第1話
はい、第1話から戦闘です。
主人公がどうなっていくかはここからですね。
なのでしっかりと表現できるよう頑張っていきます!
今回は急展開な気がするので注意です!
カツアゲから逃れたネームレス。
「はぁ・・・今日も面倒だったなぁ」
エリートは落ちこぼれを見下す。
ゆえに虐めもあればカツアゲもあり、ネームレスにとって面倒な事しか起きないのである。
「災難だったな~」
「ん?双牙か、そうだね、まったくもって面倒だったよ」
「いや~ま、仕方ないんじゃねぇの?世の中そんなもんだって」
星吹 双牙。
この聖霊学園の霊刀・聖剣契約科2年A組所属の生徒である。
ネームレスは魔術奏者科1年B組である。
「おいおい~俺は一応先輩なんだけど?」
「ん?それくらい理解してるけど?」
「・・・態度がどう考えても同年代相手なんだけど?」
「さぁ?」
実際は双牙は年上に見えないくらい、ゆったりしている。
そのため結構な比率で年下扱いを受けるのだ。
「まぁ~いいか、で?今日はどんな事があったか言ってみ~」
「・・・いつも通りだよ」
「いつも通りね~」
「うん」
あくまでこのような厄介事はネームレスにとって日常風景でしかない。
ゆえにいつも通り。
「まぁ~あまり調子付かせるなよ~?多分もうそろそろお姫様が限界だろうからな~」
「・・・そのお姫様って言葉で怒ると思うんだけどなぁ」
現在話題に上がっているのは魔術奏者科1年B組の皆本 麗華である。
麗華はクラスの委員長をうけもっており、虐めや嫌がらせを極端に嫌う性格をしており、日頃ネームレスの事を気にかけている。
彼女の魔術は天才的であり、刀との契約も行っているいわば完全なエリートである。
ゆえに彼女がネームレスを気にかけているのを見て、面白くないと思った存在は多数いる。
それが原因で虐めが悪化しているのは・・・滑稽ではあるが。
「あのお姫様はな~お前の事気にかけてるしな、きっと力になってくれるぜぇ?」
「いやいや、僕の問題は僕が解決しないと・・・じゃないと本当に僕は何もできなくなっちゃうからね、それと後ろ後ろ~」
「え?」
「誰がお姫様かな~?」
「・・・逃げてイイデスカ?」
「ダ・メ」
双牙の後ろにはすでに麗華がいた。
そして双牙は後ろに魔王がいると認識した。
「あ~まぁ悪気はなかったでしょうから・・・勘弁してあげてください、皆本さん」
「麗華でいいって言わなかった?」
「・・・麗華さん」
「はぁ・・・まぁいいでしょう、でも次はないわよ?」
「イエッサー!」
何故麗華がここまでお姫様という呼び名を嫌うか、理由は単純。
お金持ちという色眼鏡で見られたくないからである。
実際本気を出せば町一つくらい余裕で買えるのだから仕方ない事ではある。
「さて、もうそろそろ下校しなきゃいけない時間よ?」
「本当だ、もうこんな時間だ」
2人で話している間にクラスの皆は帰宅していた。
本日は5時間目までであったため、当然といえよう。
「で?どうするんだ~?俺はこのまま散歩しようかな~って思ってるけど」
「ん?あぁ、僕は依頼があるから・・・それを片付けるよ」
「あら?ならそれに着いて行ってもいい?」
「・・・うん、構わないよ」
依頼にも様々な種類があり、例としてあげるのなら、探し物から討伐まで・・・本当に様々な種類がある。
今回の依頼は探し物のため、ついてきても大丈夫とネームレスは判断したのだ。
「じゃあ今日の5時、僕の家の前にきて」
「「了解」」
ネームレス達は依頼に対する準備をするため、一度家に戻る事にした。
