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ファーストアクションーー観察

 一瞬の浮遊感ののち、見たことない景色が目の前に広がる。


 石造りの部屋。


 簡素な部屋には蝋燭の光が揺れ、多くの魔術師と思われる気配が周りを囲んでいる。


 足元には魔法陣が描かれ、膨大な魔力を使った儀式魔法の残滓たる、魔素の粒子が視界を妨げていた。


 状況が分からず辺りを見回す生徒たちを他所に、春人は自らの手を確認し、すぐさまスキルを発動する。


【思考加速】


 すると思考は1万倍にまで加速され、周囲の動きが停止したような、加速世界へと変貌する。


 やはり、生徒のみんなは外見はそのままなんだな……


 加速世界で春人はゆっくりと思考に耽る。


 思考加速は、認識のみ加速させるため身体を動かすことが出来ない(厳密には1/10,000の速度で動くのだが)

 なので視界も動かせないのだが、【魔王眼】の持つ【万能感知】により全方位の情報を知ることが出来るのだ。


……では何故、自分だけ魔王の姿で召喚されたのか?


 その答えはすぐに判明する。


 この気配は、間林先生か


 辺りにいる生徒たちの反応とは明らかに異なる強大な反応が近くにあった。


 うっすら残っている過去の記憶からして、生徒達は一流冒険者ほどの実力を持っているようだが、その反応はそれすら霞んで見えるほどの大きな反応だった。


 大魔導士、もしくは大賢者といって良いだろう、とてつもない魔力を携えた存在がそこにあった。


 まさか、間林先生がこちらの世界の人間だったとは。


 春人は納得しつつ、自分が魔王の姿となった理由が推測できた。


 これは多分、先生があちらからこちらの世界に戻る時に、元の姿と能力を取り戻すための処置なのだと思われる。


 上位命令とか言ってたから、多分そうなんだろうな……


 間林先生のみが恩恵を受けるはずだった特別処置のはずが、思わぬ形で思わぬ人物がその効果を受けてしまった、というのが現状の結果なのだろうと結論づけた。


 これじゃ、まさに強くてニューゲーム状態じゃないか……


 春人は先程通学途中に剣壱と話した内容を思い出し、心の中でため息をついた。


 自らのステータス情報を表示する。


[名前]ヴァルドグランド

[種族]魔人族(魔王種)

[体力]2,200

[魔力]1,090/1,100

[筋力]450

[攻魔]1,800

[耐久]720

[抗魔]1,500

[俊敏]400

[称号]漆黒ノ魔王、偽ル者

[加護]なし

[ユニークスキル]魔王眼、憤怒ノ大罪

[エクストラスキル]魔王覇気、闇属性効果(極)、具現化(闇)、属性付与(闇)、詠唱破棄(闇)、影操作、闇属性吸収、妨害魔法無効、状態変化無効、呪術無効、属性耐性(地・水・火・風)、思考加速

[コモンスキル]思念伝達、言語理解

[カウンタースキル]偽装鑑定、思考加速(追従)


 うん。チートかな?


 だが、このままこちらの世界に魔王が復活したとなれば、世界が混乱に陥る事は容易に想像がつく。


 くっ……


 ズキリと頭が痛む。


 人間と魔族が血で血を洗うような、壮絶な戦いの記憶がいくつも脳内にフラッシュバックする。


 こちらの世界は魔王が斃された事により平和な世界になっているはずだ。


 断片的にしか記憶がないが、昔の自分は壊したいほどこの世界を憎んでいたようだが、今は違う。


 平和な世界に暮らしていたただの高校生だ。


 危険など犯さず、また元の世界に戻れればそれでいいのだ。それにーー


【万能感知】にて、七海の存在を確認する。


 向こうの世界では、まだ不器用で、出来ること少ない未熟な少年だった。だが、あちらの世界の暮らしは幸せであった。


 何のためにこちらの世界に呼び出されたのか分からないが、その要件を終えてすぐに元の世界に帰るのだ。


 そのためには、この姿は妨げになるはすだ。


 そう思い、春人はすぐさま【万能変化】を発動させた。


 変化先は先程の転移時に手に入れた「倉戸春人」の姿だ。


 スキルを発動させると、周囲に闇が渦巻き、身体が再構成される。


 視界に見えていた褐色の肌が見覚えのある黄色人種独特の肌に作り変えられ、視界に入っていた長い銀髪も黒に染まり元の髪型に戻っていく。


 あとは……


 春人は【魔王眼】による鑑定を行う。


 対象は近くにいた生徒3名だ。


 七海を見つけて異常がないか鑑定したいと思ったが、なんだか彼女の着替えを覗くような行為に思えて、気が引けた。なので対象は近場の生徒にした。



[名前]大瓦(おおかわら) (ごう)

