あなたの未来に私はいない
高校三年の時に私の後ろの席に座っていた彼女が、何度も互いに転生を繰り返している相手だと気がついたのは一年前。
出席番号が私の次だったから、何かと同じグループやペアに組ませられることになった。
私ははじめの段階から彼女が苦手だった。
離れたいのに付きまとわれること十年、同じ大学に進み、そこでも同じクラス、また出席番号が近くて、課題やグループ分けをするといつも同じところになっていた。
通学で利用する駅も同じ、そして自宅に帰る方向も同じだった。
彼女は空気を読まず、避けられているとか嫌われているなんて思いもしないのだろうし、気がついたとしてもスルーして関わってくる。
自分が遠慮しようとか、引こうとはまずしない人だった。
サークルも同じで、共通の友人も同じだったから卒業してからも渋々付き合いが続いた。
そんな不本意な状態が続いて来た中で私は28歳になっていた。
私の全部の人間関係、学生時代の友人を全部手放さないと彼女とは離れられないと気がついた。
もし時間を巻き戻すことが出来たなら、私は他の大学に進んだと思う。
当時の経済的な理由から家から通える大学を選んだせいで、彼女と同じ学部に通うことになってしまったからだ。
入学してから、それをどれだけ悔やんだことか。
実家からも出て、育った町から離れていれば、彼女からもっと早く自由になっていただろう。
二十代半ばで彼女の家が他の町に引っ越してからは少しは距離ができたけれど、私があなたとはもう付き合えないとはっきり言ったのに、それでもまだ関わろうとしてくる。
これは同性のストーカーみたいなものだ。
モラハラ、女王様気質を、可愛い子ぶりっ子を装って、常に被害者は私という体で周囲を欺いているロクでもない人だ。
遅まきながら、十年目で友人関係の一切合切縁を切る決断をしたら、自分と彼女の過去生が次々に思い出されてしまったのだ。
魔女狩り時代は自分が助かりたくて私を密告した魔女、ローマ兵時代は逃亡したので追いかけた私を自分が逃げるために殺した同僚、そしてヨーロッパ時代では夫婦だったようで、酒びたりで働かない亭主だった。
地球以外の星にもいたみたいで、嫉妬深くて陰湿、マウント狂い、彼女はそんな頃から今みたいな性格だった。
とにかく懲りない人、何百年、何千年も成長せず学ばない性格なんだと呆れてしまった。
スピリチュアルな人には「許しましょう」「手放しましょう」とかを耳にタコができるまで言われた。
彼女のテーマは勤労すること、働くことらしい。
でも彼女はとても怠惰な人だ。今生は特に。
私との過去世でも逃げてばかり、怠けること、享楽しか追いかけない人だった。
享楽ばかりを追い求める人は次の転生では不細工に生まれるのだとか。
なるほどと、なぜか納得してしまう自分がいる。
「あなたの未来には私はいない」
そう言って私は彼女と絶縁してから、彼女の未来世らしきものが浮かんで見えてきた。
海のようなところで餌を追いかける魚というか両生類みたいな生き物だった。
ああ、人間ではないんだなって思った。
でも気持ち良さげに泳いでいたから、彼女はそれでも満足しているのかもしれない。
「あなたは地球は今回が最後(転生が)ですね」
なんてサイキックな人に言われたこともあったけれど······。
そうね、私は彼女とも今世が最後だと思っている。
あなたの未来に私はいない
それはきっと、その言葉の通りなのかもしれない。
(了)




