらゆる場所で規模の大小はあるが生物は生存競争をしておる。そもそもじゃ、話を戻すと人知を超えた存在ではなく、神とはどういったものかという話であったな。」


 そうだよ。神についての話だったろ。どうしてこんな話をしてたんだよ!

 ん?


「ちげぇよ!!お前についての話だったろうが、こっちは神についての話なんかききたかねぇんだよ!というか、そんなにお前のことも興味ねぇわ!!俺が知りてぇのはこっから俺がどうなるのかについてだ!転生させてくれんのか!それとも元の俺の部屋に戻してくれんのか!どっちだ!こら!」

「なんじゃ、その二択は、儂はお主の旦那かのう?仕事と儂どっちが大事じゃ!見たいな感じかのう。儂思うんじゃが、なんでそんな二択唐突に妻から突きつけられる必要があるんじゃ?そもそも夫婦間で夫は仕事と妻の相手以外の一切をしてないのかのう?儂は趣味の時間やだらける時間を減らして妻の相手をすれば良いのではないかと思うんじゃが。まあ、構って欲しいと言うのが恥ずかしくて、そっちに気を取られて良く考えておらんのじゃろう。」


 そうだよな。普通、『仕事か私』っておかしいよな。他に時間をかけてないのかって話だよな。他の時間が一切取れない仕事の場合は所謂ブラック企業ってやつだよな。

 そうすると、『仕事か私』ってのは責めてるように見せかけて、夫の体調を遠回しに心配してたのか。

じゃあ、このフレーズがでたら「ツンデレ乙」って言えばいいのか?


ん?ん?


「煙にまくんじゃねぇ!!質問に答えろや!おい!!もう、アレだかんな、すっげーチートじゃねぇと満足しないからな!!とっとと転生させやがれ!!」

「これだから、最近の若い者は。結論を言えばいいんじゃな。お主はもう転生しておるよ。」


は?


「は?何言ってやがる!まだここにいんだろうが!さっさとチートよこして異世界に送れよ!」

「じゃから、お主はこの白い空間しかない異世界に、儂と同じ種族に転生しておるじゃろうが。」

「は!?おい、どういう事なのかしっかり説明しろ!結局俺は何になったんだよ!!」

「むう。何になったと言われても、摩訶不思議な術を用いて儂と殆ど同じじゃな、と分かったのじゃ。ここで言う、殆どというのはじゃな、個体差ぐらいの極々些細な差じゃ。して、どういった存在か、じゃなetc…」


 こうして、ゆっくりと問答を通じて自分が何になったのか、何をすればいい存在になったのかを教えてくれた。

 

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