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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

現実世界のダンジョンが俺の家にもやって来た(仮)

作者: 鹿鳴館

今、このネタが流行っているようなので、自分も流れに乗ってみました。


短編ですが、反響あるなら連載作品に、作り替える予定です。

 ふう……


 暖かい日にもかかわらず、熱いココアを入れて一口飲んで、自分を落ちつかせる。


 何故こんな方法で、落ち着かなければならないかは、ちゃんとした理由がある。



 いまだに慣れない農作業が一段落したところで、風呂場に向かい扉を開けたら、あるはずの浴槽はなく、替わりに(くだ)る階段があった。


 現実から逃げるが如く、扉を閉めて頬を両手でバチンと叩き、目を擦った後に深呼吸してから、もう一度扉を開ける。



 結果、浴槽のない状況を再確認して、さらに混乱するはめになった。



 独りでドタバタした後、しばらくして自分のとる行動を決めた。


『アレ』があの有名なダンジョンなら、役所に報告しなければいけない。


 だけど、聞いた知識とダンジョンの入り口が違いすぎる。


 だから、ネットで調べて『アレ』が、世間で有名なダンジョンなのか確かめてから、役所に知らせようと思った。


 残念な事に、俺はダンジョンについての知識が乏しい。


 今、俺が知っているダンジョンの知識とは、中国とインドを滅ぼし、アメリカ合衆国を半壊させ、日本の食料事情や経済を、大混乱に陥らせた事と、数年前に日本にもダンジョンが出現して、大騒ぎになった事だ。

