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紹介してと言われましても

友人の紹介、同僚や先輩の紹介で結婚相手を見つけたという人はいる。私の場合もそうだ。


転職先の同僚に「誰か紹介して」と頼まれたので、「そのうちね」と答えておいたのだけれど、彼女が職場の人と不倫をしていたのを知って、これはちょっとないなと先送りにした。


「ねえ、前に紹介してくれるって言ったよね?」

「うん、あのねその人、彼女ができちゃったみたいなの、ごめんね」

本当は紹介しようと思っていた友人はまだ彼女はいなかったけれど、不倫をするような人を紹介するのは失礼だと思いやめることにした。


彼女は人のものを欲しがるたちなのか、社内で別れたばかりのカップルの男性にすぐに近寄っていた。フリーになったのだから問題は無いとはいえ、女性社員の元彼ばかりを狙うのがあまりにあからさますぎて、女子社員からは「お下がり専用」という侮蔑を込めた渾名がついてしまった。

不倫も人のお下がりといえなくもない。

なぜわざわざ他人の元彼にばかりアタックするのかわからない。他にも独身男性はいるのに。他人の元彼と自分が結婚できたら元彼女にマウントできるとか思っているとしたら、それは結構性格の悪い女だ。

ただでさえ不倫したのが社内にバレていたので、靡く男性もいなかった。

不倫が周囲にバレても平気で会社にまだいる鋼のメンタル。

相手の男性は左遷を食らい現在離婚調停中。他にも不倫をした女性社員はいるけど、別の男性社員と結婚して在職中、不倫をする女性はわりと図太い気がする。


「どうして誰も私に紹介してくれないの?」

彼女が私に愚痴と文句を言って来た。

「良い人を紹介して欲しいなら、もう不倫はしない方がいいよ」

「どうして?」

「不倫や浮気をする癖のある人を、自分の大事な友人や仲間に紹介しようと思う人はいないものだよ」

私もそれで紹介するのを控えたけれど、それ以外の彼女の言動を見ても、紹介しなくて正解だったと思っている。下手に紹介したら私が恨まれてしまうだろう。

紹介するということは、責任も伴う。お見合いもそうだと思うけれど、問題ありの人を誰かに紹介することはできない。


安易に紹介して、後で大変なことに巻き込まれることにもなりかねない。

親友ぐらいの人なら紹介できても、それほど親しくない友人や好感度の低い知人を誰かに紹介することはリスクだらけだ。

本当に信頼のおける人ならば誰かに紹介できるけど、そうではないならば下手に紹介しないでおくのは、自分のためでもあり、相手のためでもある。

一見不親切のように思われてしまうとしても慎重であることに越したことはない。


恋愛トラブルの多い人は、その辺が甘いというか、安直過ぎるように思う。


同じ職場の男性も結婚相手を見つけるために躍起になって、誰彼かまわず「紹介して」と言ってまわっていたから、少し引いてしまった。

あんまり血眼で余裕が無いと怖い。

それでもその人はお姉さんの友人とめでたく結婚した。やっぱり信頼できる人からの紹介がいいと思う。


彼女は私に最近言い寄って来た昔の職場の同僚の男性にも、グイグイ行ったようだ。

「私、あの人と付き合ってもいいよね?」

「どうぞ」

私はその男性は好きではないし、しつこくされるのは困るのでそう言った。彼女は相手にされなかったみたいだったけど。

それを知った他の女性社員は、「あの子、本当にどうかしてるわよね」と眉をひそめた。


彼女は「早く結婚したい」とぼやいているけれど、早く結婚したいならば、なぜ不倫をするのかが全くわからない。

その不倫相手が離婚するまで結婚できないのだから、遠回りになるだけなのに。

早く結婚したいなら独身の人を選ぶ方が早いし確実だ。それに、後ろ指を指されることもない。

離婚すると言いつつ別れないなんて不倫男の定番だし、離婚するというのは口ばかりで、はなからそんなつもりもない人もいる。

家族と愛人の両方を平気で裏切る人に良い人なんてまずいない。


そんなことすら冷静に考えられない人に、良い結婚相手を選べるとは思えない。


そのうち彼女は、霊感のある人が結婚相手を選んで紹介するという怪しい会に入って、二度目に紹介してもらった男性と結婚して寿退社した。


職場の女性達には「やっとあの人いなくなった」「これで平和になる」とか言われてしまっていた。


霊感で選んでもらった筈なのに一度目の人とは上手くいかなかったのは、その霊感の正確さってどうなの!?


そう思っていたら、子どもが生まれてすぐに、以前会社で不倫をしていた相手を呼び出して会っていたとか、生んだ子は不倫相手の子だなんて噂が流れるようになった。


結婚自体はできたけれど、結婚を長く続けてゆける相手かどうかは、霊感ではわからないものなの?

