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自衛隊空母『あまぎ』戦記  作者: 高本五十六
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第八話 敵機襲来

8月2日 04時50分


『あまぎ』ブリーフィングルーム。

艦長の西島、飛行群司令の石丸、そして飛行隊のパイロットたちがいた。『あまぎ』飛行隊は『ガルーダ隊』『バルチャー隊』『ファルコン隊』の三つの隊から成り、それぞれの隊に『F35BJ』が五機配備されている。

「知っての通り、佐藤総理より防衛出動命令が下令された。諸君らには出撃に備え待機することとなる。現在、先島諸島近海にいる東亜国海軍空母『ガウルン』には『Su30』が60機搭載されていて、『Su30』は空戦能力の他に対地・対艦攻撃力も兼ね備えたマルチロール機であり、長距離射程の対艦ミサイルはこの『あまぎ』にとって最大の脅威となる。数は向こうが勝っていても、我々飛行隊はこの『あまぎ』を全力で守らねばならない。分かっていると思うが、これは訓練ではなく、実戦である。敵機を捕捉したら、撃墜を許可する。ただし、まずは警告し、相手が撃ってくるまでは撃つな」

「撃墜」という言葉にパイロット達の身が引き締まる。

「石丸司令、私からも付け加えたいことがある」

「はっ」

西島が飛行隊全員の前に立つ。

「一機も失うな。迷ったら撃て」

飛行隊全員が一斉に西島の顔を見る。皆が驚いたように目を見開いている。

「いいな。一機も失ってはならないぞ!」

「了解!!」

皆が一斉に返事をした。


05時00分 あまぎCIC


「スクリュー音、探知!!」

ソナー員からの報告に佐々木は振り向いた。

「本艦隊の後方、距離5マイル、深度600!」

「まさか、東亜国の潜水艦か?!」

佐々木が聞く。

「いえ、これは米海軍のバージニア級です。他にもいます」

「米海軍?米海軍がなぜ」

「高みの見物だろうな」

ブリーフィングルームから戻ってきた西島が言う。

「高みの見物?」

「米軍も興味があるのだろうな。この『あまぎ』の戦闘データが」

同盟国とはいえ、完全に信用することはできないということか、と佐々木は眉をひそめた。

「引き続き、対空・対潜警戒を厳となせ!」

「了解!!」

そこへ早期警戒機『ホーク・アイ』からの無線が入ってきた。

「『ホーク・アイ』より『あまぎ』へ!東亜国海軍空母『ガウルン』に動きあり!!戦闘機と思われる五機が発艦、要警戒せよ!!」

『ホーク・アイ』のデータとリンクした『あまぎ』のディスプレイに五つの点が示され、まっすぐにこちらへと向かっていた。

「『Su30』だ。現在の距離は?」

「我が艦隊との距離、400マイル。敵のミサイル射程圏内まで約35分です!」

「各艦の補給の状況はどうなっている?」

梅津の問いに佐々木が答えた。

「現在行っている『いかり』への給油で最後です。急いでも50分は掛かるものと」

「うむ、ならば『あやなみ』と『あすか』に迎撃させるしかないか」

梅津が西島に命ずる。

「艦長、各艦に対空戦闘用意を!」

「はっ!!」

マイクを手に取る。

「『あまぎ』から各艦に達する。対空戦闘用意!!」

マイクのスイッチを切って、佐々木に言う。

「副長、艦橋にて操艦せよ」

「了解!」

佐々木はCICを飛び出して行き、艦橋へと向かった。


いよいよ本格的な戦闘が始まることを、『あまぎ』護衛隊群の全隊員が覚悟した。

第六話を大幅に修正しました。

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