13話
俺は押し寄せる疲れと眠気に身を任せベットに倒れこむ。
ここ最近はいつもこんな感じだ。
朝は父親と剣の稽古、そして午後は妹達の魔力増強と魔法の練習そして妹達の練習が終わったら、ルースとの模擬戦をこなしている。
わりと大変だが充実しているので満足はしている。
今日の模擬戦での反省と改善策を考えながら、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
朝起きて、ランニングに家の周りを30周する。割と家はそこまで大きくないので楽だが、これは体を鍛えるのではなく目を覚ます目的で毎朝行っている。
そしていつもどおりの時間に昼食をとって父親と稽古をする。
「じゃあ父さん、稽古をお願いします」
と俺は言うと父親は頷いて木剣2本を持って家の庭に出る。
最近俺は父親のことを父様じゃなくて父さんって呼ぶことにしている。年齢的にもそっちのほうがいいし楽でいいからだ。
父親は外に出ようとドアに手をかけた瞬間、父親が苦しそうにへたり込んでいく。そしてゴホゴホと咳をすると、床が真っ赤に染まった。そして父親はゆっくりと倒れた。あまりの光景に暫し呆然とする。
「…と、父さん!」
俺はやっと状況を理解し、父親に駆け寄って体を揺らして起こそうとするが目を瞑ったままで顔色が悪い。
「母さん!母さん!」
と俺は母親を大声で呼ぶ。
すると母親も何事かといった感じで急いで駆けつけて、顔を白くして父親に駆けよる。
「フリード!ひとまず部屋に運ぶわよ」
と言って母親は父さんの右肩を担ぐので俺は左肩を担ぐ。
そしてゆっくりと体を運んで父親の部屋のベットに寝かせる。
父親は以前顔の色が悪いので治癒魔法をかける。すると、僅かながら顔色が良くなる。ある程度治癒魔法を何度もかけて容態が落ち着いたとこで、うしろを振り返るとこちらを心配そうに見つめるイリスとミリスが居た。
一応父親の容態が安定していると思うので、2人を呼び寄せる。
手招きすると、2人も恐る恐る近づく。
「父様…」
とイリスが心配そうにボソッとつぶやく。ミリスは胸の前で手を組んで心配そうに父親を見ている。
それから数分間は看病をしながら、父親に治癒魔法をかける。
そして大分顔色が元に戻ったとこで母親から説明があった。
「実はね…病気なの…」
と母親は申し訳なさそうに語った。その口ぶりからして前からこの病気のことは知っていたのだろう。
「説明するとちょっと遡るんだけどね、昔ね、私が森の外を歩いているとモンスターに襲われちゃってね、そのとき助けてくれたのがこの人なの。だけど、私をかばうためにモンスターの死の吐息っていう攻撃を盾で防いだらしいんだけどすこし死の吐息吸っちゃったらしいの…それ以来あの人は体を悪くしてね…特に体が悪かったのはフリードが生まれたあとの1年間はね療養してたの」
俺はその話を聞いて、心の中で父親に謝った。
父親が1年間家の外に余り出なかったのはそう言うことか、と納得する。
「それ以来、体調は良くなるんだけど思うように剣が振れなくなったって苦笑いしていたの…」
と母親は申し訳なさそうな顔をする。
「そうですか…教えてくれてありがとうございます。これからは母さん1人で支えるのではなく、家族で父さんを支えましょう。もちろんミリスもイリスも父さんを支えるよな?」
と言うと二人も頷く。
そして母さんに向き直ると母さんはポロリと涙をこぼして
「ありがとうフリード、イリス、ミリス」
と順番に俺達の顔を見ながらそう言った。
母親から聞いた話だが父親はいつ終わる命か分からないので俺達の父親であろうと努力したらしい。時に頼りになり時に叱り時にやさしく…そんな姿を子供達に見せたかったらしい。父親はあの男との決闘のとき自分が負けてしまったことに泣いたらしい。自分の不甲斐なさと父親としての姿を見せれなかったことに。父親も元冒険者で腕っぷしには自信があったのだろう。だけど病気に侵された体では存分に力を発揮できなかったのだろう…。
その後父親の看病をしながら家族みんなで父親を支えることを決意した。
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