35話 英雄戦争
「「「「かんぱーい!」」」」
俺達はあの対決のあと賭けでかなり儲かったので銀貨40枚以上貰った。
(それにしてもたった1回の対決の賭けで40万稼ぐとかすごいな…)
そして貰ったお金でラルドのパーティーと酒場で盛り上がっていたのだ。
(全部俺のおごりだけどな!ちくしょう!男は度量と根性だ!)
俺はせめて銀貨が10枚ぐらいで済むことを祈った。
もちろん酒場と言ってもお酒じゃなくて、よくわからないフルーツのジュースだけど。
「ふぅ、それにしてもフリード君はやっぱり強いなぁ…」
とラルドがなんか疲れたような調子で言う。
「いや、相手が弱かっただけだろ」
これは率直な感想だ。見た目からしてもう少しやるのかと思ったが期待はずれもいいとこだった。早くてタフなだけで勝てるほど勝負は甘くない。
「あははは、あれはCランクの冒険者だよ?それを弱いって言うならBランク以上の実力者じゃないと」
え?まじか…あんなのがCランクなのか…じゃあ師匠はもっと上のAAかいやAAAもしくはSにも届くかもしれない。
「フリードならできると俺は信じてたぜ!フリードに救われたときからびびっと来たんだ!」
こいつも相変わらず暑苦しいな…
「ふん、私だってあんなやつ魔法にかかれば一撃よ!」
そしてこのツインテールツンデレは何で対抗心燃やしてるんだろう?
まぁ、可愛いのに…いや!俺にはシャーリーが!
「それにしても今日は本当大変な日でした…」
とまたラルドがため息をつく。
こいつもいろいろ苦労してるな…俺は心から応援するとしよう。
「それにしてもレッドウルフって街場の近くに出現するもんなのか?」
この質問は単純にあんな魔物がこの街の近くにいたら、結構被害とか出てやばそうと思ったからだ。
「いや、そんなはずはないんだよ…そこまで奥に行ったわけじゃないのに居たんだよな…まったく運がないよ…」
そう言ってジュースを飲んでまたため息をつく。
相変わらずこいつは苦労してんな…
「もしかして”英雄戦争”の再来じゃないのか?」
とフレデリーが笑ったように言う。
ん?英雄戦争?なんか初めて聞いたな…
「これだから男は…あんなのただのお伽話でしょ…」
「えっと…その英雄戦争ってなんだ?」
って俺が聞くと、みんながちょっと驚いたような顔をする。
「フリード君は英雄戦争って知らないんですか?有名な話ですよ?」
とラルドは言ってるものの俺にそんな話は聞いた覚えがない…
「まさか…知らない人がいるなんて…」
「さすがの私でも知ってるのに…」
「フリードならその英雄にもなれそうなのにな!」
と言っているが、まったくもって知らない…。
「じゃあ、説明しましょうか…昔…そうですね、800年前って言われてますが、当時も魔王と人類の戦いは続いていました。人類と魔王の軍勢は互いに拮抗していました。魔王と言っても1人だけでなくて各地にいるから、厄介だったらしいですね…。だけど、そんなある日1人の魔王が新たに誕生しました。その魔王は後に災厄の魔王…魔王を統べる魔王…真魔王と呼ばれるようになりました」
おぉ…なんか話がすげえ壮大だな…さすがファンタジー。
「真魔王は魔王を配下に加えることで、規模はますます大きくなり、窮地に追い詰められた人類は人類の希望…勇者を送ることになりました」
勇者か…なるほど、勇者ってのが英雄ってことなのか。
「ですが…勇者は真魔王とその配下の魔王たちに集団攻撃を仕掛けられ死んでしまいます」
おい!死んじゃうのかよ!勇者…最強じゃないのかよ…。
「その後、国の王様や偉い人はその情報を秘匿します…まぁ、人類の希望が死んだなんて広まれば、あっという間に戦意喪失しちゃうレベルなので…。結果、真魔王の勢いは増すばかり…」
まぁそうだろうな、勇者が敵わないなら、人類が勝てるわけがないな。
「そこで、各国の国王や偉い人は人類最後の希望として、ありとあらゆる所から最強と呼ばれる人間達を集めた…その数は200を超えたと言われているよ。冒険者の超一流と呼ばれる人から、王国筆頭騎士…果ては暗殺者まで…ありとあらゆる人間が集められたらしい。そして、人類最後の希望は真魔王との決戦に挑み…どうにか勝利する」
おぉ!勇者で叶わなかった相手に勝てたのか…すごいな。
「生きて帰還した人数は18人…実に9割以上が死んだらしいよ。生き残った人で有名なのは鉄壁守護と呼ばれた聖騎士ヴァリアと絶対両断の冒険者フィルヨード、煉獄の大魔法師ガランド…そして初撃必殺の暗殺者デリの4名が有名だね」
おぉ!中二っぽくてかっけえ!
「この4人を含めた18人は英雄と呼ばれることとなった。そして無事…人類は平和を取り戻し、英雄は来るべき真魔王との再戦に備え、長き眠りにつくこととなった…ってのが英雄戦争って呼ばれる話だね。ちなみにどこが関係あるかって言うと、真魔王の登場で各地の魔物が活発化して人里近くに現れることになったらしいよ」
なるほど、そんな話があったのか…
なかなかに興味深いな…勇者で叶わなかった相手を人類の総力で倒すか、くそう!なかなかロマンがあるじゃないか!
「なるほどな、助かったよ面白い話も教えてもらって」
と礼を述べると
「気にすることはないよ。こんぐらいおごってもらうんだから」
とニッコリするラルドはおごってくれよってことだろ…なかなかに腹黒いやつだった…。
誤字脱字等ありましたらお願いします。
テスト終わったぁ・・・・
疲れたよぉぉぉ感想あったらお願いします。




