11話
俺はしばらくの間泣き続けるシャーリーを見ながら、ふと思いついた。
(やっぱり婚約みたいなもんだから何か送りたいけど…送るもんもってないな)
と俺はすこし頭を悩ませる。
俺はあることを思い出し、手に魔力を込める。手に魔力をこめるとそれを外に出すようにする。
今作ろうとしているのは魔力結晶だ。魔力結晶はちょっと前に作ったことがあるがそれがとても大変だったのだ。通常の魔法石の数十倍の魔力をこめないといけないし、魔力をそのまま結晶にしないといけないので難しいのだ。
俺はどうにか力を込めて魔力結晶を作る。徐々に手のひらにダイヤモンドのように透明で光を反射している。これが魔力結晶である。
俺はそれを2個作る。そしてポケットから銀貨を取り出して魔力を込めて、水操作と同じ要領でやる。金属は水と比べて操作するのが難しいのでどうしても力技になってしまう。
俺はどうにか強引にでも銀貨を指輪の形にする。そして、それを魔力結晶と組み合わせて指輪の形にする。
「今の俺にはこれしか贈ることができないけど…いつかちゃんとしたものを贈るから…」
と言って俺は彼女に指輪を渡す。
彼女はそれを受け取ると、指輪を手で握って胸に引き寄せる。
「一生大事にしますっ…!」
と言って彼女は嬉しそうに指輪を見つめる。
俺としてはちゃんとしたものまでの代用品でしかないのだけど…シャーリーがそういうなら好きなようにさせてあげようと思う。
だけど、1つ問題があった。
指輪が大きすぎて指にはまらなかった…そこで彼女は思いついたようにポケットから紐を取り出して、それを2つに裂いて指輪に通して首から掛けれるようにする。俺も彼女から紐を受け取って同じようにする。
「お揃いだねっ」
と言って彼女は嬉しそうにする。
その光景を見て俺もついつい嬉しくなる。
その後はシャーリーと手を繋いで帰った。
もちろん、浮かれていて2人で帰ってしまったので怒られてしまった。
~~~数日後~~~
彼女が旅立つ日が来た。
彼女の別れを惜しんで、村の中央には大きな人だかりができている。
もちろん俺も見送りにいく。
「シャーリーさん!俺と付き合ってください!」
「いや、おれと!」
「ぜひとも僕とおねがいします!」
と人だかりの中央にいるシャーリーが村の男の子達から愛の告白を受けている。全くもって許せんが、俺とシャーリーが婚約したのは2人だけの秘密なので言うわけにはいかない。
「えっと…ご、ごめんなさい!」
と彼女は頭を下げて謝った。
さすが俺の嫁!浮気なんてしそうにないな!寝取られなんかされたらそれこそ俺は生きていけなくなりそう…
まぁそんなこんなでシャーリーは大人たちから気をつけるんだよと声を掛けられたりしている。シャーリーの父親は今は父親と話している。
その後彼女は準備を終えて村を旅発つとき彼女は俺に近寄って
ほっぺにキスをした。
俺は顔がとてつもなく、赤くなる。彼女もまた赤くなっている。
母親はニヤニヤしているが、父親は少し驚いた顔をしている。村の男の子共はそれを見て愕然としている。
「じゃあ…いってきます。必ず迎えに来てね…待ってるから」
と彼女は言う。
「あぁ…必ず迎えにいく」
と俺は答えて彼女を見送る。
彼女は大きく手を振りながら村を後にした。
(絶対迎えにいくから…)
と俺は再度心の中で決心する。
誤字脱字ありましたらおねがいします




