21話
俺は死んだと思っていたが、奴の剣は寸止めで俺の首のギリギリにまで迫っていた。
「坊主…おまえなかなかやるな」
と言って男は不敵に笑う。
すると男は剣をしまって腕を突き出してくる。俺はよくわかないままその腕を掴んで起き上がる。
「悪かったな、突然殺気なんか当てちまって…まぁ、ちょっとからかってみたかっただけなんだ許してくれ」
と恥ずかしそうに男は頭の後ろを掻く。
よくわかっていなかったが徐々に状況を認識した。
「えっと…じゃあ僕のはやとちりってことですか?」
「まぁ…そういうことかな?殺気を放った俺にも責任はあるがな」
と男は少し笑みを浮かべる。
「まぁ、坊主みたいな手強い相手とは久々だったから楽しかったぜ」
と男は気にするなという感じで言った。
俺は自分のはやとちりを後悔したが、男は許してくれようだったので安心した。
「そういや、坊主…実はな、知り合いを尋ねてここまできたんだが村まで案内してくれんか?」
と男は頼んできたので、謝罪の意味も込めて村まで案内することにした。
ルースとリナは一応起こして、遺跡に帰るように伝えておいた。
「そういえば、知人というのはどなたのことですか?」
と男に尋ねると男は快く教えてくれた。
「ロベルト・シーエルって奴だ」
俺はそれを聞いた瞬間、足取りが止まってしまった。
突然足取りが止まってしまったことを、男は不安気に見る。
「実は…ロベルト・シーエルというのは僕の父であり…このまえ死にました」
と告げると、男は驚いたような顔をする。
そして男は俺の方を掴んで詰め寄る。
「おい!嘘だろ?…あいつがそんな簡単に死ぬようなやつじゃねえ!」
「残念ながら、事実です…僕ら家族を守るために…死にました」
と言うと、男は複雑な表情を浮かべる。
「そうか…あいつは守るために死んだのか…それならあいつは本望かもな…」
と男はどこか残念そうに呟いた。
その後、男を一度村まで案内して、家に泊めることにした。
~~~~翌日~~~
俺は男を父の墓場まで連れて行った。
男は父の墓場に祈りを捧げていた。
「僕が…もっと強ければ、父さんは死なずにすんだ…」
と俺は一種の後悔と懺悔の気持ちからそう言ったら、男は俺に近寄って、顔にパンチを入れられた。
「坊主…自惚れるな」
と男は真剣にこちらを見ていた。
俺はそれでも自分のせいであると思っていた。
「でも!僕が強ければ父さんだってまだ生きていたんだ!僕のせいなんだ!」
と言うと男は俺の胸ぐらを掴んで持ち上げる。
「だれのせいでもねえよ!第一お前はまだガキだ!おまえみたいなやつが責任を持つなんて10年はええよ!…だからな、お前が責任を感じることはねえんだよ」
と最後は若干おちついた口調で言われた。
すると誰かが近寄って抱きついてきた、それは双子の妹達であった。
「おにいちゃんのせいじゃないよ…私達がちゃんと逃げてれば…」
「そうだよ…おにいちゃんのせいじゃない…」
とイリスとミリスは俺に抱きつきながら言う。
「イリス…ミリス…」
と俺は2人が自分のせいだと思っていてそれにきづいてやれなかった自分が悔しかった。
俺は2人を抱きしめて泣いた。
そして胸の中にあったもやもやが晴れたような気がした。
誤字脱字等ありましたらおねがいします




