43話 シィリスとの日常
クエストを終え、パーナに戻ると相変わらず町のとおりは人でごったかえしていた。
俺はふと、視線をシィリスに向けるとシィリスが1つの果実に目を向けていたのだ。それはシャリゴと呼ばれる黄色の果実で食べるときにシャリと音がするから付いた名だとか。
俺はシャリゴを1つ手に取り、商人に銅貨を渡して買う。
そして懐からナイフを取り出して、シャリゴをうさぎの形に切る。
こういう地味な調理技術も師匠とかに叩き込まれたりした。冒険者なら家事炊事掃除はできておかないといけないらしい。
うさぎの形に切ったシャリゴをシィリスに渡す。
「っ!ありがとうございますマスター!」
と喜んでくれた。
やっぱ笑顔は可愛いし、こうやって喜んでくれるからついつい甘やかしてしまう。
俺もひとつうさぎシャリゴを食べてみる、ほのかな酸味があっておいしい。
だけど…
「どうしたんだ?食べないのか?」
シィリスがずっと手元のシャリゴを見つめ続けていたので話しかけるとシィリスは首を横に振った。
「その…可愛いから食べれなくて…」
と、答えるシィリスの姿はやはり可愛らしくて保護欲?がそそられる。
俺は思い出したように懐に手を突っ込むと、魔力を集めて結晶を作り出す。だが、魔力結晶は形を変化させながら、徐々にうさぎのような形になっていく。
形は雪ウサギに近い感じにして、目には火の魔法石をはめこんだ。
そしてそれをシィリスに手渡す。
「じゃあ、これあげるから・・・早くたべないとおいしくないよ?」
と言ってシィリスに手渡した魔力結晶で出来たうさぎを大事そうに抱える。
「可愛い…ありがとうございます!マスター大事にします!」
と笑顔で答えてくれる。あぁ、また甘やかしてしまった。ついつい可愛いから甘やかしてしまう…。
まぁ減るもんじゃないし良いか!
と俺は開き直ってしまった。
そして、それから数分後パーナに衝撃の情報が入るのだった。
今回は短いですが、決戦前夜みたいな感じです。
誤字脱字等ありましたらおねがいします。
シャーリーの幕間とシィリスの視点を挟むかもしれません。




