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もしかすると俺の息子は異世界転生者なのかもしれない ~生まれて間もない息子は「ステータス」だとか「はずれ」だとか言っているし、妻は気味悪がって家を出ていってしまったし~  作者: 鏡読み
第五章 魔の領域へ 親子編

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第31話 異変があったのかもしれない

 パーシル達はさらに、ティルスター大森林に沿って移動し続け、ちょうど北の位置に巨木が見える場所までやってきていた。

 ここから少し北上すれば魔の領域に入ることになる。


 パーシル達は当初の予定通り馬を逃がし、荷台はアーランドが運ぶことになった。

 ヴェインの身体強化の魔術で赤い瘴気は払えることが実証されたが、効果時間は数分程度のため、馬は魔の領域にはつれていけないと判断したのだ。


「本当にここに入るの?」

「そういう依頼だろうに。腹をくくれ、レイン」

「エルフは信心深いのよ~」

「お前がいうか? ちょっと杭を取ってくれ」


 レインが荷台に乗っている杭をパーシルに手渡す。

 パーシルがそれを手早く打ち込み、地面に突き立てる。


「ここからスタートだ。行こう」

「おう」

「オッケー」

「行こう」


 アーランドが荷台を引く、馬ほどの速度は出ないが、歩く程度の速度は出ている。

 視力の高いレインは荷台の側面を歩きながら周辺の警戒を担当し、ヴェインは荷台に乗りながらパーシルに杭を手渡す。

 パーシルはヴェインから受け取った杭を地面につきさし、約百歩の間隔で同じ作業を繰返しながら、進行を進めていく。

 これは帰り道を確かにし、後続が迷わないようするための工夫だ。


 そして夜になり、魔の領域の進行調査の一日目は無事に終了した。

 予想されていた魔物の襲撃などはなく、不気味なまでに平穏な一日であった。


 パーシル達は火を起こし、荷台の警護をしながら夜を越すことにした。


「こんなに楽だなんて、いったいどういうことかしら」

「楽観視するのは良くないが、枯れた地面を見るに、おそらく魔物の餌となるものが無いんだろうな」


 レインがたき火にマキを足し、あくびをする。

 視界が開けないというのは精神的なプレッシャーが大きい。

 レイン本人は楽といったが、日中常に周辺の警戒をしていれば、精神的な疲労は相当なものなのだろう。


「そろそろアーランドと交代したらどうだ?」

「んー……そうね。そうする。パーシルは大丈夫なの?」

「大丈夫だ。徹夜は慣れた」

「まったく、いつの間にか親の顔しちゃって」


 くすりと笑いレインは荷台で眠るアーランドを起こしに行った。


「こんのぉ!」


 そして荷台にのぼったレインは足を振りかぶり誰がどう見ても全力でアーランドを蹴り飛ばした。


「ん。なんだ」


 実に荒っぽい起こし方だったが、レインの蹴りはさほど痛くはなかったようでアーランドはむくりと起き上った。


「交代よ。寝る場所変わって」

「心得た……くあぁぁぁ」


 そして、アーランドは少し寝ぼけながらも剣を手に、たき火のそばに座り込んだ。


――まったくこんな場所にいるのに、二人とも変わらないな


 パーシルはいつも通りの二人に安心を覚え、少し笑った。

 その後、アーランドと少し話をし、パーシルも休むことにした。


 次の日以降、二日目、三日目共に魔物に出会うことなく、パーシル達は順調に進行を進めていた。


「おぉ、みんな見てくれ。あったぞ」


 そして四日目、馬車をひくアーランドが声を上げた。


 それは古く錆びついた鉄の杭だった。

 20年前、おそらくこの領域の調査に入った者が残していった道しるべ。


「情報通りでよかった。これが見つからなければそろそろ引き返すところだったし」

「というかさ、魔の領域どれだけ広がっていんのよ!」

「俺たちの進行速度はそこまで早くないが……あまり考えたくないな」


 このままこの瘴気が広がり続ければどうなるのか、最悪の想像がよぎりパーシルは頭を振って追いやった。


――今はそれを考えている時ではないな。


 パーシルは荷台を押すように手を置いた。 


「アーランド、予定通りこのままこの杭を追って北上していこう」

「わかった」

「ああ、目指すは第一拠点だ。もし杭が途切れたり、拠点が見つからない場合は撤退で」


 先人たちの目印を頼りにパーシル達は進行を進めて行った。

 杭は順調に北に向かい設置されている。


 パーシルが荷台を押していると、荷台にで座っているヴェインと目があった。


「ヴェインありがとう。ヴェインが手伝ってくれたおかげでだいぶ順調だ」

「別に……どういたしまして」


 照れているのか、口数少なく、ヴェインはそっぽを向いた。

 パーシルは少しショックを受け、そんな自分に苦笑し、荷台を押す作業に集中することにした。


 杭打ちの作業が無くなり、道しるべがある分パーシル達は速度を上げ、順調に魔の領域を進行していった。


「ねえ、何か変じゃない?」

「武器が落ちてる。それも同じものが」


 異変に気が付いたのはレインとヴェインの二人だった。

 一度荷台をとめ、周囲を探索してみると、既製品なのだろうか、同じデザインの剣や、槍がちらほら落ちている。


――このあたりで、何か争いが? それにしても……統一された武器は、軍か?


 首をかしげつつも荷台をしばらく進めると、アーランドが前方に何かを見つけた。


「見ろ、テントだ」

「拠点についたのか? いや、それにしては……」


 アーランドの言うとおり通り、パーシル達の前に詰めれば10人以上が入れるだろう大きなテントの影が赤い瘴気越しに浮かび上がる。

 その数は20強、テントのほかには特に何もなく、どこからかうめき声が聞こえてくる。


「ずいぶんと新しいテントではないか」

「どういうことだろうか」


 パーシル達が警戒しつつもテントに近寄ってみる。

 それは、20年前の拠点にしては、やぶれもなく、ずいぶんきれいな物だった。


――誰かがここを改修して利用している?


「助けて……」


 突然、パーシル達のたちのそばのテントが開き、女の子とが杖を持ち、よろよろと歩み出てきた。


「助けて……ください。私はジュピテル、ムーンレイルの軍属魔術師、です」


 そこにいたのはヴェインと同じ年か少し上の、金髪の少女だった。 


ここ何日か誤字報告を頂き、ありがとうございます。

なかなか、修正をする時間が取れないので大変助かっています。


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