嘘をついても良いという日、エイプリルフールに嘘をつく.....ってあれ?今日は何月何日??
「ついに....ついに一年に一度のこの日がやってきた!!!」
俺はカレンダーを見ながらそう呟いた。4月とされている。
俺はこの日を待っていた。
エイプリルフール。
それは4月1日に行われ、その日は嘘をついていい日ということになっている。
起源とかそういうのはよくわからないが、嘘をついていい日となれば堂々と嘘をついてやろう。
どんな嘘をつこうと考えるだけでワクワクがこみ上げてくる。
「まずはどんな嘘から言ってやろうかな。某オフ会0人だった伝説のユーチューバー復活でもいいなあ」
そう言いながら部屋を出て言った俺は日差し照りつける道を、意気揚々と歩き出した。
エイプリルフールの昼は特にかわりもない日だった。
本来学校があればいろいろを嘘をついて回れるが、残念なことに今日は休みだ。
「誰かいないかなぁ......お!あんなところに!!!」
向こうに知り合いを見つけるとおーいと呼びつけ、いきなり嘘をついた。
「これから雨降るってさ!!」
こんな堂々と嘘をつける日があるなんて素晴らしいじゃないか。少しばかり微妙な気がするが、嘘をつくことが重要で、内容はそこまで良いものでなくても良いだろう。
「お、おうそうだな......」
少し微妙そうな表情だったが、俺にはとても満足を得られるものだった。
1回嘘をつくと、警戒される恐れもある。とりあえずこれで勘弁してやろう。
「なんといういい日なんだ!よーし、他の奴にも嘘をついていこう!!」
俺は、友人と別れ、そんなことをつぶやく。
「もっと、もっと、嘘をつきたい!!」
その欲望に駆られた俺は、片っ端から嘘をついた。
「昨日サメと戦ってさー」
「この前俺宇宙人と遭遇してさー」
「昨日神様が現れて、願いを......」
というまるで小学生のような嘘をついた。。何回も、何回も、嘘をつくたびに俺は嬉しそうな表情になっていく。
「いやーいい気分だ。すこしへんな表情されるが、まあ嘘が上手いわけじゃないしなあ」
ふと、とんでもない嘘を思いついてしまった。漠然とした、だがそれはとても恐ろしい.....。
「ふふ、素晴らしい、なんていい嘘を考えついてしまうんだ...!早速誰かいないかな....そうだ!」
重大発表とか何とかと言って、電話で友人を集めた。
もちろん既に嘘をついた奴は呼ばなかった。わざわざ呼んで嘘だとバレたら元も子もないだろう。
俺には友達がいっぱいいて、嘘をつくだけなら問題ない。
数分経ち、呼んだ者たちが集まって来た。前に立ち、少し厳しそうな顔で全員の顔を見る。
「なんだよいきなり重大発表とか言って呼びつけてさ」
少し不満そう
「世界の終わりがくる!!!俺たちでどうにかして止めないと...!」
「そうか.....」
その発言に、そんなことかというような表情でこちらを見てくる。
「エイプリルフールだからってそんなネタ言われても誰も信じないと思うぞ......あと.....」
少し間を空けてさらにこう告げた。
「エイプリルフール、もう終わったぞ?」
「え???」
少しばかり静寂が訪れた。
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エイプリルフール終わった日に「エイプリルフール」と嘘をつく一周回って策士の黒豆パンであった。