22話
俺と妹が一応仲直りして、泣き止んだのを見計らって男は提案…という宣言に近いことを言った。
「よし、じゃあ一時の間俺がお前に修行をつけてやる。これからは師匠と呼ぶように!」
ある意味強制だったが、彼は俺とルースとリナの3人がかりでも敵わなかった凄腕だ。そんな彼からの提案は俺にとっても悪くない条件だった。
「よろしく…おねがいします師匠」
翌日から師匠との剣の打ち合いによる稽古が行われた。もちろん、騎士の仕事の合間にやっているのだが、彼も領主に雇われる形で騎士となったので個人の負担が減り、時間に余裕ができるようになった。
「そういや、あのメイドさんなかなかの腕前なのに屋敷ではみないな」
と師匠は片手で俺の猛攻を受け流しながら、息も切らさずに言うあたりこの人はやはり只者じゃないなと俺は思う。
「あれは…正直に言うとゴーレムなんですよね」
と俺はぶっちゃけると師匠はとても驚いた顔をしている。
「え?ゴーレムって…冗談だろ?」
「いいえ、本当ですよ…遺跡から見つけてきたんです」
と俺は受け答えしているが、結構体力的にきついので息が切れてきている。
「遺跡か…だけど、古代遺跡で手に入ったものの一部は王に献上するってのが決まりだったはずだろ?」
「えぇ…ですが、あの遺跡は古代とまで呼ばれる、古いものではないと思いましたので」
と言うと、師匠はちょっと驚いた顔をしてすぐに失笑した。
「ぷっ…あはははは!そうか!確かにそうだな…古代というのは確かに曖昧だ!何年以上を以って古代とするか、王も決めておくべきだったな!」
と師匠は思いっきり腹を抱えて笑っている。
俺は打ち合いの気が失せたので、暫し休憩することにした。
「はぁ…ロベルトのやろうの息子がここまでおもしろいやつとは想定外だ」
と未だすこし笑っている。
「そういや、師匠って父さんとはどういう付き合いなんですか?」
と尋ねると、師匠は快く教えてくれたが、その内容は誇示と欺瞞に満ちた内容なので、なんとなく本物っぽい部分だけを頭の中で整理していく。
まず、父さんとの出会いは冒険者ギルドのホールで、お互い新人ということでパーティを組んでいたらしい。パーティメンバーは3人で父と師匠とアリアという女魔法師で組んでいたそうだ。父と師匠は割りと仲が悪く、それを仲介して仲直りをさせていたいたのがアリアという女魔法師らしい。
その後、3人はギルドでも有名なトップパーティになったらしいが、父の病気と、女魔法師が魔法学校に行ったのを機に解散したらしい。
だが師匠の語り方になぜかアリアという人物を恐れているようだった。
「あいつは…味方にすると頼もしい奴だが、敵に回すとおっかないんだよな…」
とその部分が妙に情が篭っていた。
その後も師匠の自慢話は長く続いた。
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