第3話 選ぶ覚悟
大分更新できずすいませんでした!
今回はその分文章が長くなっております。
なのでゆったり読んでくださいな。
・・・内容はいつも通りのgdgdですが(苦笑)
双牙は教師を呼び、すぐさまネームレス達がいる場所へ向かった。
しかしその途中、謎の少年、シュイゼルが向かってきている事に気が付いた。
「何者だ?何でネームレスを抱えてる!」
「はぁ?んだよ・・・コイツは偶然拾った」
ネームレスを抱えているシュイゼルを見て戻ってきた双牙は警戒態勢に入った。
しかし同時に思う。
「(何で先生は構えない・・・)」
教師は誰1人とて構えはしない。
まるで味方だと理解しているかのように。
そもこうなってしまったのも双牙自身は自分の未熟ゆえと考えている。
ゆえに人一倍警戒しているのだ。
「あぁ・・・あんたら、すまねぇけどこいつを預かってくれ、一応治療したが・・・検査しねぇと拙いだろ?」
「!?い、急いで治療室に!」
ネームレスは教師に抱えられ、治療室へ運ばれた。
「で、あんたは一体誰なんだ?この学園では見た事ないんだけど」
「当たり前だろ・・・俺がこの学園に通った事などない、俺はむしろ一時期学園長だったんだからな」
「は?少なくともお前は14くらいだろ?どう考えても無理だろうが」
「ハッ!お前の常識で全て測れると思うな、世の中はいつだって常識的で非常識的なんだからな」
「・・・じゃああんたの年齢は?」
「・・・確か闘剣戦争の時が・・・14か、なら64だな」
「は?」
普通の人間では間違いなく老化が進み、あまり活発に活動できなくなる年齢である。
しかしシュイゼルは見た目確実に14くらいに見えるため、何も知らない者から見れば性質の悪い冗談である。
「じゃああんたはあの戦争の生き残りかよ」
「ああ、で?お前はなんて名だ?ここまで俺に質問したんだから答えるのが礼儀ってもんだろ?」
「・・・星吹 双牙、あんたは?」
「シュイゼル・・・生憎名乗る苗字は捨てちまったからシュイゼルとしか呼べないがな」
そういった瞬間のシュイゼルの目を双牙は見逃さなかった。
双牙はその目を何度も見た事がある・・・ネームレスや自分の家族のあの何もかも諦めた、悲しげな目を。
その目と同じ目なのだ・・・双牙は何があったかを聞こうかと考えたがすぐにやめた。
何故なら今は詮索するべきではないからだ。
実際シュイゼルは詮索される事を2番目に嫌うためしなくて正解ではあるが。
「で、何故ネームレスしかいない・・・麗華はどうした」
「ん?あぁ、ネームレスってのはあの少年か、あいつは死にかけてたから助けた、その麗華とやらは死んだ」
「な・・に?」
「だから死んだっていったんだよ、俺が来た時にはすでに死んでたから間に合わなかったんだよ」
この世の中命を落とすのは別に珍しくもなんともない。
何故なら共通して存在する『死』からは普通の存在は逃げられないのだから。
しかし目の前に迫ると拒絶するのが生物の本能。
ゆえに認める事ができず、放心してしまう。
「お前は・・・お前はネームレスをあれだけ治療できた!なら麗華も救う事ができたんじゃないのか!」
「無理言うな」
「救えたはずだ!あれほどの治療魔術が使えるのなら!死にかけの状態でも救う事が!」
「人は全知全能じゃねぇんだよ・・・俺にはあの少年しか救えなかった・・・それが現実だ」
「くっ!それはお前が知りもしない存在だったからだろ!仲間なら!大切な存在ならもっと必死になったはずだ!」
そうすれば救えたはずだ、という双牙の一言を聞き、シュイゼルは・・・キレた。
「甘えてんじゃねぇぞ糞野郎!テメェなら全部救えたのか!テメェなら違う道を選べたってか!?ならお前が救え!何でも他人に頼ってんじゃねぇぞ!テメェが救えないのに他者に救いを強制してんじゃねぇよ!」
「!?」
「本当に救いてぇなら他人に頼るな!自身で救え!テメェが行動しねぇ限り永遠にテメェは護りたいもんを護れねぇよ」