「・・・さて、用意はこんなものかな?霊刀も準備できたし、一応お情け程度だけど探知用の魔術の準備もできたから・・・大丈夫だね」
ネームレスは用意を万全にし、霊刀・観を装備し、外に出た。
霊刀・観は探知用の霊刀である。今回の依頼のため学園側から借りてきたのだ。
「あ、もうついてたんだ」
「もち!30分前行動は当たり前だぜ~?」
「はぁ・・・早く来すぎでしょうに、ごめんね?」
「ん、大丈夫だよ・・・さて、行くかな」
「「ああ!(ええ)」」
3人は目的地・・・学園立ち入り禁止区域まで足を運んだ。
「で?何でここなんだ~?」
「ん?あぁ、ここに先生が無くし物をしちゃったらしくて」
「なら何で自分で探さないのかしら・・・普通自分で探すわよね?」
「うん、でもどうやら霊刀使わないと見つからないんだって、だから僕が呼ばれたんだ」
「なるほど・・・お前の技能は確かに便利だからな~」
「うん、僕の技能・・・『仮使用』は確かに適してるからね」
仮使用とは、本来の使用者ではなくても触れていれば一時的にその霊刀を使用できるという技能。
指1本でも触れていれば発動するため、制御が難しい技能ではあるが、使いこなせば大きな戦力足りえる技能である。
普通は仮とは言え使用者になれる時点でありえないため、重宝されている。
「でも戦闘では間違いなく双牙の技能の方が便利だよね?」
「ん~でも不便でもあるぜ?」
「何言ってるの・・・『呼び出し(コール)』は日常でも使えるでしょうに」
「いやいや、あれ武器しか無理だから、それ以外出来たら間違いなく俺手ぶらだから」
双牙の技能、『呼び出し(コール)』は自身が契約した武器を任意のタイミングで呼ぶというもの。
契約した武器全てが破壊されない限り武器がなくなる事はない。
「はぁ・・・貴方達の技能が羨ましいわ」
「何言ってんだよ~お前は魔術も剣もほぼ完全にマスターしてるじゃんかよ」
「そうだね、そういう点では本当の戦力は君みたいな人を言うんだろうね」
麗華は技能がない代わりなのか、その分他の部分に才能がある。
努力も人一倍しているため、現在のエリートという立ち位置にいる。
「・・・ここかな」
「そうか~じゃあさっそく探さねぇとな!」
「・・・おかしいわね」
「何がだ~?別に変な感じはしねぇけどな~」
「はぁ・・・私が言ってるのは・・・」
「!?麗華!双牙!今すぐその場を離れて!!」
「「!?」」
目的地に到着し、探そうとした瞬間、麗華が違和感を感じた。
双牙は気のせいと言ってそのまま進もうとしたが、ネームレスは気付いた。
この異常な死の気配に。
その気配のする方向を見ると1本の刀と人が存在していた。
そのうえ攻撃のモーションに入っていたため、回避を促したのだ。
事実促してなければ今頃この2人はこの世を去るはめになっていた。
「な、なんだ~?あの不気味なやつは・・・」
「・・・どうやら妖刀に操られてる存在みたいね」
「・・・(装備は戦闘用じゃないし・・・ここは逃げるしかないか)」
妖刀は姿を少しずつ変化させ、人はその変化に合わせ呻き声をあげている。
妖刀に魅入られた存在は助からない。ゆえにどうにかしたい場合は殺すしかない。
しかしネームレスは装備が不十分なため不可能だと判断、退避する事を選択した。
「双牙!麗華!今すぐ逃げますよ!相手が普通の妖刀なら何とかなりますがあれは別です!」
「あの妖刀が何か分かるの!?」
「ええ!あれは妖刀・絶!Sランクの妖刀です!」
「な!?本当かよ・・・俺の霊刀はAAランク・・・間違いなく勝てねぇな」
妖刀や霊刀にはランクがあり、最弱がC、一番上がSSランクであり、妖刀・絶はその最大の1つ手前のSランクである。
