2話
あれからもずっと親の目を盗んでは金平糖を食べている。
最近は食べ過ぎに注意しているつもだりだが、ついつい食べすぎてしまう。
それと最近変わったことがある。ニートだと思っていた父親のロベルトが最近でかけるようになったのだ。働いているなら嬉しいことだ。
(ま…元ニートの俺が言えた事じゃないか…)
まぁそんなこんなで俺もすくすくと育っていった。
~~~2年と半年後~~~~
俺は3歳になりある程度しゃべるようになっていた。
だが、そんなある日とある問題が起きた。
「あなた最近なぜか魔法石の数が減っているのですけど、心当たりはないですか?」
と母親が言うと父親も少し困った顔をする。
「なに…?ふむ…少し気になるから今から調べてみよう」
と父親が考える仕草をとってそう言った。
そして父親は席を立ち2階へと向う。
俺としては魔法石があるのは知っていたが、どんなものかは知らない。
「母様。魔法石とはどんなものですか?」
と母親に聞くと母親快く答えてくれた。
「魔法石とは魔力の篭った石のことです。魔法石には属性があり、火・土・風・水・雷の5属性があるのです。また、魔法石とは別に、魔力結晶というものが存在します。それは魔法石の弱点を補っているのですが、とても高価なものなんですよ。その違いは、魔法石は本来その属性のものしか使えませんが、魔力結晶はすべての属性を使うことができるのですよ」
と母親は魔法石だけではなく魔力結晶まで教えてくれた。
そして母親は思い出したようにポケットに手を突っ込んだ。そしてポケットから出てきたのは金平糖だった。俺はそれを見てなぜこのタイミングでそれを?と思っていると
「これが魔法石です。魔力結晶は高価なので我が家にはありませんけど…これがないと私たちの生活は成り立たないんですよ」
と説明してくれた。
その瞬間かなり絶句した。
まさか魔法石が減っている原因の犯人がまさか俺だったなんて…
い、いや…し、知らなかったし…テヘペロで許されるよね?俺ってかわいいしと思考がちょっと空回りしているので反応が遅れた。
「へ、へぇ~とても綺麗ですね」
と苦し紛れに出た言葉に母親が少し疑問そうな顔を浮かべている。
「フリード?なにか隠し事していませんか?」
うっ!!さすが母親…ここまで勘が鋭いとは予想外だ…なんて事を思い浮べていると母親がこちらじっと見つめてため息をついた。
「はぁ…あなたが言いたくないなら別にいいんですけど、私たちはいつでもあなたの味方なんですからもっと頼ってくれていいんですよ?」
と言って母親は微笑みながら俺の頭をなでる。母親の甘いにおいが漂ってきて、いつまでもこうしていたい気持ちにさせられる。
結局その後も数分くらいは撫で回された。
母は思う存分撫で回した後は、昼ごはんのために厨房へと向った。
聞いた話によると厨房とかの火も魔法石で代用しているらしい…
俺は一人リビングに残り、足がつかない木製の椅子の上で足をぶらぶらさせながら考え事をしていた。
(さて…どうしたものか……金平糖=魔法石なのもびっくりだが…体に異変はないから大丈夫なのかな?そしてこれからはやっぱり食べるのは控えるべきか…)
頭の中で思考を巡らせ考えているといつの間にか料理ができあがり、父親も2階から降りてきて一緒にご飯を取ることになった。
~~~半年後~~~
俺は4歳の誕生日を迎えた。
今年もいつもどおりの誕生日を行う。親からいろんなものをもらったが今年もらったものは魔法の本だった。俺としてはとても嬉しかった。魔法は使ってみたいと思っていたし、そろそろ他の事にも学んでみたかった。
「母様、父様ありがとうございます」
と言うと母親は微笑んで
「フリード、あなたは決して魔力は多いわけではないけどそれを見て1つか2つは使えるようにがんばるのよ」
と言われて俺は首を縦に振る。父親も微笑みながら
「魔法も確かに大切だが、これからは剣の練習もしてもらうから両方とも励むようにがんばるんだよ」
