36話 嫌な予感
俺はラルド達と別れると、ひとまず冒険者ギルドに再度足を向ける。
空には若干赤みがかかっており、あたりにはすこしづつだが料理の匂いが色濃く匂ってくる。
改めて冒険者ギルドに入ると、いかつい男からたくましい女性まで様々な人から興味深そうに見つめられる。
なぜ来たかというと、実はあの後クエスト完了の報告をするのを忘れていたので達成報告に来たのだ。
俺は受付に向うと、あのやさしい受付嬢さんはすでにいなかったが、別の人が対応してくれた。
そして無事達成報告を終えて立ち去ろうとしていると、受付嬢さんに引き止められた。
「あの…ちょっとよろしいですか?」
と呼び止められ俺は振り返った。
「えっと、なんでしょうか?」
「実は、ランク昇格の話があります。Cランクの冒険者を倒したこともあり、Fランクでは不十分という判断が支部長から下されたので、Dランクに昇格することになりました」
なるほど…それにしても一気にDランクか…幸運だな。
てっきりこういうのは支部長に呼び出されるかと思っていたのだが、案外あっさりとしていて助かった。
「ですので、一度こちらで冒険者カードをお預かりさせてもらい、後日新たなカードを配布するということになります」
と受付嬢さんは丁寧に説明してくれた。
ちなみに、このカードは名前とランクの職業しか書いてない。
当然名前はフリードでランクはFそして職業は一応剣士にしてある。
「なるほど、わかりました。ではお願いしますね」
と言って、俺はカードを受付譲さんに渡すと「かしこまりました」といってカードを運んでいったので、俺は用事が済んだのでギルドホールを後にする。
出る道中も興味深そうに見られる視線に耐えながら帰った。
俺はちゃちゃっとご飯を済ませると、水魔法で体を洗い、洗濯して着替えると、きちんと剣の手入れをする。
そして一通り終えると、有り金のチェック荷物のチェックすべてを行い。ベットにて就寝した。
翌日。
俺は早々にご飯を済ませると、足早に冒険者ギルドへと向う。
ギルドはまだ朝が早いということもあり、人がまばらにいた。
「カードを受け取りに来ました」
と告げると受付嬢「かしこまりました」と言い。奥のほうにひっこむとまたもどってきた。
「こちらになります」
「ありがとう」
と受け取ると、カードのランクの欄にFからDに変わっていた。
「あちらが、Dランクから受けられるクエストです」
と手で指し示された場所には様々なクエストの依頼が張ってあった。
「なるほど、ありがとうございます」
と言って、俺はDランクのクエスト一覧を見る。
すると、なぜか意外なことに人の捜索依頼が多かった。
「あの…なぜこんなに捜索以来が多いんですか?」
と受付譲さんに尋ねると丁寧に教えてくれた。
「ああ、それはですね最近やけに行方不明者が多いので領主軍のほうでも手に負えないのです…。だから、代わりにギルドに依頼するようになったそうですよ。奴隷として売られた形跡もないようですし、全くもって領主様もギルドもお手上げなのですよ」
なるほど…。そういうことなのか…でも、さすがに俺の技能で行方不明者捜索は難しいな。
俺はひとまず受付嬢さんにお礼を告げてギルドを後にした。
そして、まだ回ってなかったパーナの街をぶらぶらと歩く。
ここに来て3日目なのに、未だパーナを良く知らないかったので適当にほっつき歩いていると、見知った顔に出会った。
「お!フリード!よく来たな!」
とこっちに手を振ってくれるのは商人のバロットさんだ。
「あ!バロットさんこんにちわ」
と挨拶すると、バロットさんが何かを取り出す。
「あ、それ魔力結晶ですか?」
俺はそれから感じる魔力に気づいてすぐに分かった。
それにしてもかなり大きい…。拳くらいの大きさだ。
「お!さすがだな魔力結晶なんてあんまり知ってる人少ないのにな」
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
と俺は頼んでみると快くバロットさんは魔力結晶を手にとってみせてくれた。俺はそれに触れた瞬間に背筋が凍るような思いがした。
-クライ…サビシイ…タス…ケテ…-
その魔力結晶からすさまじい負の感情が流れてくる。
俺は今までこんなことはなかった。魔力結晶から感情が流れ込んでくるなんてことはなかったはずだ…。
なぜかとてもいやな予感となぜかとても気になる…。
「バロットさん…出来ればこれ交換しませんか?」
「え?良いが…対価にあるもの払えるのか?」
と慌てた様子が伝わってくる。
俺はローブの中に手を突っ込むと、そこで手に魔力を込めて魔力結晶を作り出す。さっきのより一回り大きくすると、それを取り出してバロットさんに見せる。
「お、おぉ…すげえなこれよりも大きいな…」
と言ってバロットさんは驚いている。
「本物ですよ」
と言って差し出すと、恐る恐るという感じで手にとって見ている。
「…確かに本物だな…でもいいのか?これじゃあそっちが損するだけじゃないか」
「大丈夫ですよ、ちょっと気になることがあるんでね…それにしても、これどうやって手に入れたんですか?」
と尋ねると、バロットさんは快く教えてくれた。
「それはな、俺と同じような露天商が売っていたんだ…かなりの数があって安めだったしこれは買いだなと思ってな…1個買ってみたんだ」
なるほど…なんか嫌な予感するな…。
ちょっと気になるし、これは少し調べてみる価値はあるな…専門外だけど。
「なるほど、ありがとうございます!ちょっと気になることがあるんで…また会いましょう!」
「お、おう…じゃあな」
とちょっとびっくりしたような顔を浮かべて、こちらに手を振っていた。
そして俺は足早にその場から去って気になることを調査を始めた。
誤字脱字等ありましたらおねがいします。
一応コメントにあったとおり修正はいれてみました。
まだおかしいと思うようならどうかコメントお願いします。
長い間更新できず申し訳ありませんでした。




