光の戦士
「なんだお前?」
「痛い目見てえのか?」
「・・・」
いきなり通行人の女から財布スッておいてそれはねえだろ?
お前らがこの女から財布をスッたのが見えたから止めには言ったのに、逆恨みも良いところだよ!
思えば元の世界でもこうだったな俺…。
***
俺の父親は最低な男だった。
俺や母親に躾と言っていつも暴力を振るっていて毎日のように家の中では罵詈雑言や殴る音が響いていた。
そんな生活の中からか、俺は"母親を守れるのは自分しかいない"と思い、密かに筋トレをした。
それが実ってか体力に自信がつき、弱い者いじめやちょっかいをだされいる奴を見過ごせない性分になった。
最初はそんな自分を誇らしく思ったが、ある日を境にその考えは逆になった。
それはいつものように父親が母親に暴力を振るって暴言を吐き散らしていた時だった。
俺は母さんを必死で助けようとして父親を思いっきり殴った。
それだけに留まらず、俺は倒れた父親の身体に乗っかるようにまたがっては顔面を何度も殴った。
気付くと目の前にいたのは血まみれで恐怖心に満ちて怯えた父親の姿だった。
どうやら俺は我を忘れて父親を無我夢中で殴っていたようだった。
母親もそんな俺を見て恐怖していた。
『怖い…自分の息子が怖い…』
父親の眼はまるでそう言っているようだった。
これをきっかけに両親は離婚した。
当然俺は母親について行く事にしたが、あの日を境に俺は目つきが悪くなっていわゆる不良のようになってしまった。
そんな俺が・・・
なんでこんなことに・・・
***
「おい、聞いてんのか?小僧!」
シュッ!
「な、なんだ?いてててててて!」
俺は突っかかって来た男の手を後ろに固めた。
それを見た男達はその場から去って行った。
「ありがとうございます!」
「いいって事も、お前も気を付けろよ!」
余計な事をしちまったかな?
考えても無駄だ、あいつらの元に戻るか・・・。
***
「よし!じゃあいくか!!」
大輔とかいうやつが仕切ってやがる。
何言ってんだか・・・
そう言っている内に俺達は歩いて行った。
さっき言っていたリーシャも付いて来ていた。
アリッサは教会で留守番。
魔法の力で俺達との連絡は取れらしい・・・。
***
歩いていて数分経った頃だった。
「疲れた!」
「ちょっと休もう!」
たかが数分歩いたくらいでなんだよ・・・
俺なんて筋トレしているからな・・・これくらい朝飯前だ・・・。
「では、あの村まで行ったら一休みしましょう!」
リーシャの意見に賛同して俺達は村に来た。
だが、おかしい・・・。
意外と殺風景だな・・・。
「旅のお方ですか?どうか助けてください!」
「ん?なんだ?」
村の住人らしきじいさんが俺達に話しかけてきた。
聞くところによると、この村の洞窟に盗賊が住み着いたらしく、毎日村に来ては好き放題やっているらしい。
大輔が話を聞いた途端、盗賊の討伐をあっさり引き受けちまいやがった・・・。
(こいつ分かっているのか?)
「まかせなじいさん!俺達がこの村を救ってやる!!」
昨日の力を頼りにしている見て江田が、大丈夫か?
***
ーー洞窟。
俺達はついたが、どうやらただの盗賊じゃなさそうだな・・・。
昨日街を襲ったのと似たような奴らばっかりだ。
最低でも20人はいる。
「出てこい!影人!「
陰から人型のバケモンが出て来やがった。
あの時のやつらの仲間か?
走行している内にバケモンが俺達を襲ってきやがった。
そんな中でも大輔は余裕をかましてやがった。
「リズ!いくぞ!」
「いくわよ!」
「精霊装着!!」
大輔がまた精霊装着を発動させた。
昨日と同じヒーローのようなスーツを纏って盗賊を蹴散らしていった。
「ほ!おりゃ!」
攻撃はどんどん進んでいった・・・。
しかし・・・。
「あ、あれ?」
なんだ?
変身が解けた!?
どうなっているんだ?
「きっと、精霊の力が不足しているのです!」
「マジかよ~」
「おい!来るぞ!」
大輔が襲われる!
そんな時に奇跡が起こった。
洞窟の底から精霊が現れて俺に近づいて来た。
そして俺にも聖石が与えられてデバイスに変わった。
「これが俺の?」
「さあ、唱えて・・・」
精霊が俺に囁いた。
まさか俺も?
「よし!やるぞ!」
俺は聖石を構えて叫んだ!
「精霊装着!!」
あの時と同じく、俺もスーツを身に纏った。
俺のスーツは銀色に輝いていて、マスクは狼のような見た目をしていて背中には武器である剣を構えていた。
「あれは、光の精霊の力!」
俺のは光の精霊?