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私は幽霊やら守護霊とかの類いは全く視えない。心霊好きの妹に誘われて、守護霊とかを視てもらうという会に参加した。

「濃い顔のオッサン」

「······」

そ、そんなことを言われても何やらサッパリわからない。

イタリア人の有名な修道士が私を守護しているそうだ。無教養な私は修道士というと、あのフランシスコ·ザビエルのような髪型しか思い浮かばない。

視える人には修験者が守護しているとか以前言われたことがあったが、前世は魔女狩りで燃やされているとか、巫女や神官、シスター、牧師、シャーマン、メディスンマンだったとか、古今東西の宗教関連の人だったことが多いそうだ。

そのせいなのか、子どもの頃からなぜかシスターに憧れていた。お祭りで十字架のアクセサリーを買ってもらって喜んでいたりした記憶がある。

結婚願望も乏しいのはそのせいだろうか?

出家してもいいかなという、うっすらとそのような願望もあった。

コスプレには興味は無いが、巫女やシスター姿には確かに今でも憧れる。


妹には宇宙人の守護がついているとか。天然で突飛な行動で周りを振り回すのはそのせいかと納得してしまいそうだ。それを信じる信じないとかよりも、それを知ったところで自分の生き方が変わるわけでもないし、何の影響も無いと思っていた。


けれどその会から帰ってきた日から、時々男の声が聞こえるようになってしまった。姿は見えないけれど、頭の中に張りのある男の声がするのだ。


まさか、これが濃い顔のオッサンの声?


それとも修験者さん?


会の主宰者に問い合わせると、「そうですね、あなたは感度が高いので」とか言われてしまった。瞑想会もあるのでよろしかったらどうぞというお誘いまで受けた。


声が聞こえて困るというほどではなかったので、瞑想会にはすぐには参加しなかった。


そうしているうちに、今度は守護霊らしき男の声以外の声が聞こえて来た。

ささやくような声は女性というよりも中性的な声だった。

その声は私の守護天使の声で、アレンだと自分で名乗った。


そんなことが増えて来たので、渋々瞑想会に参加することにした。

自分で守護霊や天使を視て見ましょうというワークショップにもその流れで参加した。

目を開けている時は視えないけれど、目を瞑り瞑想していると視えて来ることもあった。私は興味本位で参加していたが、そんな会にも異様に序列にこだわる人やマウント狂いの女性がいたりして、こんなことを他人と競って何になるんだろうと呆れていた。

自分が相手よりも上か下かばかりを気にして 霊視、瞑想で視えたものをオーバーに盛るとか嘘をついてでも相手よりも自分の方が凄いのだというアピールをしないといられない人、しつこく張り合って来る人に辟易していると


『ハイエナ』


という男の声が聞こえて内心で笑ってしまった。ハイエナみたいな奴らだと言いたかったのだろう。


ある人は、透明の筒の中に龍の姿が入った龍の御守りを持っていたが、それを使って私にいたずらを仕掛けてきたらしい。御守りの中の龍を私に向けて放ったらしいのだが、それが途中で戻って来て筒の中にスッと入ったので驚いたらしい。

「あなたは術師だ」

とか言って来たが、私は何のことかわからなかった。龍を向けられたことなど全く知らず、放たれた龍を筒の中に戻したのも私ではなかったからだ。

「それは私ではなくて、私の背後の人、守護している存在がやったのでは? 私自身は何もしていない」

そう答えてもその人はなかなか信じてくれなかった。


そもそも、親しくもない相手に勝手に人を試すとかいたずらしてやろうということ自体が、人間的に問題が大有りなのだが、そういう視点は全くなく、こちらに謝りもせず、自分が上か下かということしか眼中に無い危ない人、人間的な常識が恐ろしく欠けた人も霊能関係の人の中にはいるのだ。


陰陽師のような、呪術を使う人もいるけど、力はあっても本人がアレな人、本人が人間的にクズな人もいたりして、まるで魑魅魍魎、生きながら悪霊みたいな人もいるのだ。


人間性が悪過ぎる人には、きっと声が聞こえることはないのだろう。だからすぐに暴走するのでしょうね。

やってはいけないことや、やらない方がいいことを止める守護者や守護霊の声が聞こえていたら、そんなことはまずしないからだ。


漫画や小説などではクセの強いキャラがいるから、自分のその迷惑なキャラも通用するとか受け入れてもらえると信じているのかもしれないけど、そのような人はあり得ないぐらい幼稚だ。


霊とか天使が見えると言っているのに、人としてやってはいけないことをしている人は、本当に見えもせず、霊や天使の声を聞くこともないのだろう。


自制心の無い人は、容易く堕ちる。


ちゃんとした人やまっとうな人達からはそう判断されているのに、平気で商売として活動しちゃっている人もいるんだよね。


ラノベや漫画では悪徳聖女や悪徳神官が登場したりするけれど、実際にそういう人もいるのだ。


そんな作品を読むと、うん、この作者さんはわかってる人だなぁなんて思ってしまう。


善悪の判断なく、良心を持たない人は、神仏の声も届かないだろうし、自分を諌めようとする守護者の声も届きはしないのだろう。


スピリチュアルをやっているのに、実際は奈落の底へまっ逆さまということにも気がつかないんだから、どうしょうもない。


自分の良心の声を聞くことができない人には、魔の存在、負の存在の声しか届かないのかもね。


私はもう瞑想会とかにも参加することはなくなったけれど、魑魅魍魎のような人達の阿鼻叫喚が聞こえないのは助かるな。


自分の精神性を浄めようとはせずに、パワー偏重で一喜一憂する勘違いな人は即地獄落ち、魔界墜ちなんだけれど、自分で気がつかない人はどこまでも不毛なんだよね。


制御不能な承認欲求の奴隷みたいな人は、自分の心の声すらまともに聞いてはいないからね。



(了)

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