と言われ俺は「はい!」と勢いよく答えて、そろそろいいかな?って思って料理に手を伸ばそうとしたら、母親がコホン!と言ったので慌てて手を引っ込める。
何事かと待っていると
「今日はフリードの嬉しい誕生日ですが、もうひとつお知らせがあります…」
そう言う彼女の表情は真剣そのもので思わず喉がゴクリッと音を立てしまう。
「実は…できたみたいです」
と母は嬉しそうに言った。
できた・・・つまり俺に弟か妹ができるということだ。
生前の自分は姉しかいなくて弟や妹が欲しいと思っていた。これで夢のひとつが叶うと思うと期待で胸が膨らむ。
「そうか!よくやった」
と興奮気味に母をほめていた。母は嬉しそうにしている。
1日に2つも嬉しいことがあり家族はみんな上機嫌だった。
~~~1年後~~~
俺にはかわいい双子の妹ができた。名前はミリスとイリスだ。
寝顔はとても愛らしくいつまでも眺めていたいが最近そんな時間がない。なぜかというと、俺は5歳になったことを機に授業を受けるようになった。
授業と言っても母親が付近の子供たちを集めてこの世界のことや生きていくうえで必要な知識を母が教えているのだ。俺はまだ5歳だが一応ほとんどのことを覚えたので、どちらかというと母親の助手のような仕事をしている。
俺よりも年長者のやつは俺に教えられるのを気に入らないのか一生懸命がんばっている。まぁそういう対抗心を燃やすことはいいことだ。
ここ最近は年下の子達に教えてたりする。そして特に積極的に関わっているのが俺と同じ年齢のこの村に住むシャーリーという女の子だ。茶髪で後ろ髪を1つの3つ編みに束ねて、頭にはカチューシャを乗せている。俺が見てきた村の子供のなかでは一番の美少女だ。性格は内気で少し恥ずかしがり屋だがわりと俺には話しかけてくれる。
「フ、フリード君ここ教えて欲しいんだけど」
と彼女は胸に抱きしめていた、黒板を渡してきた。
この世界で紙というのは貴重で、こういう授業のときは黒板とチョークみたいなもので学習する。
俺は彼女の黒板を受け取って黒板の内容に目を通すと算数の引き算だった。
俺は彼女に座るように指示して、隣に座らせて説明する。隣からくる女子の少し甘いにおいに少し顔が赤くなってしまう。視線を黒板から彼女に移すとばっちりと目が合った。
一瞬気まずい空気が流れたが、お互いは気恥ずかしさから俺は黒板の説明に戻って、彼女は下をうつむいて頬を赤くしながら無言になっている。
そんな光景を見て母親はニヤニヤしていた。
一応説明を終えて、黒板を彼女に渡すと彼女は「ありがとう…」と言って小走りに去っていった。
あぁ…シャーリー可愛いな…ロリコン気質なのか!?
午後は最近魔法の訓練をしている。本に書かれているスペルを詠唱して火の玉とか水の玉を作り出す。4個5個作ったら母親にちょっと出かけてくると言って村の郊外に行く。
最近ここに来てやってるのは魔法石作りである。ちょっと前に気づいたのだが、自分の魔力で起こした火を凝縮するようなイメージをすると魔法石が作れるのだ。
俺はそれを生かし、1日に何百という数を作り出す。今まで食べた分の謝罪として1日2個ぐらいあの麻袋に戻している。
まぁそれでもかなりの数の魔法石なのだが…
あとやはり自分の魔力量は増えている。最初作った日よりも次の日のほうが多く作れるのだ。これを繰り返せば俺最強なれるんじゃね?と最近天狗になっている。
そしてもうひとつわかったことがあるとすれば、この魔力上昇は自分の魔力が最大になってるときではないと意味がないらしい。もし減った状態で使っても増えるわけじゃなくて、魔力が回復するだけなのだ。だから増やすには最大のときに食べてその後魔法石を作って回復が早くなるように寝る。これを最近繰り返している。
そのおかげもあって初級の魔法でもかなり威力が出るようになってきた。
(一応このことはまだ秘密にしておこう…)
と思う俺であった。
誤字脱字等ありましたらお願いします。