34話 対決!
俺は改めて、治療を終えると彼らに向き直った。
「助かりました…。正直僕達だけでは、いつ崩れてもおかしくなかったので…」
とお礼を言ってきたのは、前衛の守護戦士だった。
「気にすることはないよ。もちつもたれつ…見た感じ年も近そうだし、敬語を使わなくても良いよ」
と言って笑顔を向ける。
「じゃあ、そうする。そうだな…この後たいしたことは出来ないが、恩返しをさせてもらいたい…僕の名前はラルドだ。気軽にラルと呼んでくれて構わない」
と言って少年は手を差し出してきたので俺はそれを握り返す。
「僕の名前はフリード。まぁ適当に呼んでくれて良いよ」
「そうか、よろしくフリード…って、あ!ごめん!紹介してなかったね。こっちは僕のパーティーの剣士のフレデリーと魔法師のシュリナです」
とラルドは紹介すると、フレデリーという少年は手を思いっきり掴んできた。
「よろしくなフリード!お前ってすげえ強いんだな!尊敬するわ!」
と思いっきり手を掴んでぶんぶん振る剣士はなんか暑苦しい。
「まぁ…助けてくれたお礼は言うわ…か、勘違いしないでよね!!別にあんたの助けがなくても勝てたんだから!」
と言ってくる。魔法師の少女は緑色の髪をツインテールにしている美少女…いわゆるツンデレ美少女であった。
「シュリナ…お礼は素直に言わないとダメじゃないか…」
とラルドはシュリナを窘めていた。
まぁ…ちょっと疲れたような笑みを浮かべている。
「なんかお疲れさまです…」
とねぎらいの声をかけるとラルドがすこし笑った。
「あ。分かる?まぁ…うちのパーティーって良い意味でも悪い意味でも個性は揃いだからね…ここ一週間で10歳ぐらい老けた気分だよ。あははは…」
それ10歳ごろの子供が言う台詞か?
と思ったもののあえて突っ込みはしないぞ…
「ま、一旦帰るとしますか」
と言うと、ラルドも頷く。
「僕らも少し疲れたしね…あ!じゃあこれ運ぼうか…そんぐらいの雑用はしないとね」
と言ってラルドが指差したのはレッドウルフの死骸だった。
あ~そうだこれあったんだよな…まぁ、1人で運ぶの面倒だったらからちょうどいいか…
「じゃあ、お願いできる?僕が2匹持つから」
5匹のうち3匹を持とうとすると、隣から2匹をフレデリーが掻っ攫っていった。
「フリードが2匹持つなら俺も2匹だ!やっぱこういう力仕事は男の仕事だよな!」
と熱く燃えているので無理な冷ますことはないと思い。
俺も2匹を担ぐ。
残り1匹はラルドが担いでいる…。あの魔法師はなにやってんだ…
と思って目をあわそうとしたら全力でそらされた…。
俺らはその後冒険者ギルドに向う。
冒険者ギルドに入ると、周りの大人たちから注目の目線を浴びる…。
まぁ、そんなことしったこっちゃないと思ってこういうものを買い取ってくれる受付に向う。
「あの、これを買い取りできますか?」
と尋ねると、受付嬢さんも営業スマイルで答えてくれる。
「えぇ可能ですよ。レッドウルフが5匹で1匹銀貨2枚ですので合計10枚になります」
おぉ銀貨10枚!値段にして10万円!うむ…これならばあっというまに路銀も貯まるな…。
「ちょっとまてや」
と声がしたので、後ろを振り返るといかついおっさんがいた。結構筋肉も付いてるので威圧感が結構ある。
まぁ師匠と比べたら大したことないけど…。
「ガキ共…。その魔物はレッドウルフって言ってなCランクとかそこらへんの魔物って知ってたか?」
師匠からいろいろ聞いていたので、そんぐらい知ってるわ!って怒鳴りたくなったが問題を起こすと面倒なので冷静に答える。
「えぇ知ってます」
「じゃあ、なんでお前らがこいつら倒してんだ?お前ら見たところEかFだろ?おまえらはそれでどうやって倒したって言うんだ?」
うわぁ…めんどくさいな…
「違うぜ!これはフリードが1人で倒したんだ!俺らが倒したわけじゃねえ!フリードにかかればお前だって返り討ちだろうさ!」
っておい!お前なに言ってんの!?
