表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/67

第24話 仮面の集会

王城の執務棟。

扉の向こうで仮面を手にする文官は、誰もいないのを確認すると、そっと外套に隠した。

そして忍ぶように廊下を歩き出す。


僕は距離を取りながら、その背を追った。

夜の城内は不気味なほど静かで、蝋燭の炎が揺れるたびに影が長く伸びた。

──仮面はすでに、王の側近にまで浸食している。


心臓が高鳴る。

だがそれは恐怖ではなく、昂揚だった。

「裏舞台の扉が、いま開く」


◇ ◇ ◇


文官は使用人用の階段を下り、城の地下へと消えた。

僕も足音を殺して後を追う。


石造りの回廊を抜けると、地下倉庫へ続く扉の前に灯りが漏れていた。

微かな声が混じり合う。


「……玉座はもはや長くは持たぬ」

「王が倒れれば、我らが新たな秩序を築く」

「勇者をどうする?」

「観客に立たせるのか、それとも……主役に据えるのか」


◇ ◇ ◇


僕は息を潜め、隙間から覗いた。


地下倉庫の中には十数人の人影。

文官、騎士、侍従――立場も階級も違う者たちが、皆そろって白い仮面を顔にかけていた。

火の灯りに照らされ、同じ仮面がずらりと並ぶ光景は異様な迫力を放っていた。


その中央に、一際豪奢な仮面をつけた人物が立っている。

低く響く声が、石壁に反響した。


「混乱は広がり、記録は消えた。次は――王自らを引きずり下ろす」


◇ ◇ ◇


その言葉に、集まった仮面の者たちが一斉に頷く。

「玉座を倒せ!」

「新たな舞台を築け!」


僕の胸で、青い火花が弾けた。


──これだ。

英雄を持ち上げる声とはまるで違う、絶望と破壊を希求する響き。

その渦中にこそ、僕が求める“黒幕”の舞台がある。


◇ ◇ ◇


「勇者はどうする?」誰かが問う。

豪奢な仮面の主が答える。

「利用する。あるいは、殺す。どちらに転んでも舞台は盛り上がる」


僕は思わず笑いを漏らしそうになった。

「……観客に見せるなら、もっと面白い結末を用意してやるさ」


◇ ◇ ◇


物音を立てぬよう後ずさりし、闇へ身を隠す。

仲間に報せる? 王に伝える?

いや、そんなことはまだしない。


これは舞台の序幕にすぎない。

真の幕が上がる瞬間を、この目で見届けなければ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