「・・・お前に何が分かる、救いたくても力がなくて!増援を呼ぶ事しかできず!増援を呼んでみれば麗華は死に、ネームレスは瀕死・・・ふざけんじゃねぇぞ!」
「それが甘えだっつってんだろうが!力がないから救えない?もっと力があれば救えた?そんなもん、自身で進むのをやめたやつが言う言い訳なんだよ!」
シュイゼルは嫌いだった・・・力がないからどうしようもないと言い訳する存在が・・・。
言い訳はいくらでも、いつでもできる。しかし本当に後悔しているのならばその後悔を糧にして先に進むべきだと。
確かに人間全てそのような考えを持てるほど強くはないだろう。
しかし同時に完全に諦めることしかできないほど人間は弱くはないだろう。
人とは不完全であり完全でないからこそ美しいのだ。
人は不完全であるがゆえに諦めず先に進める・・・ゆえに闘剣戦争では一応の勝利をおさめたのだ。
「本当に救いたいのなら先に進むために力をつけろ、諦めなんぞ認めん・・・諦める事はいつだってできるのだからな」
「・・・」
「まぁ・・・俺にとってお前はどうでもいい存在だ、ゆえにこれ以上は言わん、後はお前が決める事だ」
「はは・・・案外優しいようで厳しいんだな、あんた」
「ハハハ、まるで世の中みたいだろ?」
世の中は優しく見えたり厳しく見える。
ゆえにシュイゼルはそう答えた。それに双牙も納得する。
「じゃあ・・・帰るか」
「ん?あんたは一体何処に住んでるんだ?」
「ん~まぁいいか、ホラ、住所・・・まぁあまり来るなよ?面倒だからな」
「はぁ・・・じゃあまたな~」
「クク、おう」
シュイゼルは魔術による転移を使用したのか、一瞬で姿を消した。
双牙はそれを確認し、ネームレスの運ばれた部屋に向かう。
ネームレスの無事を確認するために。
・・・結果から言えばネームレスは無事だった。
何故ならシュイゼルの治療によって回復していたからだ。
しかし無事なのは体だけ・・・精神は無事ではなかった。
それは当然といえよう。同じクラスの人間、しかも普段かなりの頻度で会話している存在。
その存在を目の前で殺されてしまったのだから。
双牙はネームレスに声をかける事ができなかった。
できたのは1人にする事。
普通ならば1人にするのは危険だろう。しかし1人にするしかなかった。
双牙のように人の死を見慣れている訳でもなければシュイゼルのように殺し慣れている訳でもない。
死というモノに慣れていないため、時間が必要なのだ。
「まぁ甘やかす気はないけどな…今は時間が必要だろうし…俺も少し必要だろうな、全くもって不様だ、これじゃあ笑われちまう」
そんな双牙も・・・1人の死には耐え切れなかった。
1人が後悔している時、ネームレスはというと、
「・・・」
意識はある。
しかし心ここにあらずである。
理由は言わずもがな。
「護れなかった・・・目の前の命を・・・大切な人を・・・また」
ネームレスは過去を全て失った後、1度だけ人を亡くしている。
その話もまた・・・語られる時がくるかもしれない。
「あぁ・・・強くなったはずだったんだけどな・・・でも、結末はいつも同じ」
学園に入ってからもずっと強くなる事をやめなかったネームレス。
一重に失いたくないがためである。
「失礼するぞ」
「はい?」
後悔しているネームレスの元へ来客が現れる。
しかし現在一応は面会謝絶のはずである。
なのに人が入ってくるのは何故?とネームレスは考えた。
「やっぱり落ち込んでやがった」
「・・・貴方は」
ネームレスは知っている・・・この少年、シュイゼルの存在を。
何故なら自身を救った存在だから。
そして・・・有名な英雄だから。
「英雄さんがどうかしましたか?僕のところに来ても意味はないですよ」
「あ~あいつは知らなかったのにお前は知ってるんだな?その糞みたいな称号」
「は?」
少し待て・・・この少年はなんと言った?
