19話
俺はいつもどおり妹達に魔法を教えて騎士の仕事を終えると、早いうちから遺跡に向うようにしている。
最近は家族での口数が減り、妹達も前のような元気がなくなっていた。
父親を救えなかったのは俺のせいである。妹達と母親はそんな俺を責めなかった。だが、そんな罪悪感から逃げ出したいあまりに稽古や魔法の勉強にうちこんで一時の間忘れることしかできなかった。
いっそ責めてもらったほうがまだ良かったかもしれない。
そんなことを考えていると
「ご主人様そんな苦しい顔してどうしたんですか?」
とリナが尋ねてきた。
「いや…なんでもないよ」
と俺は平然を装って返事をする。
するとリナが俺の頭に手をのせて撫で撫でしはじめた。
「ご主人様はがんばりやさんですからね」
と言って微笑みながら俺の頭をなでてくれた。
そしたらなぜか目から涙が零れた。
しばしの間リナに頭を撫でてもらいながら泣いた。
泣いた後はちょっとだけ気持ちが軽くなった。
妹達や母親に許してもらったわけではない。だけど、リナに許してもらえたような気がしたのだ。
そして気持ちが軽くなったので魔法の勉強に戻ることにした。
今読んでいる本は歴史の本だ。魔法の発展の歴史が書かれてある。
簡単にまとめると、昔は亜種魔法は認めてもらえず、差別され使い手は処刑されたりしていたらしい。だが、亜種魔法が認められるようになった出来事がある。それは治癒魔法の誕生である。治癒魔法は基本の五属性の魔法には存在しなかったので、その有用性から認められ、徐々に他の亜種魔法も認められていったらしい。
そして亜種魔法は世に受け入れられ発展し、俺も使う飛行魔法が生まれたのだ。そしてこの飛行魔法の誕生が新たな時代を迎えた。
まず飛行魔法で空を高く飛ぶことで、住んでいる星が丸いことを知った。
そして飛行魔法によって多くの魔法使いが富と名声を求め、新大陸を探し世界各地を飛び回ったらしい。いわゆる元の世界で言う大航海時代ならぬ大航空時代というやつだ。
まぁそれでもほとんど魔法使いは魔力が切れて海に落ちたり、やっとの思いで見つけた島も他の人が見つけてたりと本当の富と名声を掴めたのは一部だけだったらしい。
というか俺が今、住んでる地域は広さも十分にあるのだけれど、住んでる人が少ない理由にこちらに流れてくるはずだった開拓民のほとんどは新大陸に流れたらしい、というのをここの領主から聞いたことがあった。
だけどその話を聞いてみると、もしかしてあの遺跡は数十年前とかそのぐらいであんまり古くないのかもしれないと考えるフリードであった。
誤字脱字等ありましたらおねがいします。




