42話 とある組織の事情
とある暗闇の一室にて2人の影が存在した。
それは人なのか魔族なのかはたまた獣人なのかは分からない。
だが人の形のような影は椅子に深く腰を下ろし、もう一人はそれに対して跪くような体制で会話していた。
「陛下…。パーナ方面の魔力結晶製造工場が何者かによって襲撃を受け、ギルドにも知れてしまいました。申し訳ありません」
そして男はますます頭を深く下げた。
「なに、かまわんよ…。それで資金と必要な魔力はそろったのだろうな?」
と椅子に腰掛ける男がそう尋ねると、男も一度首を縦に振り頷く。
「えぇ、もちろんです。…あと、計画のほうも順調に進行中です。各地の同士も着々と力を蓄えております」
と男が言うと、椅子に座る男には満足したような雰囲気が伝わる。
「よし、ではこれからも頼むぞ…。我らの時代のために!」
「はっ!我らの時代のために!」
そう言って跪いていた男は立ち上がると、扉から部屋を出て行った。
そして一人になった部屋で男は笑いをこぼす。
「くっくっく…。さて、とうとうあの方を復活させるときが来たようだな…あぁ、真魔王様…お会いできる日を楽しみにお待ちしておりますぞ」
と言って男はさらに高笑いする。そしてその笑い声だけが、部屋に反響していた。
そして出て行った男はひとり呟く。
「パーナ方面…我が同士が捕まったことがあったな…これは調べてみる価値はあるな、あそこの奴らにはずいぶんと世話になった。そろそろお礼を返さねばな…ふふふ、あの老いぼれの座もいずれ私が…」
この男もまた一人でに笑っていた。
誤字脱字等ありましたらおねがいします。
今回は区切りがいいように短めです。




