3話
俺は6歳になった。
妹も1歳とちょっとになり、最近はよちよちだがちゃんと歩くことができている。俺の1歳とちょっとの頃はまだハイハイだったな…
普通に歩いても良かったのか…。
と少し後悔している。やはりハイハイより普通に歩くほうが楽でいい。
あと最近シャーリーを入れて昼食を取るようになった。
なぜか、というとシャーリーの父親は学者でこの地域近辺を調査研究しているらしいのだ。だから彼女は勉強が終わって昼ごろに帰っても一人で食事をとっているらしい。
「シャーリーちゃん!いっつも1人なんでしょ?良かったらうちで食べていきなさい!!」
と母親が半ば強引にシャーリーを昼食に加えて、夕方まで母親が楽しそうに話すというのが、最近よく見る光景となった。最初はちょっと内気で口数も少なかったが、よくしゃべるようになってくれた。それと妹たちにも気に入られてるようだ。
それにしても…今日も可愛い。
~~~1年後~~~
俺は今日も魔法の訓練をしている。
最近楽しいのは水魔法だ。水魔法をたくさん使っているおかげで、無詠唱で発動できるようになっていた。
水魔法といってもかなり奥が深い。まず水を意のままに操る水操作も楽しい。意のままに操った水を凍らせて氷の彫刻ってのもなかなかつくりがいがあって楽しいものだ。
作っているのはガ●ダムからテ●ーガーⅠまでいろいろと幅広い。
(まぁ結局は溶けてなくなってしまうけど…)
だがこのプラモ作りは割と水魔法のいい練習になる。なぜかというと、プラモは結構緻密な部分が多いのでそれを再現するには高度な水操作の技術が求められる。そのおかげで最近はわずか2秒で水を魔法で作り、それを水操作で模って、それを水操作で氷にする。
そんなこんなで今日はガンダムのリゼルC型を制作していると、森のほうから何かが近寄ってくるのを視界の端で捕らえた。
水魔法とは別に魔力による身体強化の魔法も覚えた。
魔力を手にこめると腕力が上がり、目にこめると遠くにあるものが見えたり対象の動きがよくみえるようになる。なかなか便利なのでここらへんも練習している。
目に魔力を込めて、迫りくる何かを確認すると…
(緑の体に3頭身…手に持っているのは…短剣で…服は下半身に布を巻いてるだけ…これってあれだよな?)
ファンタジー世界ではおなじみのゴブリンだった。
(数は3匹か…ちょっとやってみるか…)
と思って、手のひらをゴブリンに対して突き出す。ゴブリンとの距離はまだあるが、魔力による遠視を使っているので問題ない。
手のひらに魔力を集めて水の玉を3つ作りそれをゴブリンに向って飛ばす。
遠視と水操作によってわずかなズレをを修正する。水の玉は狙い違わず。ゴブリンの顔にぶつかった。だが、ぶつかったところでゴブリンは速度を落とさずこちらに近づいてくる。だが数歩走ったところでその足取りはもつれてきて止まった。
ゴブリンは喉を苦しそうに掻きむしっている。
俺はゴブリンに水をぶつけてそこで水を操作して水をゴブリンの肺に流し込んだのだ。ゴブリンは息ができずに悶え苦しんでいる。
そして数分もたつとゴブリンは膝をつき倒れこんだ。
(これって割とえげつない技だな…外傷は首の傷しかないし…)
これは暗殺に向きそうな魔法だな…なんてことを心の中で評価した後ゴブリンの死体をどうしようかと考えて結局土を魔法で操作して埋めることにした。
(…最初からこうすれば良かったんじゃ…)
まぁ練習になったと思えばいいかと思って割り切った。
その後は家に戻り父親と剣の稽古をする。
生前の俺は剣道をしていたが、この世界で習う剣術は全くの別物だった。
まぁ、それもそうだろうと心の中で納得する。
実は今の剣道ができたのは実際には江戸時代なのだ。
江戸時代は刀の時代から火器の時代に変わる節目であり、争いのない平和の時代であった。故に本物の実戦を想定した剣術とはどうしても違ってくる。
あと父親に教えてもらったのだが父親は元冒険者の戦士職で今はこの辺境の村を治める領主様に使えているらしい。
ちなみに戦士には職種が2つあるらしい。
まず守護戦士と剣士の2つらしい。
守護戦士と剣士の違いは守護戦士が主に敵のヘイトをひきつけてカウンターを叩き込む戦い方で剣士は積極的に仕掛けて高い威力の攻撃を繰り出す戦い方らしい。
ちなみに魔法師に職種が分かれるらしいがそれの説明はまた今度にしよう。
そんなこんなで今日も父親との剣の練習に励む。
そういや、最近剣の練習しているとシャーリーが覗いているが俺はあえて気づかない振りをしている。
~~~2年後~~~
俺は9歳になりだいぶ大きくなった。
今日は村の少しだけ離れたとこで木剣の素振りをしている。
「98…99…200!!」
と数を数えながら素振りをして200になったのでいったん休憩する。
やはりまだ9歳なのでここらへんが限界である。
ちかくにある木の根元まで歩いて腰を下ろす。すると後ろのほうから
「おにいちゃーん!お弁当もってきたよ!」
と言ってこちらに向って走ってきているのは双子の妹のイリスとミリスだ。
二人とも父親と同じブロンドで実にかわいらしい。
二人は俺のとこまで走ってきて息切れしてハァハァと言っている。
可愛い妹二人に目の前でハァハァと言われるとちょっと変な気分になってしまう。まぁ間違えても手は出さないけど。
「おにいちゃん!イリスが食べさせてあげるね!」
と言ってイリスはお弁当のサンドウィッチを突き出す。
中身はベーコンと野菜を挟んだ簡単なものだ。
俺はそれを頬張ると
「あ!ずるーい!おにいちゃんミリスのも食べて!」
と言ってミリスはジャムの塗ってあるサンドウィッチを突き出す。
それも一口食べるが口の中でいろいろなものが混ざり合う…。
折角妹が食べさせてくれたのだ文句なんていえるわけがない。
水を少し飲んで二人を見ると何も言わずただただ笑顔でサンドウィッチを突き出す。その光景はまるでどっちを食べるのおにーちゃんと言ってるようだった。
(ま、まぁ…妹に好かれているだけまだマシかな…)
と思って俺はがんばって二人のサンドウィッチを食べた。
3話目です。今日ちょっとあともう1話あげたいんですけどできるかどうかはわからないです。
誤字脱字等ありましたらお願いします。