探偵の存在
ここで振り返るべきは俺の仕事内容だ。
俺はここでの学級性格をめちゃくちゃにするために送り込まれたスパイだ。だからとりあえずなんかそれっぽいことをしなくてはならない。だが、いきなりそんなこと言われてもこっちは困る。というか何をすればいいかがわからん。ということで美原シズク学園長にお伺いをたてることにした。まぁメール1つで済むんだがな。そんで、あれだ。お伺いをたてた結果…、最初の指令は「皆の椅子をどこかに隠せ」という…なんともガキっぽいもの。まあハードなの寄越されても困るけどな。とりあえず俺は明日、少し早めに学校に行って、椅子を隠し、一度家に帰り、何事も無かったかのように再び学校に登校しなおす、という作戦でいくことにした。
「ふあぁぁ…なんで俺が早起きしなきゃなんねーんだよ…」
重い足取りでまだ夜が更けきっていない通学路を歩く。
学校に着いたものの、まだ暗い学校はなんだか恐ろしいもんだ。
「まったく…どこだっけ俺のクラス…」
やっと自分のクラスを見つけ、椅子をすべて学園長室に持っていく。
「そうとう大変なんだけど、これ…」
やっとすべての椅子を運び終えた俺はそのまま学園長室で眠ってしまった。
キーンコーンカーンコーン。
朝のチャイムが鳴り響く。ここはどこだ…?
どんどん記憶が戻ってきて、自分がどういう状況なのか理解してきた。
「やべっ、とりあえず、教室だよな!!」
今日の教室は一味違うんだぞ、皆驚くだろーな。俺があんだけ頑張って運んだんだから、驚いてくんねーと、逆に悲しいわ。
ニヤニヤしながら教室に向かう俺。
だが俺はいつもの教室の姿を見て愕然とした。そう、いつもの教室。
「なんでだよ…」
「おい、なんか教室が変だったりとかしなかった??」思わずクラスメートに尋ねる。
「そんなことなかったけど…」
…え?
なんでだよ…、俺の努力は無駄な訳?てか学園長に怒られるんじゃ…
「ピンポーンパーンポーン、坂口ヤマセ君、坂口ヤマセ君、学園長がお呼びです。至急学園長室まで来てください。」
やっぱりな…。
でもとりあえず学園長に事情を説明しねーと!!
「あの!!学園長!!」
「わかってるわー、とりあえず座りなさい」
なぜか冷静な学園長に違和感を覚える。それに少し楽しんでいるような…
「あの…一体どういうことでしょうか?」
「アハハ、簡単な事よ!あなたの犯罪は探偵さんによって解決させられちゃったのね」
「はぁ?」
「あれ、言ってなかったけ?スパイがいるなら探偵だっていんのよー」
「え?」
「頑張って探偵さんに捕まんないようにね、スパイちゃん♡」
「すいません…よくわかんないんですけど…」
「はぁ?だから、探偵さんはスパイの招待を暴こうとしてるから、せいぜい見つかんないようにしろって言ってんのよ!!」
「ちなみに探偵さんはあんたと同じクラスだからー、それとあんたが先に探偵の正体見破ったらあんたの勝ちよ」
なんだよそれ…。
探偵があの中にいるってことかよ。
バレないようにかぁ…なんか面白くなってきたな。