 だが、日本にダンジョンが出現した頃には、ダンジョンの扱い方が、ある程度解明した後だったから、日本に大きな被害は未だない。


 ダンジョンの知識は、それしか知らないので、ネットに頼る事にした。


 書き込みや情報が多すぎるので、今回は概要だけ調べてから、突如現れた階段を降りる事にした。


 そして、モニターを見ながら、大まかな事柄を抜粋して読んだ。



 ① ダンジョンは8年前、突然中国とインドに出現した。


 ② ダンジョンには、今の科学では説明できない資源があった。


 ③ ダンジョンには、モンスターが存在して、それを倒すと消滅して、代わりに魔石と稀に不思議なアイテムを落とす。


 ④ ダンジョンのモンスターは、定期的に間引かないと、入り口からあふれ出てくるらしい。


 ⑤ ダンジョンその物を破壊しようとして、重爆撃したところ、信じられない強さのモンスターが出現して、広範囲をモンスターが襲った。

 これで、中国、インドが滅び、アメリカにも大きな被害をもたらした。

 余波で北朝鮮と韓国も、領土の大半をモンスターに制圧された。


 ⑥ ダンジョンにはいくつも入り口があって、日本にも大小合わせると、現在1000箇所を超える入り口があると報告されているらしい。



 ⑦ ダンジョンの入り口は、大きい物でトラックが出入り可能な大きさで、 小さい物だと、人が2人同時に入るのがやっとの大きさで、個人宅の倉庫に出現した例もある。


 ⑧ダンジョンで一番弱いとされているモンスターは『巨大ヘビ』『巨大モグラ』『巨大コウモリ』の3種類である。



 今は、これだけで充分だ。


 倉庫からスコップと大型のハサミを用意して、ハサミはリュックに入れて、趣味で購入した、超強力なLEDライトを2つ装備して、風呂場の入り口まで戻ってきた。



「にゃぁ~」

「ニャァ~」


 俺の可愛い愛猫たちがやって来た。

 なんてタイミングの悪い。


「フロー、フェイ、まさか一緒に行くなんて言わないよな?」


「にゃっ」

「ニャッ」


 付いて来るつもりらしい。


「フロー、フェイ、お座り! そして待て」


 愛猫たちは、行儀良く座る。


 この猫たちは『お座り』『待て』『お手』が出来る

 スーパー猫ちゃんなんだ。


 たぶん以前飼っていた犬のお陰だと思うが、それでも凄い。


 だが、今回は言うことを聞いてはくれなかった。


 仕方ない、反射神経は人間以上だからいざとなったら逃げられるだろう。



 階段を30段も降ると通路になった。

 しかも予想に反して辺りは明るい。


 壁と天井が発光していると思われる。


 通路の幅は、歩幅で調べると5メートルくらあり、天井もそれくらいは有りそうだ。

 気温、湿度共に快適だ。



 一本道の通路を少し歩いていると、高校の教室程度の広さになって、また同じ幅の通路が続いている。


 今度はしばらく歩くと、Y字に道が分れている。


 猫達を見ると、俺の行動を待っているようだ。


 分かれ道を、右に進むと広間に出た。


「しゃ~!」

「フゥゥッ」


「キキッ」


 真っ赤な目をした巨大モグラを発見した。

しかし、発見と同時に、こちらの存在も見つかってしまった。


「ちっ」

 こちらの声か、LEDライトの明かりのせいだろう、自分の迂闊さに舌打ちをする。


 しかしこの大きさで、たった1匹なら、倒すか逃げる事が出来そうだ。


 どちらの行動も取れるように、スコップを構えて、じっくりと巨大モグラを見つめる。


 巨大モグラは直ぐに襲ってきた。

 速い! 想像以上の移動速度に驚いて、反射的にスコップを動かした。


 ガンッ!


 偶然動かしたスコップに巨大モグラがぶつかってきた。

 なんで重さだ……たった1度の体当たりでよろける。


「しゃぁっ!」


 フローの威嚇で、相手はフローの方に向きを変えた。


 今だっ! 体勢を立て直して、思いきりスコップで叩く。


 ゴン!


 巨大モグラは効いた様子もなく、俺の方に体当たりしてくる。


 ドシン!!


 あまりの速さに、避けきる事が出来ない。

 しかも、ラグビー選手のタックルでも受けたかの様な衝撃が走る。


 実際には、ラグビー選手のタックルなんて喰らった事はないけど。

 それほどの凄い衝撃って事だ。


 くっ、胸が軋むように痛い……怯んでる間に、次の攻撃が来るかも知れない。

 焦る……ダンジョンを甘く見すぎていた。


 テレビや雑誌から『ちょっと危険な物』程度の認識しかなかった。

 本当にこれが、最弱モンスターなのか?


 痛いのを我慢して、スコップを振り回す。

 何度も攻撃しているのに、1度も当たらない。


 敏捷性でも完全に負けている。

 そして、腕を降り下ろしたタイミングを狙われて、腕の肉を食いちぎられた。


 血がダラダラと流れ出ていくが、逆に冷静なった。


 こちらから攻撃しても当たらないから、突進してくる動きに合わせて、スコップ振る。


  動きが直線的だからバッティングの要領で、うまく命中したけど、大きなタイヤを殴っている感じがして、効いた様子もない。


 何回かこの要領で殴ったが、ダメージをどのくらい与えたか判らない。

 まさか、ダメージを受けてないって事は、ないよな?



 そして数回攻撃しただけで対応されて、まともな体当たりを受けた。



 ボキン!


 骨が折れ、俺は転倒した。

 この後、巨大モグラの動きがスローに見えた。


 俺の首を咬みきるのだと、何となく解った。


 この時、俺は自分の死を悟った。


 目を閉じて死を待つが、巨大モグラの牙や爪はやってこなかった。


「にゃあ!!」

「ニャッ!!」


 目を開くとフローとフェイが巨大モグラの鼻先や尻尾に噛みついていた。


「フロー! フェイ! 危ないっ、逃げろ!」


 助けてもらったのはいいが、フローとフェイの事が心配だ。


 助けに行かなくては。


 スコップを手にした時、フローとフェイは引き剥がされた。


「ぎゃん!」

「フギャッ」


 しかも、相手の鼻先にかじりついていたフローが、逆に噛まれた。


「フロー!? このぉ!」


 俺の方を見ていなかった巨大モグラに、スコップが突き刺さるが、土の固い部分を掘ったと思えるくらい、深く刺さらない。


 何度も攻撃しているうちに、反撃されて転倒する。


 くそっ、なんて力だ……これがダンジョンのモンスターか。


 相手のとどめと思われる攻撃は、フェイが実を呈して守ってくれた。


「フェイ!!」


 吹き飛ばされたフェイの暴れ方が尋常じゃない。

 自動車に跳ねられた、小動物を連想させる。


 さらに、食いちぎられたフローは動いてない。


 もうフローとフェイは助からないだろう。

 一緒に連れてきたのを酷く後悔した。


 フロー……フェイ……せめてお前達の仇はとってやるからな。



 背中のリュックから大鋏を取り出して、巨大モグラに向かって突き刺す。


 1回、2回、3回。

 代わりに肩口を深く咬まれて激痛が走るが、気にしない。

 4回、5回!?