何よりもそこが肝心なのでは? それは視ないの?

彼女の旦那様にとっても、彼女のようなわがままな構ってちゃん、貞操観念のない人が妻では困るのでは?


そんな人を霊感でとか言いながら紹介するなんて、それは詐欺よりも更に酷いのでは?



数年後、同窓生と飲みにゆく機会があり、そのうちの1人が、霊感で結婚相手を紹介してくれるという例の会に登録していて、二度目に紹介された人とも上手くいかなかったとしょげながら話していたのを聞いて驚いた。


いやいや、もうそれ、霊感とか関係ないでしょ?

霊感が本当なら一発で上手くいかないとおかしいって気がつかないと。


霊感なのにその会に登録している人同士しか紹介されないこと自体がおかしくない?

運命の人がその会に絶対にいるとは限らないでしょうに。


もっとよく考えようよ、自分の一生のことなんだし。


「だって誰も私に良い人を紹介してくれないんだもの!」


それは、あなたがそんな性格だからなのでは?


「そう言えば、あなたの旦那は友人からの紹介よね?」

「えっ? ええ、同僚の紹介で」

「それは普段から紹介してってまわりに頼んでいたんでしょ?」

「ううん、誰にもそんなことは全然頼んでいないけど、向こうから私のことを紹介してって頼まれたみたい」

「ええ~、いいなそれ。しかも年下なんでしょ?」

「えっ? 年下がいいの?」

「年上年下とかは、もうどうでもいい」

彼女の目つきがギラギラしていて怖い。

「お願い、私にも誰か紹介して!」

「······」

私はこの人が昔から苦手だった。気分屋でコロコロ言うことが変わり、学生時代から異性の出入りが激しく、不倫もしていそうだ。


恋愛経験豊富でも、何も学んでいない人もいるのよね。

相手をとっかえひっかえすることがモテるということではないしね。

単に押しが強くてグイグイ行って、いやいや相手に自分と付き合わせているだけの人もいるのよね。

そういう一人相撲型の人で、自分はモテるという勘違いをしている人もいる。

上手くいかない原因が実は自分の方にあることに気がつかない人は、婚活も上手くいかないように思う。


本当にモテる人は、「紹介してくれ」なんて自分が言わなくても、向こうから相手がやってくるものなのではないだろうか。


付き合った人の数が多いことがモテるということではなくて、大勢から交際を申し込まれても、どんなに沢山の人から告白されても応じないとか、交際した人の数自体は多くなくてもモテる人はいるものだ。そのような人の方が身持ちが堅くて誠実なのよね。


婚活の霊感商法のようなものに引っかけられるなんて、この人達大丈夫かと不安しかない。


また、思い込みの強い人が霊感頼みのものを『絶対に上手くいく筈』という盲信に取りつかれて冷静な判断が余計にできなくなって失敗するケースもある。

この彼女も盲信型の人だ。


その人へのアドバイスとして、「霊感とかに関係なく、その紹介してもらった人が本当に感じのいい人かどうか、あなたの感覚で決めればいいのでは?」とだけ言っておいた。

視野の狭い猪突猛進の人に届くかどうかわからないけれど。



「誰かいい人を私に紹介してちょうだい!」


という前に、まず自分の性格や品位に問題は無いかチェックして、少しでも恋愛や結婚の障害にならないように気をつける方が、相手が向こうからやってくるとか、誰にも頼んでいないけど紹介してもらえるシチュエーションになると思うのよね。


不倫ばかりするとか、ガツガツして血眼になるとか、何でも人のものを欲しがるような品位の無さだと、いくら紹介してと言われましても、それでは頼まれた人が紹介しようがなくて困ってしまうと思う。


最近「眠れる森の美女」というおとぎ話の教訓をふとしたことで知る機会があった。


『 良き伴侶が自分を向かえに来るまでは、どんなに長くても焦らずに待つこと』なのだとか。


オーロラ姫は百年も待ったわけだけれど、一般人の私達は適齢期とかに惑わされることなく、焦ってクズを掴まないように賢く待つことよね。

その間に結婚生活で必要な家事のスキルや教養を身に付け、自分の内面を磨きながら人を見抜く目を養っておくしかないと思うの。


日本に渡って来たおとぎ話の多くは、宮廷の淑女教育のために作られたものだったりするから、老いも若きもなるべく淑女でいた方が、良い相手を得られるということではないのかな。


ベルやシンデレラも性格の美しさで幸せになったわけだしね。


女性達の憧れるおとぎ話は、実は棚ぼたの玉の輿の話だけではないのよね。


そこを見落としてしまうと、自分がお姫様になろうとして、誰よりもヴィランになってしまうのよね。



(了)

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