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第7話 きよしこのよる

ギリギリ間に合ったと思いたい。


中身についてはいつも通りスルー推奨です。

<第7話>



 12月24日。

 二学期終了。

 そしてクリスマスイヴ。


 こんなワクワクする日は一年にそう何日も無いだろう。


「ねぇ、敬。覚えてるよね?」

「もちろんだよ~。夕方5時、凛ちゃんの家に行けばいいんだよね~」


 のほーんとした口調を崩さない敬。

 いくら小学五年生とはいえ、お互いに好き合っていることは間違いの無い男女がクリスマスの話をするのだ。もっとある種の緊張感があってもいいのでは無いだろうか。


 とはいえ、家族ぐるみの付き合いで幼馴染みともなればこんなものか。

 だが、とびきりの美少女、凛にしてみれば気が気ではない。


「大丈夫だよ、忘れてないよ。それに、他にもクリスマスパーティのお誘いは貰ったけど、ちゃんと全部断ってあるよ?」


 そういってにっこりと微笑みかける敬。

 凛にしてみれば、この日と相まって天使の微笑みだ。


「それって、私が本命って事でいいのよね!?」


 凛の頭の中では祝福の鐘が鳴り響き、羽の生えた小さな天使がラッパを吹き鳴らしていた。


「凛ちゃん? りーんちゃーん?」

「はっ! 幸せすぎてちょっとトリップしてたみたい」

「やだなぁ、もう」


 あははと声を揃えて笑う二人。


 時は過ぎ、夕刻五時。


「こんばんは~。お招きに預かりまして~」

「あらぁ、敬君いらっしゃい。どうぞあがって?」

「はい。あ、これつまらないものですが」


 そういって自作のティラミスを差し出す敬。

 パティシエ真っ青である。


「あら、いいのに。でも、いただくわね」

「はい。ぜひ」


 そう言って靴を脱ぎ、丁寧に揃えて凛の家に上がり込む。

 勝手知ったる何とやらで、リビングへ移動し、ソファへぽすっと収まる。


「いらっしゃい、敬君!」

「あ、凛ちゃん。今日はありがとうね」

「こっちこそ!!!」

「凛、顔崩れてるわよ?」

「はっ!?」


 母親に指摘され、弛みきった表情を作り直す凛であった。


 和やかなクリスマスパーティを終え、凛と敬は凛の部屋へと移動していた。


「今日は楽しかった。ありがとう、敬君」

「こちらこそ。パーティに呼んでくれて嬉しかったよ」


 にっこりと天使の微笑みを浮かべる敬。

 それを見つめる凛の顔は真っ赤だ。


「こ、これ!」


 凛が取り出したのは、この日のために必死の思いで編んだ手編みのマフラーだった。

 何度も失敗しては解いて編み直した魂の一品だ。


「クリスマスプレゼント。敬君みたいに上手じゃ無いけど、一生懸命編んだんだ」

「嬉しい。ありがとう、凛ちゃん」


 マフラーを受け取るとにっこり微笑む。


「ボクからもこれを。被っちゃったけど、ちょうどいいよね」


 敬もカバンからマフラーを取り出す。


「マフラー交換だね」


 そう言いながら、凛の首にマフラーを巻いてやる。

 最早凛の興奮は最高潮に達し、鼻血でも吹かん勢いだ。


「う、嬉しい! 一生大切にする!」

「それは困るなぁ」

「え?」


 凛の顔が若干青ざめる。


「(そんな重い女はイヤって事!? 痛恨のミス!?)」


 そんな考えが凛の頭をよぎる。


「だって、新しいマフラー編んだらまたプレゼントしたくなるでしょ?」

「え・・・。それって」

「ふふ。これからもよろしくね、凛ちゃん?」

「よろこんでーーーー!!!!」


 思わず敬に飛びつく凛。


 大仰な告白なんて無くても伝わることはある、というお話。






 その頃。


「良くやったわ、凛ちゃん!!」


 ドアの外でこっそりと様子を窺っていた人物が二人。


「敬もよく言えたわねぇ」


 凛と敬の母である。

 いつの間に来て合流していたのか。


「これで二人の将来も安泰ね!」

「家同士のお付き合いも末永く宜しくね?」

「よろこんでー!」


 メリークリスマス。




 

 

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