 5回目の突き刺した攻撃は、思いの外深く突き刺さった。


 急所なのかも知れない。


 だが、乗っかっていた巨大モグラの体重を感じなくなったところで、俺の意識はなくなった。



 ◇

 ◆

 ◇



 気がつくと、水色の綺麗な部屋で立っていた。


「ここは?」


『ようこそ、始まりと終わりの場所へ』


 声の方を振り向くと、正体不明の人と思われる者がいた。


 顔や姿を見ているのに、その瞬間に記憶から消えていくので、表現出来ない。


「あなたは、誰だ?」


『ボクの事かな? ボクはただの案内人だよ、気にすることはない。 この部屋は【悠久の迷宮】で初めてモンスターを倒した者に開かれる【覚醒の間】だよ』


「えっ? と言うことは、あの巨大モグラを倒せていたのか」


『そう言う事だね。 でも倒したのは(ジャイアント)モールって名称だけどね。 君は迷宮の探索者の資格を得たんだ』


「探索者?」


『そう! 探索者は、モンスターを倒す度にレベルが上がり、強くなっていくんだ。 先ずは君のジョブを見よう……面倒くさいから、一緒に見ようか。 はい!』


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

 ネーム……鹿鳴館

 ジョブ……一般人

 レベル……1

 HP…………26+34

 STR……4+17

 SPD……3+17

 INT……5+17

 MID……6+17

 MP…………11+34

 補正…………孤児(みなしご)補正、双子補正、四兄弟補正

 スキル……なし

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


『ボクは何十億と探索者を見てるけど、この世界のほとんどが一般人なんだよね。 不思議な世界だなぁ。でも、補正項目が孤児、双子、四兄弟って、1つ1つは微々たる物だけど、集まると凄いなぁ、能力値だけで見ると、5倍から6倍くらい強くなったね』


 俺の両親は、血が繋がってないのは知ってたけど、双子で四兄弟って初めて聞いたな。


『何のスキルも得られない【一般人】じゃ、迷宮を攻略するなんて難しいよね。 でも安心してっ、ここはスキルを与える部屋なんだから』


 すると、たぶん男だと思うけど、その者の隣に回転してるルーレットが突然現れた。


『君はこれから、その手に持っているダーツを投げて得られるスキルの回数を選ぶんだ』


 いつの間にか、手にはダーツが握られている。


『さぁ、投げて』


 言われれままに、ダーツを投げる。

 ダーツはうまく的に刺さり、ルーレットは減速していく。


『そろそろ判るけど、スキルの取得数は1つから4つだよ。 4つのスキルがあれば迷宮探索も楽になるね。 まあ、確率は1割だけど。 あっ止まった……おお、君のスキル取得数は【3】だ。おめでとう!』


 的の配分をみてると、4割、3割、2割、1割ってところかな。

 ま、ラッキーな方だな。

 するとルーレットが回り始めた。


『さあ、今度はスキルの種類を選んでもらうよ、さあダーツを投げて。1投目、開始!』



 ダーツをルーレットに向かって投げた。

 刺さったのは、スキルとスキルを分けているラインだった。


『はぁ? そんなのありぃ? ぴったりラインのど真ん中だよ。 だけど判定はどうかな? えっ!? いいの? ……』


 なんだ? どうなった?


