7話
俺は扉をくぐりながら罠の類がないか入念に調べながら進む。
結構調べたが何もないのでゆっくりと進む。
俺は道中で日本語が書かれている理由を考えるが、やはりまだ分からない…だが4つの推測が思い浮かんだ。
1つ、ここは自分が住んでいたあの地球と同じでその遥か未来に再度生まれてきた。
2つ、俺とおなじ転生者が居て、ここに遺跡を作った。
3つ、ただ単に偶然の産物。
4つ、元の世界と平行な世界。つまりパラレルワールド。
俺としては考えた結果2が一番ありえそうだなと考える。
俺だけが特別…ということもないだろう。俺以外にこの世界に転生した人が居てもおかしくないと思う。
だが逆にそれはこちらの世界から俺が元居た世界に転生することもありえるのではないだろうか?と疑問に思うが元居た世界に未練はあまりないので、深く考えることをやめた。
あれこれ考えているうちに木製の扉の前に着いた。
扉はどこの家にでもありそうな普通のドアだ。
俺は喉をゴクリッと鳴らして、ゆっくりと扉を開ける。
中は少し埃がかぶった生活空間だった。
ベットもあれば、机もある。本棚に至っては結構置いてある。
(確か…本ってかなりの貴重品だよな…)
と思いながら部屋を見渡すと、机の上に一冊の本が置いてあった。
本には『ここに来た日本人へ』と書かれている。
俺はそれを手に取りページをめくる。
内容は日本語で書かれていて、かなりの枚数だ。
(どうしよう…まだ時間に余裕はあるはずだから読んでおくか…)
~~~数時間後~~~
一通りは読み終わった。
結構長かったが、満足のいく結果だった。
本の内容を簡単に言うとこうである。
・ある日佐藤賢一という男が研究所から帰る途中に眩い光に包まれたそうだ。
男は気づくとこの世界に居て、言語が通じないので迫害を受けたそうだ。
彼は諦めて森に逃げ込み、ここの洞窟で暮らすことになる。
男は星などを見てここが完全に別世界だと言うことを知る。
だが、男は一生懸命帰る方法を考えたが全然思いつかず、とうとうモンスターにでも殺されて死のうと思っていたら、ある日、一人の少女を見つけた。
少女はぼろぼろで首輪を付けていたそうだ。
男は悩んだ結果、少女を救った。少女は気づくと男に救われたことを一生懸命身振り手振りで感謝したそうだ。
男はひとまずこの少女のために暫し生きることにした。
少女には生きるすべを教え。少女からは言葉を学ぶ。お互いが助け合って楽しく暮らしていたようだ。
話は端折ってかなり飛ぶが、少女は20歳ころになると、二人で魔法の研究をしていたらしい。少女は魔法の才能があり、男は元の世界での科学の知識があった。
男と少女ががんばって研究した結果一つの魔法道具ができたらしい。
それは魔力によって動く人そっくりのゴーレムらしい。
だが、ゴーレムはあとは魔力をこめるだけで完成というときに少女が流行り病で死ぬ。男もまた原因不明の病で衰弱していった。男は死ぬ間際にこのノートを書いたらしい。
本の最後にゴーレムの隠し場所が書かれてあった。
右から2番目の本棚の後ろに隠し扉が存在した。扉をゆっくりと開けると1体の人形が机の上に横たわっていた。
人形は人間ぼ女性そっくりで全裸であった。
(ええっと…男だもん興奮してもおかしくないよね?)
と誰も見ていないのに言い訳をする。
人形は金髪で胸もなかなかいいサイズだ。
俺はノートの最後に書いてあった起動方法を使う。
「登録!」
俺は人形の額に手を載せながら言うと。すさまじい勢いで手から魔力が吸い上げられる。だが、俺の魔力の2割を吸い込んだ時点で吸収するのをやめた。
「ー魔力充電完了。魔力の波動を登録しました」
と言ってゆっくりと人形は上体を起こす。
人形は俺を見てニッコリと微笑み
「よろしくおねがいします。ご主人様」
と言った。
(す、すげえな…これが人形なのか…さすがは日本人…変態の民族と世界から言われるだけはあるな)
とけなしているのか褒めているのかわからない感想を心の中でつぶやく。
ぶっちゃけ心は大和魂だが体は白人とかあれなので民族的にはもう関係はないのだろう。
あと、この人形の魔力の充電方法にあそことあそこを合体させて放出することで魔力の充電も可能との事だった。
俺はこの日、男を俺の中で尊敬する人ランキングで上位に食い込んだ。
まぁ今回の遺跡調査はかなり有意義だった。
俺以外にこの世界に来た日本人を知ることができたし、ここが本当に異世界なんだなということが分かった。
俺はこの人形をどうしようかと考えるが持って帰るわけにはいかないので、しばらくの間はこの遺跡で住まわすことにした。俺としても本棚にある本は気になる。あの本はどうやら人形制作の設計とかいろんな魔法が載っているらしい。
俺はこれ以上長居はできないので、遺跡を後にする。
数時間ぶりの日光に目を細めてしまう。
だが、遺跡をでたとこで何か見られているような感覚になる。
俺はその感覚を頼りに、茂みのほうへ視線を向ける。
「だれだ!」
と言うと視線の先に茂みが揺れて、何かが走っていく。音が聞こえる。
どんどん遠ざかっていくが、なんか逃がすといやな予感がするので追いかけることにした。
魔力を足に込めてジャンプに近い感じで追いかける。
あっという間に追い越して待ち構えると、俺を覗いていたのは三人組だった。
「ほ、ほら!おにいちゃん怒ってるじゃん!だからやめようって言ったのに!」
「で、でも帰ろうって言ったのに残ろうって言ったのはミリスじゃん!」
「ま、まぁ二人とも…ここは謝ろ?」
と二人が責任の擦り付け合いをしている最中に冷静に二人を説得している。その三人はミリスとイリスとシャーリーだった。
俺は少しため息をつきながら、彼女たちに歩み寄って両手を二人の妹の頭にのせてなでなでをする。
「まぁ…俺も誰かわからないからあんな口調で言ったけど、怒ってないから気にするな…」
と二人へ微笑むと、妹二人はちょっと疑いの目を向けている。
「本当だよ…あーもう、そんな怯えた顔しないでよ…分かった言うことひとつ聞いてあげるから」
俺はとうとう妹に降参する。俺って割と妹に甘いとは我ながら思う。妹は俺の言うこと聞く宣言で目を輝かせている。
「やったー!じゃあミリスはね…えーっとおにいちゃんのお嫁さんがいい!」
「あ!ずるーい!じゃあイリスもそれがいい!」
と二人とも喜んでいる。
「それ以外でだ…第一そんなことになったら俺が父さんに叱られる」
と言うと妹達は不満気な表情になる。
「えー…じゃあ魔法教えて!」
とイリスが言うので俺はしょうがないかと思い頷く。
ミリスも俺が頷いたので一緒に魔法を学ぶことにしたようだ。
その頃置いてけぼりシャーリーはなんか微笑ましそうに見ていた。
俺も一応シャーリーに魔法を教えてあげようか?と言って教えてあげることにした。
誤字脱字等ありましたらおねがいします。