真
ある日のことだった。
少しばかり青く、美しい女性はやってきた。
でもすぐに消えてしまう。
そんなことが度々あった。
それから僕は考え続けた-あれは現実、真実なのだろうか。
またやってきた。
今度もまたすぐに消えた。
違う、なにかが違う。
いつものように彼女はやってきた。
でも、彼女はなにか持っていた。
それが分かっただけだったが、嬉しくもあった。
気づくと彼女は来なくなった。
どうしたんだろう。不安だった。
その時不意に、あのとき彼女が手に持っていたものの正体が分かった。
それは、真実だ。
彼女は真実を持っていたんだ。
いや、仮にそうだとしても、彼女自身が真実でなかったら、彼女の持つそれも真実でないかもしれない。
そのとき、彼女はやってきた。
「ありがとう」
やっとわかった、全てが。
彼女は真実なんだ。
そして彼女の持つものも真実。
ただひとつだけ真実じゃないもの。
それは僕だ。