異世界に転生した俺は最強を目指す!
瞼をゆっくりとあげると、そこには見知らぬ白い天井があった。
確か…自分は帰り道に事故にあって…そこからの記憶がない。
とりあえずあたりを見渡してみると、白い壁と木製の扉、そして開かれた窓のその近くにくまのぬいぐるみが置いてあった。
病院かなにかか?と考えて体を起こそうとするが、うまく起き上がらない。
そんだけ、事故の影響が大きいのかと考えていると、この部屋の扉が開かれた。
扉から現れたのは、黒い髪をした美人だった。その女性は俺に気づくとゆっくりと近寄って、微笑みながら俺の顔を覗き込む。おいおい…そんな見るなって…恥ずかしいだろ。
と考えていると女性の瞳に赤ん坊が写っているのが見えた。
赤ん坊はとても可愛らしく、思わず笑顔になる。すると、瞳に写る赤ん坊もまた俺と同じように笑顔になる。その笑顔をみて、ますますと微笑ましくなるが、ひとつ気づいたことがある。
この赤ん坊ってまさか俺じゃね?
と気づいてしまったのだ。恐る恐る自分の体を見下ろすと、ぷにぷにの手と、少し太った感じのする胴体。うん…俺、赤ん坊になってる。
その後は、赤ん坊になってるという事実に少々戸惑いながら少しずつその現実を受け入れていった。
いわゆる転生?をしたようだ。
そして困ったことに、この世界の言語は違うのだ。
日本語でもないし、英語でもない、全くもって未知の言語だ。
俺はしゃべろうとしたが声帯がまだ未完成なようで、しゃべることができず、あーとか、だーとか、まーとかそんなことしか言えなかった。
まぁ、とにかくひとまずはこの世界の言語を覚えることから始めた。
~~~~~1年後~~~~~~~~
俺は大体の言語を覚えることはできたが、まだ完璧ではない。
覚えたといっても7割から8割ぐらいだろう。まぁそれでもかなりがんばって覚えたのだが、完璧には至らない。
そして知ったことと言えば、両親の名前と俺の名前とその他もろもろだ。
俺の名前はどうやら フリード・シーエル と言うらしい。うむ、かっこ悪い名前じゃなくて良かったと内心安心していた。
父親の名前は ロベルト・シーエル で職業はニート?俺はまだあまり家の外には出ていないので、なぜかいつも家の中に居るロベルトに対してそう思ってしまうのだ。
母親の名前は ルリ・シーエル でご飯を作ってたり、おっぱい飲ませてくれたりとか、あんまり外を出歩いたりすることは少ない。だけどそんな母親が俺は大好きだ。
まぁ1歳とちょっとすぎた頃に両親に抱えられ、とある教会に来ていた。
教会はすこしうっすらとしていたが、不気味というより神秘さを感じられた。
教会の奥には黒い服を身にまとい、片手に本を持っている。おそらく見た目からして神父とかだろうと推測する。
「おひさしぶりです。神父様」
と父親が頭を下げながら言うと
「えぇ、1年ぶりぐらいになるのでしょうか」
と神父はこちらに微笑みを浮かべている。
「はい。確か結婚式以来ですからね」
と父親も少しうれしそうに答える。
「なつかしいですねぇ…ところで今日はどういったご用件で?」
と神父は尋ねている。
「実は息子の魔力を測ってもらいに」
そういうと、神父はなるほどっといった顔をうかべる。
俺としてはこの世界に魔力があるということが嬉しかった。こういう転生とかすると主人公は最強クラスの魔法師になるとかは鉄板ネタだ。きっと自分にも魔力が相当あるはず!!と期待に胸を躍らせている。
「そうですか、わかりました測ってみましょう。いやぁ~それにしても両親に似てとても可愛らしい」
と神父は俺の顔を覗きながら言うと、両親はうれしそうにしていた。
その後神父は、俺の額に手を当てて目を閉じて精神を集中させていた。
1分もたたないうちに神父はゆっくりと目を開けて
「魔力は…平均よりちょっと下ですね」
と神父は告げた。それを聞くと両親は少し残念そうな顔をする。
もちろん俺も残念だ。折角最強の魔法師になろうといきこんでいたのに…
まぁ才能というのは生まれつき存在するから、しょうがないだろうと思う。
「そう気を落とさないでください。魔力の多いか少ないかで人生が不幸か幸か決まったわけではありませんし、10歳までなら魔力は増えたりすることもあると聞きます」
と神父は微笑みながら両親に言うと、両親もそれで少しは立ち直ったようで元の表情に戻る。
その後は神父にお礼を告げて、家に戻ることになった。その道中で父親は魔法師の才能がないなら、剣士にするか…とかいろんなことを呟いていた。
家に帰って、両親はリビングで会議をしている間に俺はこっそりと部屋を抜け出し、家を探検していた。まだ1歳とちょっとなので歩けはしないけど…2階の廊下の突き当たりの部屋の扉の前で面白いものを見つけた。
それを拾い上げるとまるで金平糖のようだった。色は水色で中が少し不透明だ。
顔に近づけて匂いを嗅いでみると、ほんのり甘い香りがした。
最近は母親のおっぱいももちろんおいしいが、ちょっと飽きていた頃なので思わずその金平糖を口の中に放り込んだ。
まだ歯はないので舐めることしかできない。
ほんのりと口の中で甘さが広がる。
そして、金平糖を食べ終わると体の奥から熱くなるのを感じる。徐々に体をその熱さが満たすと、突如その熱さは無くなってしまったが、とても気持ちがよかった。もう1個食べたいという衝動に駆られドアを必死に這い登ってドアを開ける。
ドアを開けるとすこし部屋は薄暗かった。本とか甲冑が存在していた。
俺はあたりを見渡すと麻袋を見つけた。それに近寄って袋を覗き込むと色こそは違えども、さっき食べた金平糖みたいなものとそっくりだった。それを手でつかんで、口に入れる。そして甘さが来て、そのあとにあの熱さも来る。
俺はそれを堪能していると1階から母の声が聞こえた。
「フリードー?どこなのー?出てきなさい」
という声が聞こえたので俺は部屋を出る。そして赤ん坊のような声を出して、母を呼ぶと母は2階に上がってきて、ここにいたのねって言って勝手に出ないようにと叱られたが、俺はまだ赤ん坊だから言葉がわからない素振りをする。
母親はそんな俺に少しため息をついたが、すぐに笑顔になって俺を抱きかかえた。
(またあの金平糖食べに行こう)
と心の中で決心するのだった。そしてこの行動が俺の人生を変えるきっかけとなるのはまだ誰も知らない。
別の作品を書いていますが、こっちはこっちで書いてみようと思います。
ちょっとほかの作者と似たような表現があるかもしれませんがどうか
ご容赦ください。