転がる三角形
ヒエラルキーの図式をピラミッドで表すことは多い。
よく知らないけれど、この世界の支配者層の没落、凋落が起きるとかスピリチュアル系の人達が言っていたりする。
破壊、崩壊、ひっくり返るとかね。
それは否定しないけれど。
私がイメージとして来るのは、転がる三角形。
ピラミッドが右に倒れるのか、左に倒れるのかはともかく、横に転がって、別の底辺と頂点ができる·····そんな感じがする。
そしてまたいつか、同じように転がって、新たな底辺と頂点を作る、その繰り返し。
ただ、三角形の1点で逆立ちするようなものはゼロポイントだとか呼ばれるようだけれど。
それだと下を潰しながら壊れるよね?
バランス悪くて支え切れないから。
それとも、逆さ富士のように、影のような向こうの世界へ移動するのかな?
あちらとこちらへ行ったり来たりするだけ。
メビウスの輪のように、∞の変形。
支配者と奴隷の交代。
別の者がまた誰かを支配したがるキリの無さ。
転がり続けて、頂点を潰し崩しながら、そうやって角を削って、円に近くなって行くのだろうか?
その時、自分はどこら辺にいるのだろう。
転がって、もしくはまっ逆さまに反転し、ザーッと滑り落ちて行く時、自分はどこに立つのだろう。
それこそ命がけだよね。
今この星に生きている人達はみな、その転がる三角形のイベントに漏れなく参加中。
その星のコアにいれば······
最もダメージが少ないかもしれない。
それは権力者とかも同様に真っ先にそこへ逃げそうだけど(笑)
もう既に手を打っているとか?
そこでまた権力闘争、支配者と隷属が生まれるその繰り返し起きるのだろうか?
自分の尾に噛みつく蛇
破壊と再生
不毛な永遠
終わらない繰り返し
無意味なループ
流転······
一体いつになれば、この星の人々は誰にも支配や抑圧を受けず、誰かを支配することも抑圧することもなくいられるようになるのだろうか。
なんだかもう、地球に飽きちゃった。
帰りたいよ、早く。
誰か迎えに来てくれないかなあ。
「お前のその気持ちはわからないでもないけど、最後まで成り行きを見届けるのが任務だぞ」
この星に自分と一緒に派遣された彼に叱られた。
彼は私には厳しい。
「帰る時は、一緒だからな」
でも、今日はなんだかちょっとだけ甘い。
それで絆されて、もう少しだけ、まだここにいようと思えてしまうほど、自分は相当チョロい。
この星も大概だけれど、私もまた大概なのだ。
(了)
ep9「夢で会えたら」の続編でした。