44話 戦闘前夜?
俺達はギルドホールに入ると、いつもと変わらないように見えてるが、空気がぴりぴりしている。
俺はあのやさしい受付嬢さんを見つけると、早速話しかけた。
「あの、どうかしたんですか?」
「え?あ…まぁ、その、ね…」
受付譲さんはとても気まずそうな顔をした。
何か怪しいと思って俺は強引に教えてくれとせがむとあっさりと教えてくれた。
「まだ、確証はないんだけど…とあるパーティーが森に行ってみたけど妙に魔物が少なくて調子乗って奥までいくとあるものを見たんだって…」
「その、あるものとは?」
俺がそう尋ねると、一瞬受付嬢さんが口ごもったがゆっくりと教えてくれた。
「狼の集会場…レッドウルフはもちろんのこと、その上位存在のロードウルフが数匹…そして、AAAクラスのキングウルフ…そして、それがゆっくりとこっちに向ってきているとか…」
「っ!!」
俺は受付嬢産の言葉を聞いて思わず背中に冷や汗が伝う。
AAAクラスは別名準魔王クラスとも呼ばれる上位存在だ。こいつが一体いれば、小国クラスなら滅びるとまで言われている。そして、そいつ一体だけではなく、その配下にAクラスのロードウルフを引き連れているのだ。
このクラスの討伐になると、Aクラスの冒険者を少なくとも50以上は集めなければだめだろう。Aクラスが10人いてもあっさりと蹂躙されてしまうだけだ。
「マスター…」
声の方向を振り返ると、心配そうに見つめるシィリスの姿はあった。
…全く、弟子に心配されるとか師匠として失格だな…。
自分の失態に苦笑いを浮かべる。
だが、覚悟は決まった。
ここにはシィリスも居るし、ラルドやバロットさんもいる。そしてこの心配性な優しい受付譲さんも…。
自惚れているわけではないが、これでも自分が腕が立つほうだという自身はある。だから、こそ…
この町は俺が守る!
「情報ありがとうございます。では、早めに離れたほうが良いかもしれませんね…」
「えぇ、そのほうがいいわ…」
と受付譲さんも笑顔で答えてくれるが、やはりその笑顔に元気はない。
俺は外に出ると森のほうに視線を向ける。
「ちょっくら、挑んでみますか…!」
誤字脱字等ありましたらおねがいします。
次話から戦闘が始まります。