って思ってフレデリーはさぁやってやってください!といわんばかりに目を輝かせている。
「ほぅ…この俺を返り討ちだと?…ガハハハハ!最近のガキは実力差ってものが分かっていない様だな!いいぜ、この俺が直々に教えてやる」
と言うと、隣から声がかかった。
「ちょっと!ファランドさん!子供相手にそれは大人気ないのでは!?」
と言ってきたのはあの親切な受付嬢さんだった。
「あぁ?大丈夫だ!ちょっと教育してやるだけだ!」
「で、でもー!」
「大丈夫ですよ…分かりました。ではその教育とやらを受けましょう」
と言って男をにらみつけると男はニヤァと笑みを浮かべる。
「そうか。じゃあ表に出ろ…できればガキの血でこのギルドホールを汚したくないんでな」
と言って男は体を翻して、外に向う。
「ちょ!なに考えているんですか!?」
「大丈夫です…危なくなったら命乞いでもしますから…」
まぁするようなことにはならないけどね…。
「本当ですね?気をつけてくださいよ!?」
とどこまでも心配してくれるこの人は本当に優しい人だなと思う。
「じゃあ行ってくる」
と言うと、ラルドも応援してくれた。
「フリード!ぼっこぼこにしてやれ!」
とフレデリーは瞳をきらきらさせていた…。全く原因を作った張本人がなんでそこまでうきうきしていられるんですか…。
ギルドをホールを出ると、男が待っていたが、見知った顔が1つ…。
「あれ?バロットさん?」
と声をかけるとバロットも俺に気づいたようだ。
「あれ?フリードか!やっぱ冒険者になったんだな!」
と笑顔で祝ってくれた。
「まぁ…そうなんですけど、これからあの人と対決をしないといけないんで面倒なんですよね…」
「なに…?」
とバロットさんは俺が指差す男に目を向けると、ニヤリと笑みを浮かべた。
「なるほど、これは一稼ぎできそうだな」
え?と言う前にバロットさんは大きく宣言した。
「おい!今からこの坊主とそこの大男が対決するってよ!俺はこの坊主に銀貨50枚を賭けるぞ!」
とバロットさんは高らかに宣言すると周りからざわめきが起こる。
「あいつバカか?」
「じゃあ俺はお男に銀貨20枚だ!」
「おれもだ!」
と言ったように周りを巻き込み始めた。
というかそんな簡単に大金つぎ込んじゃっていいのかよ…。
そして一通り賭けの受付が終了して、俺と大男は向かい合う。
「ちっ…めんどくせえ…こんな割合じゃ俺が勝っても銀貨1枚ぐらいしかもらえないじゃねーか」
と男はぼやいているが、その考えは大いに間違いである。
「ま、そういうことだ。安心しろお前にもきちんと払うから」
とバロットさんが笑みを浮かべる。
俺はひとつため息をついてしまった。
「さてと、じゃあ始めますか」
と言うと、男は背中にかけていた刃渡り2m以上ありそうな大剣を構える。
俺も腰に下げている師匠から受け継いだ剣を抜く。
「さてと、泣きついて降参するなら今のうちだぞ?」
と男が言ってきているが、そんなことはどうでもいいのだ。
「めんどくさいので、さっさと終わらせましょうよ」
とめんどくさそうな顔をすると男の顔色はどんどん赤くなっていった。
「…ッ!挑発だけは一級品と褒めてやる!だが、後悔するんだな!!」
と言って男は思いっきり振り上げ斬りかかってくる。
その剣速は確かに早い。
まっすぐと振り下ろされる大剣を左足を引いて避けて、左下から右上に切り上げる斬撃をバックステップで回避する。
次々に繰り出される技をすべて回避する。危なげなく余裕を持ちつつ。
周りからは一向に攻撃が決まらないのではやくしろー!とかいろんな声が飛び交っている。
対する男の顔には疲れと焦りが見え始めている。
それにしても単調な攻撃の繰り返し…ある程度修行になるかと思ったが想定以上に意味を成さなかった。
これ以上やつの攻撃を見る必要はない。
「く、くそがああああああ!」
と言って思いっきり振り下ろされる剣は確かに早い…。
早いが…師匠の剣速と比べるまでもない。
俺は男の剣を避けて、懐に入り込み男の首下に剣を突きつけた。
「勝負あったな…」
と言うと、男は悔しそうな顔をする。
「勝者!フリード!」
とバロックさんが高らかに宣言すると周りから歓声が沸きあがった。
誤字脱字等ありましたらぜひお願いします。
うぅ…テストが…タイヘンだよぉ・・・・
感想はぜひともほしいです…。




