54話 巻き込まれたようです。
俺は思わず平手打ちが来たことにびっくりしたのだが、エルフの少女に事情を説明すると、顔面を蒼白にしながら土下座してきた。
「恩人なのに!ごめんなさい!」
と今にも頭をめり込ませそうな勢いで土下座してきたので、俺も慌ててフォローする。
「気にしなくて大丈夫だから!気が動転してたらしょうがないよ!」
と慌ててフォローすると、彼女はガバッと顔を上げて、目には水が今にも零れ落ちそうなぐらい潤ませている。
改めて彼女の顔を見てみると、おでこは赤くなっているが、やはり美少女だった。耳は尖っていて長いのでこれが所謂エルフと言うやつなのだろう。
たとえ美少女エルフに平手打ちされても、エルフを拝めただけでも良かったものだ。
「マスター…」
こちを心配そうにシィリスが見つめる。
とりあえずこのままではダメだと思ったので、まず自己紹介から始める。
「えっと、俺の名前はフリード・シーエル…君の名前は?」
と言うと、彼女は手で目を擦って涙を拭いた後、真剣にこちらを見つめながら自己紹介してくれた。
「私の名前はエナフィ・フォン・リューナです」
俺はその名前を聞いてある意味納得した。
リューナというファミリーネームとエルフという特徴でなんとなくわかっていたが…この子は間違いなく、リューナ伯爵家の娘なのだろうな。
そう思うと、なんかとてつもないことに巻き込まれてたきがした。
そんな時。
「お嬢様ー!どこですかー!」
と近くから聞こえてきたので、後ろを振り返ると、一人の騎士が走っていた。
そして、その騎士は俺を見た後、その後ろにいるエルフのエナフィに気づいたようだ。そして…
「お嬢様!貴様が…貴様が誘拐犯かああああああ!」
と言って剣を抜刀しながら近づいてくる騎士を見ながら、やはり面倒ごとに巻き込まれたのだなと若干後悔した。
誤字脱字等ありましたら…げふっ。だが、ここで挫けるわけにはいかんのだ…。