双牙の所持する霊刀はAAランク、ランクの差が絶対ではないが、2つ離れているのならそれは絶望的な差である。
「でも何でSランクの妖刀が学園内に!?普通はありえないわ!」
「世の中何があるか分かりません!ゆえに僕達はその中で最適を選ばなくては・・・先生に増援を頼みましょう!先生ならSランクの霊刀を所持している人もいるはずです!」
「そうだな・・・じゃあ誰が行く?それに増援を待つのに戦闘もしなくちゃいけないよな?」
「増援は双牙が・・・戦闘は僕が行きます」
「なっ!?普通は俺が戦闘じゃねぇのか!?ネームレス、言っちゃ何だがお前じゃ無理だろ!」
「そうよ!むしろネームレス・・・貴方が増援を!」
ネームレスが今回借りてきた霊刀・観はCランク・・・最弱の霊刀である。
戦力差は言わずもがな。
普通の思考回路を持つものならまだ希望のある双牙に戦闘を、麗華には補助を頼み、ネームレスが増援を呼ぶという考えが浮かぶだろう。
しかしネームレスは自身が戦うと言った。
ネームレスは戦闘に自身がある訳でもなければ秘策がある訳でもない。
しかし2人の生存率をあげる最善を考えただけなのである。
「これが最善です!僕は何もあの妖刀相手に勝とう何て思ってません、あくまで時間稼ぎ・・・僕は逃げるの得意なんですよ」
苦笑しながらも退く事だけは絶対にしないという意思が見て取れる。
ゆえに双牙も麗華も諦めるしかなく、
「・・・分かった、なら無理だけはするなよ!麗華も頼む」
「ええ、もちろんよ」
「了解です、死ぬ気はありませんからね」
「Guuuuuuu」
もはや人としての言語をなくし、化物となってしまった存在が近づく。
ネームレスは霊刀・観を抜き、構えた。
目の色が片方だけ変わっているのは技能発動の証。
「では・・・任せます」
「ああ!」
双牙は自身に簡易ながらも強化魔術を施し、校舎に向かって全力で走る。
少しでも早く増援を望めるように・・・ネームレス達が死なないように。
「はぁ・・・本当に無茶するわね」
「ハハハ、まぁ運がなかったって事で」
「・・・まぁ死ぬ気はないから頑張りましょ、死なない程度に」
「ええ、まぁ被害がなければいいんですよ、簡単に言えば・・・ならやりようはいくらでも・・・」
ネームレスは霊刀を構え、一気に接近、その後刀を振り上げ斬りかかる!
「Guuuuu」
「ありますよ!」
妖刀・絶はいくらCランクとはいえ霊刀による攻撃を受け、その場にとどまる。
しかしダメージは欠片もないようだ。
「縛!」
魔術による捕縛、動きを止めた状態から魔術による拘束。
大抵の妖刀相手ならば確かに有効な手ではある。
しかし、
「GAAAAaaaaaaaaaa!!」
「なっ!?」
「やっぱり!」
絶はまるで何もなかったかのように拘束を解き、向かってくる。
「やっぱりって・・・あの妖刀の能力は何か知ってるの!?」
「ええ・・・妖刀・絶は『拒絶』という能力があります、説明は・・・不要ですよね?」
「・・・拘束を『拒絶』したのね、なら確かに効かないのも分かるわ」
妖刀・絶の能力『拒絶』自身に干渉するモノを無効化する能力。
これに勝つには絶以上のランクの霊刀が必要になってくるため、今のネームレス達では間違いなく勝てない。
しかし諦める=死の今、諦めるという選択肢は彼等には存在しない。
「ぐっ!やはりSランクなだけあって・・・攻撃が重い!」
ネームレスは自身に簡易強化を施しているため何とか打ち合えているが、少し油断すれば一瞬で潰されてしまうという極限の状態なため、油断が一切できない。
「ネームレス!」
