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序章 「ちょっと賽銭泥棒しただけで異世界送りとか聞いてない!」

新人ですが、楽しんで書いてます!

「善行しないと一生童貞!?」そんなノリで始まる異世界生活、よかったらお付き合いください!

京都、ひっそりと佇む古びた神社。

細雨がしとしとと降り注ぎ、朽ちた鳥居と石灯籠が淡い街灯に照らされる中、まるで現実から切り離された異空間のようだった。

神社の入り口に傾いて立つ木札には、かすれた文字でこう書かれていた――『罪蛇神社』。

「は? なんだこの縁起でもない名前。呪われそう……」

夜の闇に紛れて、黒ずくめの少年が泥濘の地面を踏みしめ、柵を軽々と飛び越えた。

神原かんばら れん、17歳。学校にも通わず、保護者もおらず、職にも就かず。

生き延びる手段はただひとつ――盗み、詐欺、賭博、喧嘩。

「雨の日の神社って、人がいなくて最高なんだよなぁ。ここは俺のATMっと。」

そんな軽口を叩きながら、彼はまるで自宅に帰ったかのように堂々と拝殿の中へ忍び込む。

慣れた手つきで床板をめくり、賽銭箱の下にある隠し格子を露わにする。

指を伸ばしかけた、その時――

「やあ、坊や。こんな夜遅くに、何をしてるのかな?」

不意にかけられた声に、神原蓮はビクッと肩を震わせ、手を滑らせて床板を落としそうになった。

顔を上げると、浴衣姿に油紙傘をさした男が、神棚の横に立っていた。

その顔には、眠そうでどこか気の抜けたような笑みが浮かんでいる。

「……どこのオッサンだよ。関係ねーだろ。俺は……そう、宗教経済の実地調査中だっつーの。」

「ふふ、なるほど。さすがは神原一族、年齢の割に目付きが鋭いし、口も達者だ。」

「は? 俺のこと知ってんのか?」

警戒心を強め、蓮は腰の小型ナイフにそっと手を伸ばす。

男は相変わらずの調子でこう言った。

「神原蓮、5歳で隣家の野菜を盗み、7歳で女子風呂を覗き、10歳で賽の目を読み切る技術を習得、12歳には三重ロックの錠前を一瞬で開けられるようになり、15歳ではクラス全員の財布を一掃、16歳で不良グループから金品を巻き上げ……」

「ストーップ! ちょ、待て待て待て!! なんでそんなに俺の個人情報知ってんだよ!? おっさん、お前まさか警察か!? 俺まだ未成年だぞ!?」

だが男は答えず、さらにこう続けた。

「まあ、君だけを責めるのは酷かもしれないね。だって君の父親なんて、君以上にひどかったし。いや、父親だけじゃない。おじいさんも、そのまたおじいさんも、そのまたまた……神原一族の犯罪歴は、平安時代まで遡れるんだから。これはもう、遺伝ってやつだよ。」

「や、やめろやめろやめろっ!」

神原蓮は絶叫した。「なんでそこまで知ってんだよ!?やっぱ警察!?未成年保護法って知ってる!?」

この瞬間、蓮は珍しく焦りを見せ、脳内ではすでに百通りの逃げパターンを構築し始めていた。

ただし、逃げ始めようと思った瞬間、周囲が突然闇に包まれた。

空間に薄い光の膜が広がり、まるで結界のように風も雨も音も閉ざされた。

男は首をかしげて、ゆるく笑った。その目が、不意に底知れぬ深みに変わる。

「警察? ノーノーノー。私は――この神社の神様ですよ。」

「……はぁ?」

「見ての通り、神様です。」

男が両手を広げると、背後に巨大な蛇のような虚影が浮かび上がり、狐の面がゆっくりと笑った。

神原蓮はようやく、神社の名前を読み取った。

「……罪蛇……神社?」

「お賽銭泥棒はね、重罪なんだよ。」

神は目を細めてにっこりと笑う。

「ご、ごめんなさぁぁぁい!!二度としません!通りすがりにちょっと手が滑っただけですぅぅぅ!!」

神はさらに楽しそうに笑った。

「大丈夫大丈夫。来世ではちゃんと良い子になって、いっぱい徳を積んでね♡」

そう言うと、手のひらを軽く振り下ろした。

パン。

世界が、闇に沈んだ。

挿絵(By みてみん)

……

冷たい空気。ほのかに香る消毒液。

神原蓮――いや、今はユリス・フォン・ウナールス――は目を覚ました。

自分が寝かされているのは、冷たく固い解剖台。体には白い布がかかっていた。

「……マジで死んだのか、俺……?」

起き上がった瞬間、頭にふたつの記憶が流れ込んできた。

ひとつは、神原蓮として17年、京都の裏社会で生き抜いてきた過去。

もうひとつは、帝国の聖裔・聖ウナールス家の三男坊ユリス・フォン・ウナールスとしての人生。

父は帝国陸軍元帥、レオン・フォン・ウナールス伯爵。権勢を極めた軍人貴族でありながら、ユリス本人は「家の恥」と言われ、貴族社会でも有名な役立たず。

そして――彼は敵対貴族家の放蕩息子に殴り殺された。

「ちょ、ちょっと待て……俺は誰に殺されたんだ?神?それともリアルで?」

頭に激痛が走る。腹の奥から、焼けつくような感覚が沸き起こる。

服をめくると、腹部には灰白色にうごめく、ハスのような神秘的な紋様が浮かび上がっていた。淡い光を放っている。

次の瞬間、あの聞き慣れた、そして鳥肌の立つ声が響く。

『神罰紋、結合完了。神原蓮――もとい、ユリス・フォン・ウナールス。』

『今より、善行を積むことで神紋の成長を促し、魂の消滅を回避せよ。』

『完全覚醒するまで、情欲行為は禁止。違反した場合――“強制去勢”により、罪の血脈を根絶する。』

「……はあああああっ!?!?!?」

『まあ、童貞のお前に、それができるかどうか疑問だけどね?』

神原蓮はその場で固まった。

「こ、これ……一体どういう地獄なんだよ……!?」


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