28話
師匠が街から帰ってきたので、その後は師匠と手合わせをする。
「ふぅ…坊主…お前も十分に強くなった…だからこそ、俺はお前に新たな試練を与える」
と言うと、師匠の雰囲気が一変し辺りに緊張感が生まれ、背筋に冷や汗が走る。
一見構えているだけだが、威圧がすごいのだ。
師匠は剣をゆっくりと振り上げ、こちらに振り下ろす。
「え……?」
師匠の剣を確かに防いだと思ったのだが、師匠の剣は俺の首筋を捉えたいた。
俺の剣は師匠の横を通り過ぎただけで、かわされていた。
これが実戦だったなら間違いなく俺は死んでいただろう。
師匠は俺の驚いた顔に満足したのか、ニヤリと笑みを浮かべると、剣をしまった。
「なにがなんだかわからないって表情だな…」
「え、えぇ…」
と俺が反応した直後に師匠が剣を抜き、振ってくるのでそれに対して防御をする。
だが、師匠の剣戟は来なかった。
改めて師匠を見ると腰に差した剣の柄に手をかけているだけであった。
師匠は俺の驚愕した顔を見て、得意げな顔をしている。
「坊主…これが、剣の世界だ。坊主はセンスが良い、攻撃を本能で察知する…だからこそ、避けれない。さっきお前は斬られると錯覚したはずだ」
その言葉に頷く。実際斬られると本当に思ってしまったのだ。
「さっきのは殺気を放っただけだ。明らかな攻撃の意図…どこから剣戟が来るかを本能で察知し、それに対して防御する…。だからこそ、殺気を放った別の場所から来る剣戟を防げなかったんだ」
「なるほど…やはり、まだまだですね…」
俺は自分の未熟さに思わず苦虫を噛みしめる。
「気に病むことはねぇさ、坊主にはセンスがある。だからこそ、お前もこれに対処できるようになるはずだ」
と師匠は俺の頭に手をポンと置いた。
「よっしゃ、じゃあもういっちょいくか!今度はちゃんと見てろよ!!」
「はい!!」
そして俺と師匠は剣を重ねる。
どうも誤字脱字等あればよろしくおねがいします。




