20話
俺の最近の魔法の練習は空中に氷の槍を作り出して、木に当てる練習している。
同じことの繰り返しに見えてなにをやっているのかわからないように見えるがきちんと意味はある。
まず正確に目標に当てる練習と速さの向上を目的としている。
例えば、俺が氷の槍を魔力で強化した腕で投げたのと、空中に作ってそのまま目標目掛けて飛ばすのでは早さが違うのだ。
地味な練習を繰り返してはいるが、きちんと影響も出ている。
最初は小学生が投げるボールの速さから中学生が投げるボールの速さになった感じだ。…うまく伝わらないかもしれないが、早くなっていると言うのは事実だ。
だが、さすがにそんな練習にも飽きてきてなにかないかなと思いながら氷の槍に魔力を通してみる。
すると、ゆっくりと氷の槍が赤く発光しだした。
「おぉ…」
と俺は思わず感嘆してしまった。
赤く発光しているが、その光り方はまるでコップから水が溢れ出すように氷の槍を赤く覆っていた。
俺は試してみたい気持ちに襲われて的にしていた木に投げてみることにした。
俺は体に魔力による強化をして、目標に向けて構える。
ふと、あの台詞を思い出したので使ってみたいという欲求に駆られ、押さえ込むことが無理であった。
「ゲイボルグ!」
と言い放って投げた氷の槍はすさまじい勢いで飛んで行き、的にしていた木もろとも吹き飛ばし、扇状に焼け野原を作りだしていた。
(や、やべえ…こ、これはあまり使わないようにしよう…)
と心の中で決心するフリードであった。
~~~~数日後~~~~
いつもどおりの巡回をルースとリナを入れての3人で行っていると、遠くのほうに人影が見えたので目を凝らすと、すこしぼろぼろの衣装に剣を腰に下げている…見た感じは汚い。
俺が見つめていると、男も気づいたようで目が合った。
そして、男すこし口角を上げて見つめてきた。
その瞬間俺はやばいと本能で認識した。森の鳥達は一斉に羽ばたいて我先にと逃げている。
「ご主人様…お気をつけください」
「ん~?なんかいやな予感がするね!」
とルースとリナが言ってきた。
俺はそれに頷いて、どうしようかと考える。
(どうする…まだ距離はある…魔法による攻撃…するしかないか)
と俺は決心して、火の魔法で火の弾を6つ作り出して、奴に向ってぶつける。
6つの弾は地面にぶつかると爆発したが、奴は身のこなしだけでそれをすべてよけて見せた。
やつはすさまじい勢いでこちらに向って走ってくるので、俺はアレを使うことにした。
氷の槍を作り出し、それに魔力を込めて例の槍を作り出すと、体を魔力による強化を施す。
やつの顔はすこし驚いた顔をしているが、そんなことに気を足られている場合ではない。横でルースが魔法による支援攻撃をしてくれている間に俺はやつに目掛けて槍を放った。
氷の槍は一直線に奴目掛けて飛んでいく。
奴は懐の剣を抜いて、氷の槍に剣をぶつけると、槍と剣のぶつかった衝撃であたりに土埃が舞う。
俺は奴を見失ったが、さすがに奴も傷を負ったはずと思う。
だが、その考えはあっさりと覆される。やつは土ぼこりの中から出てくると服装がすこしぼろぼろになってはいるが、傷はないようだった。
俺は焦って空中に10本の氷の槍を作り出してそれぞれに魔力を注ぐと、奴目掛けて飛ばした。
速度は落ちるが、さっきより数が多いのでどうにかやつの動きを止めることができると思っていたが、やつは剣を使って槍の軌道をわずかにそらして、すべてを避けきった。
いよいよ奴との距離がかなり近づいてきたので、ルースとリナが迎撃に向う。
だがやつは襲い掛かる2人を剣を使わずに片手だけで、無力化した。
やつと俺の距離は目前に迫っていた。
やつは剣を振り下ろすタイミングに合わせて、踏み込んで剣の横を左手で叩いて、軌道を逸らす。そして右手でやつの腹に向けて拳を叩き込む―はずだったがそれは奴の剣を持ってない片手に拳を受け止められていた。
俺は急いでやつと距離をとるために地面を蹴ったが、やつも地面を蹴って追いついてきて、まだ体制が整のう前に奴の剣が振られた…
新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします…ということで誤字脱字があれば教えてもらえるとありがたいです。




