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第8話 2月と言えば聖バレンタインですよね

未更新コワイ・・・((;゜Д゜)ガクガクブルブル 

<第8話>


 今日は2月14日。

 5年生の三学期も折り返し地点である。


 だが、そんなことを問題にしているわけではない。


「はい、敬君!」

「あ、ありがとうね」


 早朝の教室では敬がクラス中の女子からチョコレート攻めにあっていた。


 そう、2月14日。

 世間的には「バレンタインデー」と呼ばれている日である。

 日本ではお菓子会社の陰謀でしかないのだが、そんなことをあげつらっていてはイベントは楽しめないのだ。

 聖人であらせられるところのバレンタインさんもびっくりだ。


「さすが敬だぜ・・・」

「ここまではっきりと差があると嫉妬すら出来ねえ」

「オレたちに出来ないことをやってのける!」

「そこにしびれる!」

「あこがれるぅ!!」


 クラスの男子は、あるものは呆然と。

 また、あるものは羨望のまなざしを敬に向けていた。

 おそらくクラスの女子全員がチョコを渡している。

 しかも、隣のクラスはもとより上級生、下級生の姿も見える。


 爆発すればいいのに。


「どうなの、凛?」

「あんたの王子様はすごい人気だね、相変わらず」


 隣のクラスから除いていた凛と凛の友達が会話している。

 例年であれば、「私というものがありながら!」とでも憤慨しているところであるが、今年の凛はひと味違った。


「ふっ。さすがは『私の』敬ね」

「何よ、その余裕・・・」

「さては冬休み中に何かあったんでしょ?」


 ややふくらみかけの胸を反らして言う凛に友達が突っ込みを入れる。


「そんなことないわ。改めて私たちの絆を再確認したということよね」

「私たちの絆だって!」

「リア充発言だわ」

「有罪!」

「有罪!」

「何とでも言ってちょうだい」

「くっ、何この勝者の余裕・・・」

「私もあんなハイスペックなカレシ欲しい!」


 小学5年生とはいえ、女子が集まればこんなもんである。

 最近の子どもはませている・・・なんて古くさい表現を使いたくもなる。


「でも、クラスメイトや上級生は分かってて渡してるけど、下級生はかなり本命っぽいんじゃない?」

「ふふ。大丈夫よ。受け取らないのは可哀想でしょうって言ってたし」


 クリスマス、お正月という冬休みの二大イベントを高得点で消化した二人のゲージはMAXを維持している。

 まぁ、もともと余人が挟まる隙間などなかったのであるが。


「それに、みんな本気で渡してるんじゃないと思うの。イベントの波に乗るのに、敬が一番相応しいってことだよね」

「まぁ、それはそうね」

「ふんわり笑顔の中性天使系男子。眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能、おまけに裁縫からお菓子作りまで何でもござれ。男子力だけじゃなく女子力も高いとかハンパない」

「なんで凛が選ばれたのか未だに謎よね」

「失礼ね!」


 げきおこぷんぷん丸である。


「だってそうでしょ。運動能力はかろうじて勝ってるかな?」

「凛も見た目はいいよね」

「明らかに女子力で敗北している」

「う、うるさいわね。ちょっとは気にしてるのに・・・」


 後半は声が小さくなっていく凛。


「知ってるわよ」

「がんばってるのも知ってるけどね。壁は高いわよ?」

「だからってくじけないのが私!」


 ポジティブ娘であった。


 チョコの列が途切れた頃、敬が凛を見て微笑む。

 微笑み返す凛。

 あとでね、そう敬の口が動いていた。


「うえー」

「ラブラブ禁止ー」

「う、うるさいわね!」


 顔を真っ赤にして怒る凛。


 放課後の帰り道。


「こ、これ」


 そういって凛が差し出したのは、綺麗にラッピングされた小さな箱だ。


「手作りだから、形も味も保証しないけど・・・」

「そんなこと関係ないよ。ありがとう、凛ちゃん」


 箱を受け取って、にっこりと笑う敬。

 まさに天使。


「学校でたくさんもらったチョコより、この1つの方が嬉しいよ」

「敬~~~~~!!」


 たまらず敬に抱きつく凛だった。


 ハッピーバレンタイン。










 ・・・爆発すればいいのに。


いつも通りですね。

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