[種族]人間族

[体力]120(+50)

[魔力]30(+50)

[筋力]110(+50)

[攻魔]50(+50)

[耐久]90(+50)

[抗魔]60(+50)

[俊敏]45(+50)

[称号]不屈ノ拳闘士

[加護]聖刻

[ユニークスキル]必殺ノ拳

[エクストラスキル]金剛力、物理攻撃耐性(中)、鑑定、魔力操作(地・水・火・風・光・闇)、空間収納

[コモンスキル]言語理解

[カウンタースキル]なし


[名前]鍵谷(かぎや) (まもる)

[種族]人間族

[体力]80(+50)

[魔力]100(+50)

[筋力]55(+50)

[攻魔]85(+50)

[耐久]65(+50)

[抗魔]115(+50)

[俊敏]30(+50)

[称号]必中ノ狙撃手

[加護]聖刻

[ユニークスキル]なし

[エクストラスキル]属性付与(風)、魔法攻撃耐性(中)、魔力操作(地・水・火・風・光・闇)、鑑定、空間収納

[コモンスキル]遠視、空間把握、必中、射撃武器補正中、言語理解

[カウンタースキル]下級魔法反射


[名前]塔野(とうの) 茉凛那(まりな)

[種族]人間族

[体力]60(+50)

[魔力]80(+50)

[筋力]40(+50)

[攻魔]55(+50)

[耐久]35(+50)

[抗魔]60(+50)

[俊敏]60(+50)

[称号]聖光ノ癒手

[加護]聖刻

[ユニークスキル]女神ノ祈リ

[エクストラスキル]回復効果大、光属性効果大、支援効果大、魔法攻撃耐性、魔力操作(地・水・火・風・光・闇)、空間収納

[コモンスキル]体力低下感知、敵意感知、言語理解

[カウンタースキル]即死効果無効



 ふむ。


 3人の鑑定を終え、偽装ステータスを設定する。


[名前]倉戸 春人

[種族]人間族

[体力]70(+50)

[魔力]80(+50)

[筋力]50(+50)

[攻魔]40(+50)

[耐久]50(+50)

[抗魔]60(+50)

[俊敏]60(+50)

[称号]黒魔法ノ使イ手

[加護]聖刻

[ユニークスキル]なし

[エクストラスキル]具現化(闇)、妨害効果大、魔法攻撃耐性、万能感知、魔力操作(闇)、上位鑑定、空間収納

[コモンスキル]言語理解

[カウンタースキル]なし


 こんな感じかな?

 魔王のステータスで攻撃魔法とか使ったら洒落にならないので、暫くはデバフ、索敵系の後方支援キャラの設定で行こうと決める。


 闇属性しか使えないとか、ギフトでみんなが持っているスキルが無いとかは、上位スキルを取得したので失敗したということで誤魔化せるであろう。


 それにしても、気になるのは全パラメータに+50の補正がついているところだ。


 自分のステータスがチート過ぎるので実感はないが、過去の記憶をたどると、この補正値だけでゴブリンやオークぐらいならば斃せてしまうほどである。


 ぶっちゃけ、自分ほどではないがクラス全員がチート冒険者なのである。


 これならばクラスのみんなで、この世界で転移者無双して、元の世界に戻るのも難しくないだろう、と春人は楽観的に考える。


 だが、春人はこの時の考えが甘かったとすぐに後悔する事となる。


 前世で、何故この世界を憎んでいたのか――


 春人の――いや、魔王ヴァルドグランドの2度目の冒険がここから始まるのであった。

早くも建物シリーズの名前が尽きてきた…


今回使ったのは瓦、鍵、塔でした。


どうして35名も異世界転移する話にしてしまったのだろうか、と早くも後悔しております……

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