「・・・ありがとうございます!」
麗華による魔術による強化によって少しだが押し始める。
しかし攻撃を受け止めるたび、相手の『拒絶』が発動し、霊刀に罅が入り始める。
「拙い!このままじゃあ」
「ネームレス!一旦退きましょう!私の魔術で・・っ!?」
「麗華!」
このままでは駄目だと麗華は退く事を提案、その後魔術によって時間稼ぎをしようとした瞬間、麗華の後ろからもう1本の妖刀が襲撃してきた。
突然の襲撃に対応できず、麗華は・・・
グシャッ
妖刀の無慈悲な攻撃によって、自らの血の海に沈んだ。
「れ、れ・・いか?」
さきほどまで元気に会話をしていた存在が血の海に沈んでいる事を認める事ができないネームレスは呆然としていた。
しかし妖刀はその隙を逃してくれるはずはなかった。
「ガッ!?」
咄嗟の判断で霊刀・観を防御に使用できたが、防御した瞬間折れてしまい、完全には防げなかった。
ネームレスは立ち入り禁止と書かれた看板に身体を叩きつけられた。
叩きつけられた時に内臓に深くダメージを負ったためか、血を吐き出す。
「く・・・そ・・・僕は、ここで死ぬのか?麗華の仇をとれず、僕の取り戻したいモノも取り戻せず!無力なままで!」
涙を流しながらの悲痛な叫び・・・しかし妖刀相手では意味はない。
「僕は・・・俺は!ここで死ぬ訳にはいかねぇんだ!俺は!まだ死ねない!俺は生きる!生きて全てを取り戻すんだ!」
身体中を血に染め、もはや助からないであろう状態であってもネームレスは生きる事を諦めない。
「誰でもいい!俺に力を・・・自分の信念を貫けるだけの力を!悪魔と契約して手に入るなら代償が何だろうと払ってやる!神がいるなら神頼みだってしてやる!だから!」
もはや何も見えないであろう目で妖刀2本がいるであろう場所をにらみつける。
ただではやられぬと、自身は死なないと、心から叫ぶ。
すると、
「あぁ・・・妖刀の気配がするから来てみれば・・・間に合わなかったか、いや?まだ1人は助かるか」
ネームレスの前に1人の少年が現れた。
しかしその少年は少年というにはあまりにも落ち着きすぎている。
達観した大人のような反応だった。
「さっきの叫びは聞こえた、あぁ、君のその叫びは俺の心に響いたよ・・・まぁゆっくり休んでな、後は俺が何とかするからさ」
その声が聞こえると同時にネームレスは意識を失った。
「ありゃりゃ、まぁそれだけ血流してりゃ死にかけるわな、まぁ後で霊刀で『否定』しておくとして・・・今は妖刀・絶と妖刀・紅を壊さねぇとなぁ?」
少年は刀・・・霊刀を出し、構える。
その霊刀は純白、何者にも穢されず、何者にも染まらないほどの白。
霊刀の名は霊刀・原初。
霊刀として初めて造られた刀である。
「さぁ・・・『否定』してやっからさっさとかかってこい!」
少年の名前はシュイゼル。
かの闘剣戦争において英雄と呼ばれた存在。
ネームレスとシュイゼル、この2人が出会う事によって運命の歯車が今・・・動き出す。
まずは感謝を。
桜川 リマ様、夜神様、感想感謝です。
二次では後書きを雑談風にしてましたが、今回はどうするか悩んでおります。
一応次は雑談風にしてみますので反応待ちですかね?
今回は急展開+いきなり人が死んじゃってますが、その場の勢いで書いた訳ではありません。
一応きちんとどう進めるかを考えた上でああなっております。
しかし急展開な上にgdgd。
ゆえにもっと精進するよう努めていきますのでどうか最後までお付き合い下さい。
まぁ強制はしませんので、少数でも僕の小説を読んでくださる限り、やめませんのでごゆっくりお待ち下さい。
では!次回も頑張ります!