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それは今世じゃない

霊感は全くないのだけれど、前世の記憶を思い出すことがある。


はじめて思い出した時は、7歳の頃。


ひとつ歳上の男子の転校生とその姉に妙に心引かれ、また彼らに懐かれた。

私はなぜか姉の方に「お母さんみたいだ」と感じた。


そしてまたすぐ別の県に転校して行った。


その直後に夢を見て、彼らは過去世で私とは親子、家族で事情があって一家離散しなければならなかったようだ。


アジア圏のどこかの国で、石畳の町を荷押し車に家財道具を乗せ、別れを惜しむ自分と彼らの姿を見て私は激しく泣いた。


「いかないで!」

「一人にしないで」


今世ではなくて、過去世の別れがたい感情で一杯になった。

今世のものではない自分の感情に、幼い私は混乱し戸惑った。


その彼らとの仲を、転校前から執拗に干渉し邪魔する同級生がいた。


私を牛耳りたくて仕方がない感じのその同級生が、転校して行ったその男子のかつての妻で、私はその過去世では愛人、不倫の関係だったことを思い出した。


それから私が転校するまで、その同級生の女子には、その過去世の復讐なのか邪魔をされてしまった。


前世の不倫のツケを、今世では小学生で味わうとは思いもよらなかった。

不倫と言っても私は彼が妻帯者とは知らずに関係を持ち、妻がいると知ってから身を引いていた。


中近東の人のような衣服に身を包んでいる私である人物を不思議に思いながら。


思い出したと言っても、まだ恋も知らない年齢だったのに、これは一体なんだろうと、恋の痛手とはまだはわからないながらも、重苦しさや断腸の思いを体験した。


許されぬ男女の関係はなかなか苦しくて大変そうだと子どもながらに思った。


今世では大人になってからも、そのような苦しい恋愛などは経験していないのに、本当に可笑しなものだ。



父の転勤に伴い、新しい小学校に転入すると、私に何かとしつこく絡んで来る同級生がいた。


その女子はかつての過去世で私を魔女狩りで拷問にかけた人だった。

彼女は図書室で魔女狩りの本を開き、拷問道具が載っているページを私に笑いながら見せてきた。


それで私は思い出した。


私はショックを受け、怖くなって震えた。


しつこくて迷惑な彼女とは中学に入ってすぐに交流を断った。



社会人になるまでは、それ以外の前世は思い出さなかった。


社会人4年目で別の会社へ転職し、2年が経とうという時に、また過去生の記憶としか思えない夢を見た。


今度はとても長く、丸々1本の映画を観るように、ある女性の生涯を見た。


どうやらその女性は私の過去世のようだ。


私はその頃しつこく言い寄られていた男性と、職場の歳上の先輩に窮地に追い込まれたばかりだった。


しつこくされた男性と職場の先輩は、その夢の中に姿を変えて登場した。


中世のヨーロッパで、私は女領主、そして職場の先輩は男性で、しつこく付きまとって来た男性と共謀して、私を失脚させた。


牢屋に幽閉された私は毒盃をあおり果てた。



もちろん、これが私の過去世という証拠は何もない。


だけれど、幽閉された私に最後まで尽くしてくれた若い部下が、私の今世の夫なのは紛れもない事実だ。


私は今世の夫と出会う前に、過去世の夫の姿を見ていたのだ。


夫にはじめて会った時、とても懐かしいと感じた。


姿や性別は変わっていても、そう感じる人は、かつての前世で近しかった人物だったりする。


私は現在の家族や友人との前世の記憶も思い出した。



偶然何度も会うから、頻繁に出会うから運命の人とは限らない。


縁があっても良縁ではなくて、悪縁ということもある。


しつこい人、執拗に食い下がるとか、絡んでくるよう人は、悪縁が多い。


自分にとって迷惑な人、迷惑過ぎる人は、絶対に運命の人ではない。


仮に深い縁があろうとも、結ばれるのは今世ではない。


やたらと絡んでくるとか、しつこくしてきてウザいような人は、前世でもトラブルメーカーだ。


どうやってもすれ違う、どうやってもその相手とは上手くいかない、どうしても結ばれない


それは、結ばれるのは、今世じゃないからなんじゃない?


来世以降なんじゃないの?



嫌いな相手であろうと、好きでたまらない相手であろうが、相手にしつこくする人、ごり押ししかしない人は悪縁でしかない。


そのような人は、本人が問題ありの魂の人が多い。


今世良好に付き合えない人は、自分の運命の相手ではない。


友人だろうと、恋人だろうと、伴侶であろうが、そういうことだ。


そのような人と良好に過ごすのは、今世ではないのだ。


それを自分が受け入れずに執着して追いかけると、その相手からは完膚なきまでに嫌われ、絶縁したい相手に自分が成り下がってしまうだけだ。


この人とは未来永劫関わりたくない


そこまで思われてしまうからね。



そうならないように、来世に取っておく、執着しないで手放す方が自分の今世と来世のためになるような気がする。


そしてそれは相手のためにもなる筈だ。



私はしつこくして来た人達と結ばれずにいて、本当に良かったと思う。


だって、その人達とは今世ではないから。



(了)

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