ー糞みたいな称号ー
英雄とは戦争中一番活躍し、崇められる称号。
子供や夢見がちな大人が欲してやまない称号。
ゆえに誇りに思う事はあれど、それを糞みたいな、で終わらせる存在は初めて見る。
「・・・何故英雄という名を糞みたいと?」
そう聞くとさぞ不思議そうに少年、シュイゼルは答えた。
「おかしなことを言うな?英雄なんてもんは犯罪者と同義だぜ?そんなもんを喜んでもらう訳にはいかねぇだろ」
シュイゼルの一言にネームレスは一部賛同する。
何故なら英雄とは『戦時中最も存在を殺したものに送られる称号』だからだ。
極端な話ではある。英雄とは何も殺しだけでなれるものではないからだ。
人助けを行い続けても英雄と崇められる可能性はあるだろう。
しかしもっとも早いのは・・・殺す事である。
シュイゼルは戦時・・・しかも争いの真っ只中での『英雄』である。
ゆえに英雄という称号を糞と評価しているのだろう。
「・・・ですがその名にあこがれる存在もいる」
「あぁ、でも同時に畏怖するものや侮蔑する存在もいるだろうに・・・英雄なんて名があっても平和にはならんしな」
英雄とは憧れ、畏怖、侮蔑・・・様々な感情の対象になるが決して抑止力足り得ないのだ。
何故ならその英雄をどうにかしようと武装を整え、戦略を立て、準備を完全なものとし、争うのだから。
英雄はまた別の争いの火種にしかなりえないのだ。
事実、平和な世の中には英雄は不要。英雄という存在はただの大量殺戮者に早代わりするのだから。
「まぁ英雄志願のやつはロクデナシか・・・もしくは自殺願望者だよ、英雄が言うんだ、間違いない」
「そうですか・・・ですが、平和へのきっかけにはなるのでは?平和になれば・・・あんな事、起こらなかった」
異常な存在ではない限り平和を望むだろう。
しかし英雄という存在が平和へのきっかけになるかと聞かれれば間違いなくNOと答える。
何故なら『英雄』とは呪いだから。
「本当に平和を望むなら・・・いなくなればいい、俺やお前も力を持つ存在が!争いが嫌ならば武器を無くせばいい!だが世の中そうはならない・・・何故なら妖刀や魔剣が存在するからだ」
武器があるから争いがあり、力があるから闘争というものは無くならない。
この場合は妖刀、魔剣が武器に、技能持ちや魔術奏者が力ある者である。
その両方が無くならければ争いは無くならない。
何故なら力を持てば溺れる存在が必ずいるからだ。
世の中溺れずにいられるほど強い存在は一握りである。
「まぁ・・・何かを護りたいと想い、願うのなら・・・これを使え」
「これは・・・」
シュイゼルが別の空間(空間を収納スペースにしているのは珍しくない)から1本の刀を出した。
刀身が純白で柄から下は全て黒・・・見ているだけで吸い込まれそうになるほどの綺麗さを見せる刀。
「霊刀・正宗・・・とある鍛冶師が自身の命を捧げて造り上げた霊刀」
「・・・何故これを?」
「理由は簡単だ、この刀がお前を選んだからだ、コイツは言葉を発する事が可能なんだ」
「え?」
『・・・お主がネームレスか?』
「は、はい・・・」
刀に見惚れていたネームレスだが、言葉を発すると聞いて何を言っているのかと考える。
当然だ、物に魂は宿っても喋るものは存在しないと思っていたからだ。
まぁ目の前の存在が実際喋っているので否定のしようがないのだが。
『・・・ふむ、やはりワシが見込んだ通りだ、シュイゼル!ワシはこやつを選ぶぞ!』
「フン・・・そのために持ってきたと言っているだろうが・・・」
『そうであったな!では遠慮なく契約させて貰おうか』
「ち、ちょっと待って下さい!勝手に話を進めないで下さい!誰も契約するとは言ってません!」
シュイゼルや正宗にとっては良かれと思っての行動でもそれが必ず正解であるとは限らない。
望んでいない力なぞ、ただの迷惑なのだから。
ネームレスはそんなものを望んではいない。
「僕はこれ以上だれかが傷付くのを見たくないんです・・・まぁ偽善と言われるでしょうが」
「・・・あぁ、偽善だな」
『偽善だな』
「・・・ですから、力なんて傷つける事しかできない存在なんていりません、これ以上・・・僕はいやなんですよ」
『傷つけるのがか?それとも・・・自身の目の前で人が死ぬのを見るのがか?』
「両方ですよ・・・駄目ですか?」
『否、駄目とは言わぬ、そう思考するのが人として当然であろう、逃走するも闘争するも・・・個人の自由だ』
正宗の一言を聞くたびにネームレスは思考する。
何が正しいのかと・・・自由とは何か、自身は何故こうも臆病者なのか。
しかしその思考も長くは続かない。
「・・・誰もが傷付けたくて戦うとでも?人の死を見たいがために戦っているとでも?」
「そうは言ってないでしょう?ただ・・・」
「同じなんだよ、お前のその言葉は・・・傷付けたくない?死を見たくない?そんなもん、ほぼ全員が思ってる事だろうが・・・テメェだけが思ってんじゃねぇぞ」
『人は傷付けたくない、死を見たくないと思いながらも戦い続けておる・・・何故か分かるか?』
「・・・逃げられないからですか?」
「それも一つだろう・・・けど理由はもっと単純だ」
「単純?」