『んっと、1回目は【回復魔法】と【早熟】のスキルを手にしました、こんなこともあるんだね。君は1回目のスキル取得で、偶然にも2つのスキルを手にしたんだよ』


「回復魔法と早熟か便利そうだな……使い方は?」


『【回復魔法】はスキルが使用できるレベルに達したら自然と覚えられるよ。【早熟】はMPを使用しないパッシブスキルだよ。 例えば1つ目のスキルをレベル5で覚えられるなら、レベル4で覚えることが出来るんだ。 つまり君は、レベルが4になったら【回復魔法LV1】が使えるようになるんだ』


 ふうん、あんまり便利じゃないんだな。


『じゃ、2投目をよろしく』


 言われた通り、2回目のダーツを投げた。

 ……あれっ? なんかまたライン上に刺さったような……


『ええ~!? 今回はギリギリでずれているよね……えっ、ライン上ぴったり……はぁ、2回目は【火魔法】と【アイテム鑑定】を手にしました』


 回復魔法に攻撃魔法なんて、バランスが良いな。


『火魔法も、使い方は自然と覚えられるね。 ただし、セカンドスキルは、もっとレベルを上げないと取得できないから。 それよりアイテム鑑定もパッシブスキルだからね。 次もライン上なんて事はないだろうけど、頑張って』


 俺は最後のダーツを投げた。


 トンッ。

 放ったダーツは、またもライン上に刺さった。


『ちょっと、なにこれ? ……3回目はね【消費MP半減】【転職】が手に入ったよ……なにこれ』


「説明してくれるかな?」


『【消費MP半減】はスキルを使う時に消費されるMPが半分になるんだ。これもパッシブスキルでね。 【転職】はえっと……たしか一定のレベルに達すると転職できるんだ。 レベルは1からやり直しだけど能力値は変わらないはずだよ?』


「『たしか』とか『はず』とか自信ないの?」


『だって【転職】なんてスキルは、ボクの担当の探索者たちで、3人くらいしかいなかった超レアスキルだよ。 ……まあ、1回で2つもスキルを手にするなんてのは初めてだけど。 とりあえずおめでとう、最後に大事な事を言うけど、迷宮に戻ると、ここの部屋での記憶はなくなってしまうからね。それじゃ頑張って』


「えっ? なくなるって……待って、俺、兄弟の事が知りたいのに」


 しかし部屋の視界は、ボヤけていき、見えなくなってしまった。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

『珍しい探索者だった。でもこのルーレットどうなってる……あっ! …………そうか、ルーレットに幸運のスキルが掛かっていたのか。 しかしこの部屋に影響を及ぼす事が可能な程のスキルってなんだろうな。ボクで調べられるかなぁ? あっ、いつものセリフを言い忘れていたよ。』


【終わりかけたこの世界に、幸あらんことを】


『幸せになるかどうかは、探索者達の頑張り次第だけどね』

  △△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△



 あっ、俺は気をうしなっていたのか。

 ざらついた2枚の舌が、痛気持ちいい。

 …………えっ?


「にぃ」

「ニャ」


 目を開けて起き上がると、そこには無事? と思われるフローとフェイの姿があった。

 どうやら、気を失った俺のことを心配していたみたいだ。


 人の心配なんかしてる場合じゃないだろ?


「フロー、お前身体を噛みちぎられてなかったか? 見せてみな」


「にゃ~」

 傷口を、見せるような姿勢をとるフロー。

 本当に頭が良いなって、傷があるにはあるが……この程度?


「フェイは大丈夫なのか? 」


「ニャァァ」

 ひょいと、俺の肩に器用に登るフェイ。


 えっ? 肩に!? 噛みちぎられた筈の、腕と肩は?

 その部分はピンク色の肉が盛り上がっていた。


「痛っ」


 強く触ると痛いが、普通に触れても何ともない。

 まるで治りかけみたいだ。


 折れたはずの骨も、痛みはあるが、折れている気がしない。

 

 どうなってんだ? 考えられるのは、あの巨大モグラを倒した事しかないが……ん? これは。


 足下に、パチンコ玉くらいの大きさの、綺麗な石を見つけた。


 もしかしてこれが、魔石ってやつなのか?

 と、目を凝らすと『F級魔石』と表示されている。


 えっ、なにこれ? 魔石って表示がされている物なの?






「にぃ~」

「ニャ~」


 はっ、しばらく考え事をしていた。

 こんな危険なところで、危ないな。


「フロー、フェイ、帰ろう」


 そして役所に報告しなきゃな。


 魔石をズボンのポケットに入れて、来た道を戻る。


「ニャニャッ!」

 フェイ、フローが、急に止まって、俺に警戒を促すって、なんでフェイ、フローの言いたいことが解るんだ?


