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始まり

 私の名前は『水島カンナ』。


 この小さな施設『ひまわり』で生活をしている。

 私が赤ん坊の頃にこの施設の前に捨てられていたところを保護され今日までここで暮らしている。

 そんな私は勿論両親の顔など覚えてるはずもなく唯一持っていたのは『カンナ』と書かれた紙と光の加減で色が変わる小さな黒い石が填まった指輪だけ。

 小さな頃は家族とはどんなものなのか。

 どうして捨てられたのか気になっていたけど、今ではここ『ひまわり』が私の家族だ。


 そんな私には今気になることが一つある。それは……。





「カンナ姉ちゃんどうかしたの?」



 その声にその声の主の方に意識を戻す。

 顔を上げればこちらを心配そうに見つめる千尋がいて周りの小さな子達までこちらを見ていた。



「ご、ごめんね!!ちょっと考え事してて!!」



 慌てて何でもないと手を振れば納得してくれたのか手元にある宿題に意識を戻ししてくれた。

 それをカンナはホッとした後自分の手元にある刺繍に目を向ける。

 そこにはカンナ自身が刺繍した青い薔薇が綺麗に縫われていた。

 それをそっと軽く指で撫で次に左胸の辺りに触れる。

 そこにある何かをおさえるように。



「(まただ……)」



 そっと目を閉じ自分の体温しか感じないはずなのに奥深くから少しの熱をおび軽い疼きを訴えるそこには物心覚える前から不思議な痣があった。

 保護してくれた人に聞けば拾った時からあったとのことで今ではあまり気にしていなかった。

 だがこの頃、日をますごとにその痣は自分を主張するかのように熱と疼きを訴え始めたのだ。

 最初は気のせいかと放置していたがその熱と疼きはとうとう気のせいだとは誤魔化せない位までになっていた。



「(いったい、どうしたんだろう)」



 そんな疑問を心の中で浮かべながらカンナは未だ問題が解けないで唸っている大切な家族を見つめその疑問を頭の隅に今一度置き彼の宿題を手伝うためにそっと微笑んで声をかけた。




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