『そうだ、戦わなければ亡くすのだ・・・己の命や他者の命・・・大事なモノもな』
「人はなぁ、亡くしたくないから戦うんだ、亡くすのが怖いから戦うんだ、それは逃げてちゃ意味がねぇもんだ、逃げたらただ失うだけだ・・・命も周りも」
シュイゼルの言葉には重みがあった。
まるで経験したかのように・・・まるで後悔しているかのように。
まるで・・・自身を呪うかのように。
「力を手に入れたから戦わないといけない訳じゃねぇ・・・その力をどう使うかはお前が決める事だ、自身で選択し、その選択に責任を持て」
『お主が戦うか戦わないかは任せよう、しかし戦うのであれば・・・ワシは全力でお主に力を貸そう、後悔しなくてすむように」
「・・・その選択が選ばされたものだと考えた事はないのですか?」
ネームレスは選択するという行動は否定しない。
しかし、本当に自分が選択できているのかを疑問に思ってしまうのだ。
何故なら何が本当で何が偽者なのか・・・理解できていないからだ。
「無論あるさ、これは本当に自分が選んだのかと、周りに選ばされたのではないかと、だがな・・・そんなもん知ったこっちゃねぇ!」
「は?」
「俺が俺の意思で選んだ、それに違いはねぇ!ならその選択をずっと貫きとおすだけだ」
『かっははは!確かに!それは道理だ!さぁ、シュイゼルもそう言うておる、後は主がどうするかだ』
「・・・僕は」
ネームレスは悩む。
確かに今回の事件だけであれば、力を欲するだろう・・・失いたくないがために。
しかしネームレスは理解している・・・力を得た先に何があるのかを。
ゆえに、ネームレスは選択しかねる。
「悩むなら持ってろ、そうすりゃ勝手に答えも出るだろ」
「・・・力を得た先に何があるか・・・知ってるでしょうに」
「嫌というほどな、でもな?力があってもなくても亡くすなら・・・力を持って亡くす確立を下げた方がいいじゃねぇか」
『そのためならこやつは・・・全てを捨てる覚悟がある』
「それは・・・自身の命でさえ?」
「ハッ!もう俺の命なんて捨てちまったよ・・・この刀の能力によってな」
そういいながらシュイゼルは刀、霊刀・原初を取り出した。
霊刀・原初は最高ランクの霊刀。能力は『否定』と『肯定』。
つまり、
「・・・自身の死を『否定』したんですか!?」
「ああ、そうしなければいけない理由があったんでな」
「・・・怖くはなかったのですか?」
自身の命を投げ捨てる行動。
普通の人ならば間違いなく躊躇い、躊躇するもの。
しかしそれを誰が責められようか。
人とは恐怖するもの。ゆえにその感情は正しい。
「怖くないはずがないだろ・・・怖かったさ、自分が自分でなくなるような感覚、何もかも感じる事ができなくなる・・・あぁ、恐怖するなと言う方が無理な話だ」
「なら・・・」
「だがな、俺には命をなくすよりももっと怖いもんがある、それが何か分かるか?」
「・・・」
「それは自身の命よりも大事なモノを亡くす事だ・・・俺はそれが嫌だからこうした、そこに後悔なんてない」
ネームレスはシュイゼルのことを強いと感じた。
自身の命を投げ出してまで護りたい存在がある、そのために行動できる彼は・・・まさしく自身の理想だった。
「僕も・・・」
「あ?」
「僕も貴方のようになれるでしょうか?貴方のような・・・存在に」
「知るか、お前はお前以外になれはしない・・・真似も本質までは不可能だ、なら・・・お前はお前の道を往くしかない」
『そのための力、そのための意思、そのための存在だ・・・ワシもお主なら道を切り開けると信じておる』
「まぁ・・・もう一度言うが、お前が決める事だ、俺は一切文句は言わないし周りに文句を言わせねぇ・・・それを選んで進むのはあくまでお前なんだからな」
『明日もまた学校だ、授業中以外にでも今の言葉を覚え、考え、行動するがよい・・・ワシもしばらくはお主と共に悩もう』
「・・・ありがとうございます、今の僕には理解できないかもしれない、行動できるかも分からない・・・けど、進むのだけは止めない事にします」
「ククク、それでいい・・・じゃあな、また会おう・・・といってもすぐに会うだろうがな」
「それはどう言う・・・」
シュイゼルはそういい残し、消えた。
霊刀・正宗を残し。
「あ・・・正宗」
『ワシは主を選んだ、これも一つの選択・・・文句は受け付けんぞ?』
「あはは・・・やっぱり、世界は理不尽で不条理だ」
『そうだ、ゆえにワシらは理不尽に対する力を欲するのであろう?』
「それもそうだね・・・うん、麗華が死んだのは忘れない、絶対に・・・でも進むのを止めるのとは別だよね」
そうしなければ麗華はきっと激怒するだろう。
ーー貴方は貴方の進むべき道を進みなさい・・・とまるなんて事、許さないわよ?ーー
「!?」
空耳かもしれない、いや・・・死人に口なしという言葉があるのだ・・・空耳に違いないとネームレスは思う。
しかし同時に・・・その言葉を胸に刻み込み、進む事を決めた。
腰に正宗を携え、背中には想いを背負い・・・ネームレスは進み続ける事を決めた。
夜神様!感想ありがとうございます!
今回は更新が遅れたのを深くお詫び申し上げます。
次はもっと早く更新できるように頑張りたいと思います!
では!