盛る人
アンチエイジングを意識してそうなるのかはわからないのだけれど、顔出ししている占い師とかスピリチュアル系のヒーラーが、みんな同じ顔、似たような姿になってゆく。
まず、髪を盛るようになる。
客商売だからビジュアルに気を配るのはわかるのだけれど、演歌歌手のような盛り髪というかお水の人みたいな感じのヘアスタイルになぜかなっていく。
そしてメイクもそれに応じて派手というか、デコラティブなものに変容して行き、元の顔から遠ざかってしまう。
数年前とは別人な人が多くて驚く。
ギラギラ、ゴージャス感を出したいのか?
なんだかとても不自然なリッチ感をアピールしはじめる。
インドのお姫様風?
女神様風とか?
男性は中性的なホスト崩れ、高齢のサーファーみたいななりになってゆく。
(もしかして、日サロで焼いてる?)
この人、どこを目指しているのかな?
自分への客観視はできていないんだろうなという雰囲気を纏い出すと、
ああ、墜ちたな······、この人もかという、軽い落胆を抱く。
初期の頃はとてもナチュラルで素敵だったのに、なぜかゴテゴテした嘘臭い感じに段々なってしまう人がなんだか多いなあ。
成功するイコールリッチになることだと言うのは、なんだかとても古くさい価値観だなって感じるのは私だけなのかな?
清貧とまで行かなくても、見た目のリッチ感にこだわり出すと、堕ちるのが加速していくように思う。
狐とか蛇とかが憑いて無いのかな?
単にセレブになりたかっただけなのかな?
自分の欲望が表に出すぎというか······。
願望イコールその人のコンプレックスだったりするんだよね。
承認欲求が強い人は、自分を盛ることに夢中で歯止めがきかなくなり、ナルシストっぽくなってしまう。
リッチでイケている私、俺
っていう感じになってゆく人は、心よりも物質的な満足で、自分の心の闇を覆っているような気がする。
そしてどこか真に満たされてはいないような、ヒリヒリ感、痛い感じになってしまっていたりする。
自己陶酔に没入してるような人は、寂しい人なんだろうなという気がする。
本当には満たされてはいないんだろうな。
霊能力があっても、自分でそこに気がつけない、気がつかない人は、あらぬ方向に進んで行ってしまう。
苦労の多い人生や辛い経験をしたから、その分リッチな思いをしてみたいということもあるのかもしれないけれど、制御不能になってゆくとバランスを崩してしまうものなのだと思う。
不自然な盛り髪に、アイメイクをやりすぎて白目が見えなくなっている、どこか仮面を思わせるビジュアルに怖さを感じて、思わず閲覧ページを閉じた。
そのサイトは、以前お世話になった占い師のものだ。
きっともう今後見にゆくことはないだろう。
失礼だけど、盛りが異様で気持ち悪いからだ。
どうしてそうなってしまったのかわからないけれど、それがその人の隠されていた真の欲望、コンプレックスの発露なのかもしれない。
それが少し悲しかった。
里美は占い師として顔出しはしていない。するつもりもない。
同業者がビカビカと自分盛りをしてゆくのを冷静に見つめながら、自分は自分という軸を噛みしめた。
(了)