 とにかく、ゆっくり進むと、家に戻る階段手前の部屋に、巨大モグラが3匹もいた。


 今度こそ死ぬ……そう思った。


 巨大モグラは俺たちを見て、猛然と襲いかかってきた。


 あれっ? こいつ遅い? ラッキーだ、早くこいつを倒してフローとフェイを助けなきゃ。


 突進してきた巨大モグラを、スコップで叩きつける。


 以前は大きいタイヤを叩いたような感触だったが、今回はバスケットボールを叩いたくらいの感触しかない。


 巨大モグラは思いの他、吹き飛んだ。

 これなら、勝機がある!


 フローを助けようとしたら、 そのフローは猫パンチ1つで、巨大モグラを張り倒していた。


 なん、だと?

 フェイを見るが、フェイも相手を張り倒した後のようで、第2撃を与えていた。


 強すぎる? それとも巨大モグラが弱すぎなのか。


 俺に向かってきた、巨大モグラを再び叩きつける。


 あっスコップが折れた。

 すかさず、ハサミを取り出して、追い討ちをかける。


 フローとフェイをチラリと見ると、完全に巨大モグラを相手に無双してる。


 どう考えても、巨大モグラが弱いってより、フローとフェイが強くなったと考えた方がしっくり来るけど、そんな劇的に強くなった理由がわからない。


 それは、俺にも言える。

 巨大モグラは、ハサミで10回程度突き刺したあたりで、光の粒子になって消えた。


 代わりに、小さな魔石を落とした。


 魔石を拾っていると、横から別の魔石が転がってきた。


「にゃっ」

 察するに、フェイが猫パンチで、こっちまで投げてくれたみたいだ。

 頭が良すぎないか?


「ン~~」

 フローは、小刻みに魔石を転がしながら、何かを咥えている。


 どう見ても、ラップに包まれた肉にしか見えない。

 これが、高価で有名なモンスター肉なのか?


 じっくり見ると、またしても名前が表示された。


『モンスター肉・LV1』

『少し美味しい』

『食べると、ほんの僅かだが経験値が手に入る』


 驚いた、どうやら俺は鑑定のスキルを、身に付けたみたいだ。


 優秀すぎるフローとフェイを労おうとしたら、既にあごを差し出していた。


 前から頭は良かったけど、ここまで出来る娘だったか?


 フローを左手で、フェイを右手であごを撫でてやる。


 くぅ、めっちゃ、可愛い。


 しばらくスキンシップを堪能しあってから、階段を登り、ダンジョンを脱出した。


 これが俺の、大金持ちになるきっかけだった。

 そう、適当な人生を歩んできた、俺に刺激あふれた冒険の人生がはじまる。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 これが、コボルトの強さか? 舐めていた。

 巨大モグラを、楽勝で倒せるからって、調子に乗ってた。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ス、スライム……かなりの強敵だった。

 おや、スライムがアイテムをドロップしたぞ?

 瞳に力を入れると、文字が出てくる。


『スライムゼリー』

『肥料になる』

『水で100倍に薄めて使用する』


 なんだって!? 早速うちの庭で試してみよう。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 こ、これが、自衛隊の強さか、手の動きが全く見えないじゃないか。

 そこそこ強くなったと思っていたが、井の中の蛙だと理解した。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「いらっしゃい」


「魔石を売りにきました」


「探索者か? カードは持っているな? ああ……なら、見せてみな」


 俺はF級魔石を20個程わたす。


「おう、その魔石なら1個500円だ」


「安っ!?」


「ん? 兄ちゃん、買い取りははじめてか? まぁ強くなれば、その程度魔石なんて100個くらい簡単に集まるさ。 それより、ドロップアイテムは高く買い取るぜ」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 こうして俺は、少しづつ強くなっていった。

未完成な作品ですが、いかがでしたか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] ライトに読めて楽しかったです。 長編の導入という感じですね。 [一言] 魔法の存在をあっさり肯定……柔軟ですね、この主人公。
[一言] 連載キボンぬ
[良い点] ・フローと、フェイ。主人思いの猫ちゃんたちが可愛すぎ♪ [一言]  こんにちは、なるさん。上野文です。  御作を読みました。  ダンジョンにスコップとハサミで挑むんじゃなーい!?>▽<  …
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