面接
…自己紹介が遅れたが、俺の名前は坂口ヤマセ。
いたって普通の男子高校生だ。
がしかし、俺の今置かれているこの状況は、なんとも悲劇的。どのような経緯でこうなったかはまだ言わないが、俺は今確実にやばい!!!!
ついに面接が始まってしまう、あの恐ろしいことで有名な如月学園の面接が…。いやいや俺のメンタル、サランラップだから。痛いこととかあったら泣いちゃうよ、俺。あ、カウンセラーさんが微笑んでくれた…。てか可愛すぎだろカウンセラーっっ!!
なんやかんや心中で叫んでいたら、さっき面接室に入っていった奴が帰ってきた。
うわ…涙目になってるよ。なに言われたんだよ。こえーよ、びびらせんなよ!!
………てか俺の番だよな…。
……そうだよな…。
もう!!入ってやるよっ!!あーもうなんか爆発すればいいのに!!!!
そして俺は半ばキレながら面接室の扉を開けた。
「あら、元気がいいですこと」
中にはパイプ椅子1つと四角くて黒い電話ボックスのような箱が1つ。どうやらこの中に学園長がいるようだ。てゆうか真っ黒だけど見えてんのか俺のこと!?
「とりあえず、座ってくださる?」
上品で丁寧ではあるが、伝わってくる威圧感はハンパじゃない。
「は、はいっ!」
勢いよく入ってきた元気はどこいったんだよ…。
「…。」
「…。」
これってもう始まってるのか、面接?
無言だけど…。
「ふふ…。あははははははは!!!!!」
「えっっどうしたのでございますかっっあ!?」
「あはは、はは!!!合格よ、合格ー!あなた合格だから、んじゃよろしくねヤマセくん♡」
最初の威圧感はなんだったんだ…。
てか俺合格!!!???
えっなになに?どうなってんの??
とりあえず、一刻も早く面接室から出よう…、なんか夢でも見てるみたいだ。
ドアを勢いよく開けると、あの可愛いカウンセラーさんが俺のみぞおちを1発どすんと殴ってきて、俺は…俺は…気を失ってしまった。
…あれ。
ここどこだよ。
徐々に戻ってくる意識と記憶。
「あ、俺…、」
「お目覚めのようね」
俺の目の前に立っている女は…「学園長…?」
「ええそうよ。私が学園長の美原シズク。」
まだよくわからないこの状況。そして学園長の隣にさっき俺にどすんと1発くれたカウンセラーさんがにこやかに佇んでいる。
「あの、これはつまり…どうゆうことですか??」
「うちのカウンセラーちゃんがごめんねっ。痛かったでしょう?」
「あの…、」
「ああ喋んなくていいわよ、今から全部説明するからさ。」
「わかりました…。」
納得はしてないが確かに腹も痛むので、黙っておいた方が良さそうだ。
「先程面接でお伝えしたように、あなたはこの如月学園に入学してもらうわ。」
「えっ、あの俺まだ入学するなんて一度も…!」
「あら、あなたのご両親とっても喜んでたわよー。なんたって、あなたの学費免除のうえに、毎月あなたのご両親に1億ずつ渡すっていう契約してきたからっ。」
「…。」
あの糞ババァと糞オヤジめっ!
子供をなんだと思ってるんだっ!
「とりあえず書類に判子も押してあるからそれは抗えない事実よ!決定事項よ!」
「…はぁ、なるほど。」
「まぁ、それほどあんたをこの学園に入れたいってことなのよ。そして、手っ取り早く言うと、あなたにやってほしいことがあるの。」
学園長はニヤリと微笑み、
「学園生活をより愉快に痛快にするのがあなたの使命よっ!」
「………。」
「あなたにはこの重大な使命があるのっ!わかってくれた?」
「わかりません。」
まるでかくれんぼをする前の幼稚園児のようにはしゃぐ学園長。
「なんですって!?まぁ丁寧に説明してあげるとねぇ、あなたはクラスの黒幕になってほしい訳よ。」
「はぁっ!?」
「だぁかぁらぁ!学園生活をDOKI DOKI WAKU WAKU したものにするためにあなたが色々と仕掛けんのよ!まぁ例を挙げるとすれば、朝学校に来たら、教室がめちゃめちゃになってた、とかさ!!」
「あんた本当に学園長だよな?」
「とにかく、あなたにはどんどん学園生活をめちゃめちゃにして、有意義なものにするための手伝いをしてもらいたいのよっ!!」
…狂ってる。
だが、俺は気付いていた。今俺がものすごくわくわくしているということに。