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田白さんの自宅に向かう電車の中で、僕は、本気で、こう思っていた。
(身体の中が健全であれば、人として生きるに特に問題は、ないのでは?)と。
田白さんの自宅に着くと、いつも通り、彼とたわいもない話をして、まったり寛いでいた。
僕たちは、話すことがなくなって、しばし、僕ら二人の間に少しの静寂が訪れたが、それは、田白さんから、打ち破られた。
「黒田くん、君は、実は、私では、ないのかね?」
僕、黒田は、確かに、そう聞こえたので、少々とまどいながら、
「白田さん、貴方の言っている意味が、よく分かりません。」と答えた。
ここで、僕と田白さんとの関係について述べておく。
僕と田白さんは、共通の知人を介して知り合い、それ以降、大分、長い間、交流してきた。
しかし、今、この現在においても、僕は、誰かに、「あなた、田白さんと、どういう御関係?」と誰かに聞かれた時、「知人ですよ。」と言うだろう。その言葉通り、僕は、田白さんのことを今では大体、知っていると思っていた。
話を戻そう。
田白さんは、僕が言ったことに対しての返答と思われることを話し始めた。
「実はね、私の身体は、本当にボロボロでね・・・この部屋の隣の隣には医師と看護師がいるが、私が誰かと正常に話が出来るのは、あと小一時間くらいらしんだ。」
僕は、黙って、彼の話の続きを待った。田白さんは、勢いよく再び話し始めた。




